『斑鳩』―――キャラクター&機体類



◆森羅(シンラ)

……反鳳来組織「天角」の生き残りである飛鉄塊(ヒテッカイ)乗りの青年。鳳来との戦いで「斑鳩の里」へ墜落したところを、村の老人たちに救われる。その後、老人達の作った「斑鳩」に乗り込み、再度、鳳来へ挑む。鳳来の支配から自由を取り戻す事を道とするが、同時に生涯の中で、たった一つだけでも後悔の無いことをやり遂げたい、という一心と若さゆえに、事の本質を見失う無鉄砲さを持っていたりもする。また、気性の激しそうな外見とは裏腹に、感情を内に秘める性格である。
……人によっては、まるで死に急いでいるように見えるほど、たびたび無茶な行動に出てしまう。だがそれは彼に死が訪れた時、後悔の念を残したくないがゆえである。
……最後には斑鳩の抑制装置を解除して全エネルギーを解放し、「産土神黄輝ノ塊(ウブスナガミオウキノカイ)」に対して篝と共に特攻をしかけた。同時に死が現実となって訪れたが、森羅は精神体へと変化を遂げたため、彼の存在は死後も続いていくこととなる。


◆篝(カガリ)

……元々は、鳳来の人間であり、仏鉄塊(ブツテッカイ)を操り森羅に挑んできた刺客である少女。戦いに敗れ、墜落したところを森羅に助けられた。本人は、その気高い性格から自害することを望んだが、時とともに落ちつきを取り戻した。その後、半信半疑ながらも森羅達の生き方に興味を持った彼女は、森羅や老人達の言う「自由」という物が本当ならば、それを見てみたいという理由で、現在は「斑鳩の里」に居着いている。
……「鉄塊乗り」は過度な加速や衝撃に耐えうるため、その体にはいたるところにグロテスクな鋼の箍(タガ)が埋め込まれている(しかし、この鋼の箍そのものが人体に与える負担も大きいため、一般に鉄塊乗りの寿命は短い)。だが、篝の体に埋め込まれている箍はごく少ない。これは、彼女が第二世代飛鉄塊乗りとして遺伝子的な身体強化を因られているからであり、通常の飛鉄塊乗りに比べ、身体の耐久力等で優れている。
……鳳来に反旗を翻し、森羅と共に個人所有飛鉄塊「銀鶏」で鳳来に挑んだ。森羅が斑鳩の全てをかけて「力の解放」を行ったときに、自らも同様に銀鶏の全てのエネルギーを解放した。同時に篝は森羅と共に絶命したが、彼女も森羅と同じく精神体として変化し、その存在は続いていく。


◆風守(カザモリ) 老人

……「斑鳩の里」の長老役を担う老人。「斑鳩の里」に「白鷺」ごと墜落した森羅を自宅でかくまい、静養させていた。聡明かつ大局的に世の中を見通す眼力と判断力は、森羅にとって心的な支えとなった。天内技師長を助け、新海里長らと共に飛鉄塊「斑鳩」を作り上げた一人で、自由が人を活かす日が来ることを信じて、鳳来との戦いに身を投じる。


◆天内(アマナイ) 技師長

……「斑鳩の里」に住む、元凄腕の飛鉄塊設計技術者であった老人。里へ来た当初は生きる支えを失い、生きる屍状態であったが、風守老人の説得により飛鉄塊「斑鳩」の制作を始めた。設計から組み立ての大部分をこなしている。技術屋特有の少々ひねくれた部分があり、人に対してなかなか素直な態度を取れないが、心根は優しい人物である。


◆新海(シンカイ) 里長

……豪快でがさつな気質の持ち主だが人の面倒見の良い彼は、「斑鳩の里」で里長役を務めている。見た目通りのまっすぐな性格であるが、人情に対して脆いことが仇となることもある。森羅にとっては良き兄貴分となっており、天内と森羅の橋渡し役にもなっている。ある程度の機械知識を持っており、風守老人と共に天内技師長を助け、飛鉄塊「斑鳩」を作り上げた一人だが、がさつな作業を嫌う天内からは力仕事しか頼まれないようである。


◆浅見 影比佐(アサミ カゲヒサ)

……「鳳来ノ国」の武将。仏鉄塊「烏帽子鳥」を操る。かつて、飛鉄塊「白鷺」で挑んできた森羅を難なく倒した過去がある。しかし、飛鉄塊「斑鳩」で再戦を仕掛けてきた森羅と「斑鳩」の機体性能の前に敗れた。
……当初の設定では、「変わり身の術」で逃げ去った後に4面で再び登場して森羅達を引きつけ、その間に「斑鳩の里」を「鶚(ミサゴ)」が強襲するも、浅見を破った森羅達がそこへ駆けつけるというストーリー展開だった。しかし製品版では、1面で森羅達に遭えなく倒されるというストーリーとなった。


