No.74…"デビルサバイバー2"(2011.7.28/DS/開発:アトラス/販売:インデックス)

 2009年に発売された『女神異聞録デビルサバイバー』シリーズの第2弾。キャラデザインは前作に引き続いてヤスダスズヒト氏、悪魔デザインも前作と同じく金子一馬氏、そして謎の敵「セプテントリオン」のデザインを鬼頭莫宏氏が手掛けている。また、音楽は新しく伊藤賢治氏が担当している。

 「限られた日数内でのサバイバル劇」という構成は前作と同じだが、今作では日本全土が謎の敵襲に巻き込まれ、主に東京・大阪・名古屋の3都市を舞台に物語が展開する。戦闘に参加するキャラクターも大幅に増えており、総勢13人の悪魔使いが主人公と「縁(えにし)」で結ばれ、ストーリーに関わってくる。ただし前作との関わりは全くなく、別の世界軸での新規の物語となっている。

 エンディングに至るルートは6日目に分岐し、ダイチルート(a&b)、ヤマトルート、ロナウドルート、サダクルートの合計5種類のエンディングが存在している。どのルートでも今作から取り入れられた新システム「縁」の値が一定値に達していれば、一度は敵に回ったキャラでも、最終的には仲間にする事が出来るようになっている。ただしヤマトルートのロナウド、ロナウドルートのヤマト、サダクルートのヤマトとロナウドのように、決して仲間にならないキャラもルートによっては存在している。

 前作より悪魔やスキルが増え、スキルクラックも「縁」システムのおかげで一体の敵から同時に複数のスキルをクラック出来るようになった。また、仲魔の種族スキルも一部が強化され、そのためかスキルを上手く使わないとクリア不可能なマップも多く存在しており、全体的に戦闘難易度は前作よりも高くなっている。そのため、前作をクリアしたプレイヤー向けに調整されているとも言えよう。

 ただし、前述の「縁」システムに関わるキャラごとのイベントが8日間に渡ってみっちり詰め込まれているため、全てのキャラを仲間にしようとする場合、どのイベントのどの選択肢でどれくらい好感度が上がるかを調べてその通りにイベントを発生させなければいけない。そのため、ある程度自由度があって気楽に進められた前作よりもゲームを進める手順が複雑化してしまった。また、個人の嗜好もあるだろうが、後味の悪いエンディングが複数存在しているのも、ある意味で今作のデメリットかもしれない(前作でもユズルートのような救済のないエンディングは存在したが、完全版の『デビルサバイバー オーバークロック』で追加された「8日目」で救済策が用意され、後味の悪さも解決されている)。

 また、東京・大阪・名古屋の3都市を主な舞台としているが、物語の途中から3都市を自由に行き来出来るようになるため、遠く離れた3つの都市を行ったり来たりするという感覚が薄く、山手線内側という限られた範囲が舞台だった前作のほうが東京都内の様々な場所を回る実感が大きかった。加えて、初日から政府所属の「ジプス」という組織に協力する形でストーリーが進むので、生きるか死ぬかというサバイバル感も薄れてしまっている。そして、ルートが分岐する6日目までは一本道の内容で、これは前作でも挙がっていた不満点でもある。

 以上のように前作より劣る部分も見受けられるが、確実に進歩した続編には仕上がっている。前作を楽しめたプレイヤーならば、是非プレイをお勧めする作品である。

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