No.61…"絶体絶命都市2 ―凍てついた記憶たち―"(2006.3.30(廉価版:2008.2.7)/PS2/開発・販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング)
No.61…"絶体絶命都市2 ―凍てついた記憶たち―"(2015.2.18/PS2 ゲームアーカイブス/販売:グランゼーラ)

 大地震によって壊滅した都市からの脱出劇を描いたサバイバルアドベンチャー『絶体絶命都市』。この『2』で語られるのは、その数年後の物語である。

 首都島を壊滅に追いやった大災害から5年が経過した2010年12月末。舞台は「ジオフロンティア計画」により目ざましい発展を遂げた地方都市・富坂。冒頭ではジオフロンティア計画第一期工事完了を祝う華やかなパーティー会場の様子が映し出される。だがそんな賑わいも、富坂市全域を襲う突然の悲劇の前に、虚しくかき消されてしまう運命にあった……。

 前作が地震によって引き起こされた事件だったのに対し、今作では未曾有の水害が街を襲うことになる。また前作の主人公は新聞記者の須藤真幸だけだったが、今回は章ごとに計5人(隠しキャラを含めると6人)の主人公のサバイバル劇が展開される。篠原一弥(アルバイト中の男子学生)、佐伯優子(無実の罪を着せられた女性)、柘植明(タクシー運転手)、西崎佳奈(女子高生)、速水祐司(記憶喪失の男性)……立場も年齢も違うそれぞれのキャラの物語はリンクしており、先の章の主人公の行動が後の章の別の主人公の状況を一変させたり、全ての章をクリアすることで、物語全体の真相を知ることが出来る構成になっている。

 先に挙げた主人公キャラの他、それぞれの主人公らと行動を共にするパートナーや、被災して様々な思いを胸に生き延びようとする人々、時には主人公を追ってくる者たちなど、主要登場人物が10人ほどしかいなかった前作と比べると、人間模様が遥かに多く描かれている。特に会話中の選択肢の内容が異様に多く、しかも選択次第で正義漢にも外道にもなれるそれらの台詞が全てフルボイスという凝りようである。衣類をはじめとしたアイテムもバリエーションが大幅に増えてビジュアル的にも楽しめる要素が嬉しい。

 しかし、今作は前作と比べると難易度が格段に上がっている。画面内に落ちているアイテムやコンパスなどがかなり見難い、移動可能な足場が分かりにくい、マップの把握がしにくく道に迷いやすい、ジェットスキー・自動車・モーターボートといった移動手段の操作説明が不十分なうえに操作もクセがある等……特にアイテムを見つけにくいために無駄にマップ上を探す必要があることや、データのセーブ・ロード処理が遅いことは、非常に残念な点である。

 だが前作で頻発した「一度死んで覚えないと最初は即死」に至るような状況は予測回避しやすいように改善されているし、ラストマップでは『1』の最終盤を髣髴とさせる展開が用意されているので、『1』が面白かった方はより楽しむことが出来るだろう。歯ごたえの良さは変わらぬ一品である。

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