◆法角(ホウカク)

……「鳳来ノ国」の武将。鳳来ノ国と敵対していた「阿魏ノ国」において民間人にまで非情な攻撃を加えて阿魏を制圧した冷酷な人物。森羅と篝は一度はやむなく撤退したものの、鳳来の支配下に置かれた阿魏へと再び向かい、法角の駆る「仏法僧」を破り、かつての雪辱を晴らした。


◆鬼羅(キラ)

……「鳳来ノ国」の武将。自国の国境付近にて、仏鉄塊「鶚(ミサゴ)」を操ると同時に、大部隊を率いて森羅達を待ちうけていた。「鶚」の圧倒的な力と大きさに森羅達は圧倒されるが、天内の助言などを得て、最終的には「鶚」と鬼羅を倒すことに成功した。


◆鳳来 天楼(ホウライ テンロウ)

……「鳳来ノ国」の支配者。白髪と真っ白な肌を持ち、少女のような顔つきをしているが、顔には老婆の如く皺が刻まれており、いったいどれくらいの年齢なのかは誰も知らない。元々、超能力者だった彼女は、自国の地下空洞において「石のような物体(=産土神黄輝ノ塊)」と遭遇し、強烈な残留思念を知覚した。その思念を「神の啓示」として受け取った鳳来だったが、その思念の根本的な部分を理解できないまま「石のような物体」と同調した結果、暴走を始める。やがて、表層的な使命感を持ち、狂気に取り付かれた彼女は、石の力までも自分に取り込もうと、「石のような物体」に制御装置を取り付けた。
……数々の猛攻をくぐり抜け「鳳来ノ国」の地下中枢に辿りついた森羅達の前に、自ら仏鉄塊「田鳧(タゲリ)」を操って立ちはだかる。だが最後には、「石のような物体」と同調して狂気と共に得た力も虚しく、森羅と篝の前に敗れ去った。


◇飛鉄塊「斑鳩」(イカルガ)

……元凄腕の技術屋であった天内技師長が、風守老人、新海里長とともに作り上げた飛鉄塊。現在は、斑鳩の里地下に隠され、出撃時には転送機「不動明王の剣」を使用して外へ転送する。
……陽と陰、2つのエネルギー属性をコンパクトに一体化し、1機体でありながら属性変更することに成功した初の機体である。
……特殊コーティングされた主装甲フレームは、電圧をかけることにより属性を変化させる事が可能。メインエンジン及びノズルは左右バインダー内に格納されている。武器はメインの60mmバルカン×4、サブウエポンにE・カノン×2、左右リングユニット内にE・カノン×12である。
……『斑鳩』においてプレイヤーの分身となる機体。「属性」といえば、シルバーガンでは自機は無属性だったものの、赤・青・黄の3属性がボスを除く全ての敵機に存在していた。しかし今回は自機である「斑鳩」そのものが、「陽」「陰」の2属性を持っており、敵機もボスを含め全てこの2属性に支配されている。この属性を活用したシステムに関しては、システム概要を参照して頂きたい。
……「イカルガ」は「斑鳩」や「鵤」と書くアトリ科の小鳥のことで、雀と鳩の中間ほどの大きさで、頭の前半分と尾と翼の端が黒く、灰色に黒い斑があるので「斑鳩」と書かれる。また、仮面をつけたようにも見えるので、学名は「personata」という。



◇飛鉄塊「銀鶏」(ギンケイ)

……元は鳳来の一世代前の機体だった。その機体性能は高かったが非常にコストパフォーマンスが悪かったため、製造されたのは実験機数機のみである。その機体設計に惚れ込んでいた篝が整備部を脅迫し、個人所有となったといういわくつきの機体。天内により、装甲や武装は「斑鳩」をベースに改装されている。
……「銀鶏」は英名である「シルバー・フェザント」の邦訳名。和名は白閑鳥(ハッカン)といい、背部から尾にかけての体毛の色がその名の由来であり、その意味は「白い雉(キジ)」という。性質がおとなしく、人間に慣れやすい鳥である。


◇飛鉄塊「白鷺」(シラサギ)

……天角壊滅後、朽ち果てた組織の跡地で、残骸や残された部品を森羅がかき集めて造り上げた飛鉄塊。軽武装機ながら、独立稼動する8枚の翼によって高い空制能力を有していた。しかし、その機体性能は決して高いとはいえず、森羅がたぐいまれな腕前でカバーしていた。だが、鳳来の武将「浅見 影比佐」の操る仏鉄塊「烏帽子鳥」との戦いに敗れ、「白鷺」はそのまま「斑鳩の里」へと墜落・大破し、墜落の瞬間に機外へと放り出された森羅はかろうじて一命を取り止めた。
……「シラサギ」は言わずとしれたサギ科の中でも最もポピュラーで大型の鳥である。


