No.67…"絶体絶命都市3 ―壊れゆく街と彼女の歌―"(2009.4.23(パッケージ版)/PSP/開発・販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング)
No.67…"絶体絶命都市3 ―壊れゆく街と彼女の歌―"(2010.5.13(ダウンロード版)/PSP/販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング)…2011年3月14日をもって配信終了
No.67…"絶体絶命都市3 ―壊れゆく街と彼女の歌―"(2011.2.3(パッケージ廉価版)/PSP/販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング)
No.67…"絶体絶命都市3 ―壊れゆく街と彼女の歌―"(2015.7.29(ダウンロード版)/PSP/販売:グランゼーラ)

 災害に見舞われた都市からの脱出劇を描くサバイバルアドベンチャー『絶体絶命都市』シリーズ。『絶体絶命都市』『絶体絶命都市2』はPS2で発売されたが、この『3』はハードをPSPに移しての登場となった。

 首都島地震から約6年、富坂大水害から数か月が経過した2011年3月末日。首都候補地の一つとなっていた人工島・セントラルアイランドの朝から物語は幕を開ける。この島で新たに大学生活を送るためにやってきた一人の若者は、高速バスから眩しげに海面に浮かぶセントラルアイランドを見つめ、新生活に胸を躍らせていた。だが、そこへ突如、大地震がセントラルアイランドを襲ったのだった……。

 『1』は地震、『2』は水害によって引き起こされた物語だったが、『3』では再び地震が街を襲う。原点回帰という意味合いもあるのかもしれないが、確かに『3』は『1』『2』の続編というよりも、『1』をコンパクトにまとめ直した作品のような印象を受ける。主要登場人物も『2』から大幅に少なくなっており、主人公(シリーズ初の男女から二者択一)に2人のヒロイン、そして主人公らと大きく関わるバイプレイヤーの存在という点も、『1』に共通するものがある。ただ、ハードが携帯機となったせいか、プレイ時間は前作、前々作の3分の1ほどになったので、ボリュームの減少は否めない。そのぶん、男女主人公でそれぞれ周回しやすく、手軽に遊びやすくなったとも取れるのだが。

 また、アイテム周りのインターフェースが不便(アイテムが種類別に分けられておらず、しかも操作ももったりしている)であったり、せっかくアイテムを取っても特殊なイベント時以外はパートナーに手渡すことが出来なかったり、グラフィックが『1』と比べても劣化した部分が見受けられたり、カメラアングルが分かりづらく即死する場面が多いといった不満点も少なからず存在する。こうした不満点は『1』『2』ではあまり気にならなかった点だったので、余計に残念だった。

 しかし、豊富でユニークな会話選択肢やほぼフルボイスの会話、それら選択肢によるヒロインとの好感度やEDの変化、多岐に渡るアイレム作品を元にした数々のアイテムといった要素、それに災害に隠された陰謀といったシリーズの「お約束」は健在しているし、また、今作は防災危機管理ジャーナリスト・渡辺実氏が監修しているだけあり、災害時に起こりうる事故や事態などがリアリティを持ってゲーム中に存在している。それらを含め、『3』も立派なナンバリングタイトルだと言えるだろう。それでも前2作より全体的なクオリティが落ちてしまっているのは認めざるを得ないことは返す返すも残念である。

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