No.66…"女神異聞録デビルサバイバー"(2009.1.15/DS/開発・販売:アトラス)

 アトラスの看板タイトルである『真・女神転生』シリーズのパラレル的派生作品の最新作。『女神異聞録』とは銘打っているが、同じ名を冠する『ペルソナ』シリーズよりもシステムは『魔神転生』シリーズに近く、同作品を更に洗練したS・RPGである。

 突如として悪魔が出現し、そのために完全封鎖された東京・山手線内側区域。プレイヤーは一人の男子高校生として親友や幼馴染らと共に、従兄から渡された「悪魔召喚プログラム」を内蔵したCOMPを手にして、「運命の7日間」の中に放り込まれてしまう。

 プレイヤー=主人公は前述の特殊なCOMPを持ったことで、悪魔を「仲魔」として使役する力を得るほかに、自分を含めた他人の「余命」を見られるようになる。だが、その余命は絶対的なものではなく、主人公らの行動によって変えることが出来る。この「余命を見る力」と、毎日COMPに届く予言めいた謎のメッセージ「ラプラスメール」を参考にして、主人公らは予知された死を回避しながら生き延び、「東京封鎖」に隠された真実に迫っていくことになる。

 封鎖された極限状況内で、主人公は様々な人々と出会う。主に挙げれば、主人公の親友でコンピュータ知識に長けたアツロウ、幼馴染の少女ユズ、アツロウの友人ケイスケ、天真爛漫なネットアイドル・ミドリ、孤独を抱えた歌姫ハル、ハルの保護者的存在の男性ジン、渋谷のカリスマチームのリーダー・カイドー、カイドーの幼馴染でアツロウの恩師マリ、特殊部隊の女性兵士イヅナ、新興宗教「翔門会」の神秘的な巫女アマネ、主人公の従兄であり謎めいた天才プログラマー・ナオヤ。主人公が選択し、辿る道によって、彼らの運命も大きく変わっていく。

 恐怖と絶望に負けて強行突破して逃亡するか、救世主となって神の絶対統治のもとに人間を下らせるか、魔王となって悪魔を屈伏させ神にも匹敵する存在となるか、人の技術によって悪魔を支配するか、人の技術に加えて戦いの中で自身に宿った力で希望に賭けるか……プレイヤーはどのルートを選んでもいい。どれが正しいのか、いや、どれが自分の信じる考えであるのかは、プレイヤーが判断すべきことなのだから。

 以上のように、思想によるマルチエンディングや戦闘システムがS・RPGであることなどから、『ペルソナ』または『デビルサマナー』シリーズより、長らく途絶えていた『魔神転生』シリーズの一つと言ってもいいゲームとなっている。また、様々な意味で『女神転生』というゲームの原点回帰を感じられる作品でもあるので、メガテンファンは是非プレイすべきタイトルだと言えよう。

 なお、現在では2011年9月1日に完全版と言える内容の『デビルサバイバー オーバークロック』が3DSで発売されているので、これからプレイするという人はそちらをプレイすることをオススメしたい。

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