◇不動明王の剣

……斑鳩の里地下に隠された飛鉄塊「斑鳩」を転送・射出するための転送装置。
……ステージ1の冒頭では、この装置による斑鳩射出シーンが見事なカメラワークで映像化されている。また、「不動明王」は数ある天部の中でも最も霊験が強い仏であり、背後の火焔は人々の迷いや煩悩を焼き尽くし、災いをも焼き払うとされている。


◇仏鉄塊(ブツテッカイ)

……「仏鉄塊」とは個々の機体の名称を示すのではなく、鳳来の繰り出す様々な異形の中型クラスの機体の総称である。これに対して「飛鉄塊」は小型クラスの機体の総称。篝も鳳来から刺客として送り込まれてきたときはこの仏鉄塊クラスの機体を駆って来たが、森羅との戦いに敗れた。しかし撃墜されたものの、搭乗していた篝は森羅に助けられた。
……ボスクラスの強力な仏鉄塊が接近した場合には、画面上にその接近を告げるアラームが表示される。その警報は、具体的にはこのような内容である。


◇仏鉄塊「烏帽子鳥」(エボシドリ)

……斑鳩の存在に危惧した鳳来は、斑鳩の転送装置である「不動明王の剣」を包囲した。反撃する斑鳩に対して送りこまれた仏鉄塊の名称、それが烏帽子鳥である。
……鳳来の武将「浅見 影比佐」が操る機体。森羅の駆る「白鷺」を倒すも、再び「斑鳩」で反撃を加えてきた森羅の前に敗れた。
……「烏帽子鳥」とは、ホトトギス目エボシドリ科の鳥の名前である。


◇仏鉄塊「仏法僧」(ブッポウソウ)

……かつて鳳来と敵対していたものの、戦いに敗れ現在は支配下に置かれている「阿魏ノ国」。森羅と篝は、国の奪還と、地下に建造中の軍事拠点を叩くため、奇襲を決行する。その彼らの前に立ちはだかるのが、まるで陰陽道のマークを模したような姿をした仏鉄塊「仏法僧」である。
……「仏法僧」とはフクロウの一種である「コノハズク」の別名である。


◇仏鉄塊「鶉」(ウズラ)

……戦況は膠着状態になりつつあったため、消耗戦による自滅を避けなければいけない森羅と篝は、「鳳来ノ国」への潜入を試みる。国境へ辿り着いた森羅達を待ちうけていたもの、それは要塞化した人工の峡谷であった。ここで森羅達を待ちうける仏鉄塊が「鶉」である。
……「鶉」は小さな食用卵で馴染み深い「ウズラ」そのものを指す。その品種は多く、20種近くにも及ぶ。


◇仏鉄塊「鶚」(ミサゴ)

……渓谷を越えた森羅達が目にしたのは、鳳来の武将「鬼羅」の率いる大部隊であった。圧倒的な力と巨大さを誇る仏鉄塊「鶚」に対し、天内の導き出した戦略は、接近戦により数箇所の弱点部を破壊することだった。
……「鶚」はタカ科タカ目の日本版レッドリスト準絶滅危惧留鳥。「ヒサゴ」「コワシ」「フクロドリ」など、各地方によって名称は様々である。


◇仏鉄塊「田鳧」(タゲリ)

……「鳳来ノ国」の支配者である「鳳来 天楼」自らが操る仏鉄塊。操縦者の鳳来の持つ「神通力」に加えて、その機体性能自体も今までに登場した仏鉄塊を上回る機体である。
……「田鳧」はチドリ目チドリ科のやや大型の鳥。美しい光沢のある緑色の背中を持ち、後頭部には長く黒い飾り羽を持つ。


◇「産土神黄輝ノ塊」(ウブスナガミオウキノカイ)

……「鳳来ノ国」の地下空洞から掘り出された謎の物体。強烈な残留思念を帯びており、この物体に遭遇してその残留思念を知覚した「鳳来 天楼」は、奇跡的な力を発揮し始めると同時に、表層的な使命感と狂気に取り付かれた。その暴走の結果、鳳来はこの物体が持つ力をも自身のものにしようと企んだため、鳳来によって、物体には制御装置が取りつけられた。そのため、鳳来を倒した森羅達の前にも、制御装置を取り付けられた姿のまま現れるが、それでもなお、巨大なエネルギーを内部に秘めている。また、この物体は、その別名を「石のような物体」と称せられている……。


参考資料:月刊アルカディア2001年7月号&10月号及び2002年1月号特集記事、2月号掲載設定資料、5月号特集記事、9月号特集記事、ドリームキャスト専用GD-ROM『斑鳩』、トレジャー公式HPより転載&加筆

BACK

inserted by FC2 system