No.95…"ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡"(2005.4.20/GC/開発:インテリジェントシステムズ/販売:任天堂)

 『ファイアーエムブレム』シリーズの生みの親である加賀昭三氏が開発スタッフを抜けてからは、『ファイアーエムブレム 封印の剣』『ファイアーエムブレム 烈火の剣』『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』と、シリーズ作は三作連続で携帯機であるGBAをプラットフォームとして発売されたが、久々に据え置き機であるゲームキューブで発売されたシリーズ作が、この『蒼炎の軌跡』である。

 戦闘シーンはこれまでのドット絵からポリゴンによる描写となったが、新しい印象を与えると同時にきちんと『ファイアーエムブレム』シリーズの伝統を組んだ作りになっているため、ポリゴンによる描写に最初は違和感を覚えるかもしれないが、すぐに今までのシリーズと同様に楽しむことが出来るだろう。

 また、GBAで出された三作では存在しなかったスキルシステムが『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』以来に復活している。例えば一見すると打たれ弱そうな剣士ユニットが所持スキルのおかげで無双に近い強さを発揮したりと、キャラの個性付けにも一役買っている。また、拠点育成システムが取り入れられており、これは各章の出撃前にマップごとに獲得した経験値を分配することが可能なシステムである。このおかげで、戦闘で活躍出来なかったユニットに経験値を分配することで無理に戦闘をさせずとも育成することも出来るようになっている。

 物語のほうでは主人公のアイクはこれまでのシリーズの主人公と違って王侯貴族の子息ではなく、初の平民出身の主人公となっている。舞台となるテリウス大陸には人間=ベオクと、様々な獣に変身することが出来る種族=ラグズが勢力争いを繰り返してきた歴史があり、現在はベオク、ラグズそれぞれの国家が合わせて七つ存在している。そのうちの一つであるクリミア王国に拠点を置くグレイル傭兵団の団長の息子アイクは、任務からの帰還途中にクリミア王国に侵攻してきたデイン王国の部隊との戦闘を余儀なくされ、その部隊に追われていたクリミア王家の隠された存在だった王女エリンシアと出会う。アイクらはエリンシアの護衛任務を引き受けることとなり、それをきっかけにテリウス大陸全土を巻き込んだ戦いに身を投じていく。

 ストーリーの伏線が回収しきれていなかったり、直接の続編でありWiiで発売された『暁の女神』がお世辞にも良作とは言い難く『蒼炎の軌跡』では生き生きと描かれたアイクやエリンシア達のキャラ描写も劣化してしまったという残念な点は幾つかあるが、単体のゲームとしてはちゃんと楽しめる良作となっている。現在ではソフトにプレミアがついており、バーチャルコンソール化もされていないため、プレイするのは困難かもしれないが、自信を持ってオススメ出来る『ファイアーエムブレム』である。



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