No.18…"ファイアーエムブレム 聖魔の光石"(2004.10.7/GBA/開発:インテリジェントシステムズ/販売:任天堂)
No.18…"ファイアーエムブレム 聖魔の光石"(2011.12.16/3DS VC(アンバサダー・プログラム登録者限定配信)/販売:任天堂)
No.18…"ファイアーエムブレム 聖魔の光石"(2014.8.6/WiiU VC/販売:任天堂)

 言わずとしれたシミュレーションRPGの元祖的作品であり、今なお多くのファンを持つ『ファイアーエムブレム』シリーズのひとつである。

 私がクリアした『ファイアーエムブレム』は、『外伝』(FC)、『紋章の謎』(SFC)、『聖戦の系譜』(SFC)、『封印の剣』(GBA)、『烈火の剣』(GBA)、『聖魔の光石』(GBA)、『蒼炎の軌跡』(GC)の7本で、『暗黒竜と光の剣』(FC)、『トラキア776』(SFC)、『暁の女神』(Wii)は恥ずかしながら未プレイもしくは途中までしかプレイしていない。そんなヌルゲーマーの私なのだが、ここは批評ページではなく、私が好きなゲームを自由に紹介するページである。よって、開き直って語らせてもらうことにする。

 『外伝』、『紋章の謎』、『聖戦の系譜』、『蒼炎の軌跡』は1回づつしかクリアしていないが、GBAの『封印の剣』、『烈火の剣』、『聖魔の光石』はそれぞれ2回づつクリアしている。これは個人的な意見だが、GBAにプラットフォームを移行して以来、『エムブレム』は易しくなった気がする。もしかしたらどんどんと難易度が上がっていって、『トラキア776』のような強烈に難しいゲームになったことへの反省もあるのかもしれないし、開発中心者である人物が、制作スタッフから抜けたことも原因なのかもしれない。その辺の裏事情はさておき、遊びやすくなったGBA版の中でも、今回紹介する『聖魔の光石』は、シミュレーションRPG初心者の方にもオススメ出来る一本であると思う。

 今までの『エムブレム』は、『外伝』を除いてレベル上げマップは存在しなかった。そのため、限られた敵ユニットを有効的に倒して経験値を上手く稼ぐ必要があったし、転職アイテムにも限りがあった(転職アイテムはお金さえあれば「秘密の店」で買うことも出来るのだが……)。そのため、どうしても出撃メンバーの1軍と、ベンチウォーマーの2軍ユニットに分かれざるをえなかった。「闘技場」は存在したが、弱いユニットでは勝つのも難しいし、リスクも大きかった。

 しかし、『聖魔の光石』は違った。キャッチコピーが「育てまくれるエムブレム」というだけあって、『外伝』以外では存在しなかった経験値稼ぎマップが復活したのである。ただ、序盤は軍資金も限られているし、経験値稼ぎマップにも制限があるため、金欠に陥りがちだろう。しかし、物語を進めれば、経験値稼ぎマップの最深部まで行けるようになって、マップ内の宝箱から軍資金や武器、アイテムなどを調達することが出来るようになる(特に軍資金がかなり大量に得られることは嬉しいし、転職アイテムも時折獲得出来る)。こういったシステムのおかげで、全ユニットをレベルマックスにすることも可能となった。まさしくキャッチコピー通り「育てまくれる」のである。おまけに今作ではクラスチェンジにも幅が広がったので、ユニットを育てる楽しみも倍増している。

 例えば「ソシアルナイト」または「アーマーナイト」からクラスチェンジ出来る「グレートナイト」。鉄壁の防御を誇り、さらに剣・槍・斧と3つもの武器を操ることが出来る驚異的なユニットである。欠点は移動力の低さだが、ドーピングアイテムのひとつ「ブーツ」を使うことでこの問題は解消される(「ブーツ」は普通のプレイではひとつしか手に入らないが、あるフリーマップのボスが高確率で落とす)。他に今回は「盗賊」も「ローグ」または「アサシン」にクラスチェンジ出来る。特に「ローグ」は鍵がなくても扉や宝箱を開けられるので、攻略には必須のユニットであると言えよう。

 マギ・ヴァル大陸を舞台に、物語は主人公が双子の王子(エフラム)と王女(エイリーク)の二人に分かれており、最初はエイリークで始まるストーリーに、途中から行方不明だったエフラムと再会することで、一旦、物語が二つのルートに分かれるシステムになっている。最終的には二つのルートは合流するが、そこに至るまでに明かされる謎が、両方のルートをやらないと全ては分からないようになっている。例えばエイリーク編では、敵国のグラド帝国皇子リオンがエイリークに密かに想いを寄せていたことや、ある意外な人物が高貴な家系の出身であることなどが分かる。これに対してエフラム編では、なぜグラド帝国が他国に突如侵攻を始めたのかという謎や、リオン皇子の葛藤などが明らかになる。しかしストーリー的にはエフラム編のほうがメインである気がするので、無理に二つにシナリオを分けず、エイリーク編を無くしてエフラム編に組み込んだほうがよかったのでないかという気もする。どちらのルートも面白いことには変わりないのだが。

 本編の面白さ以外にも、難易度設定や、発生させた支援会話をいつでも見られるシステム、サウンドルームなども充実しており、ユーザーフレンドリーな作品であると言える。往年のファンの方はもちろん、『エムブレム』初心者にこそオススメしたい一本である。



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