No.75…"真・女神転生 STRANGE JOURNEY"(2009.10.8/DS/開発:アトラス、ランカース/販売:アトラス)
No.75…"真・女神転生 STRANGE JOURNEY アトラスベストコレクション"(2011.8.11/DS/販売:インデックス)

 『真・女神転生』シリーズのナンバリングタイトルではなく、外伝的作品として世に出た作品だが、その内容は歴代の『女神転生』シリーズと比較しても遜色なく、『真・女神転生IV』として出ていてもおかしくなかった傑作である。

 21世紀初頭、地球の人口が70億を超えた頃、あらゆる物体を分子崩壊させながら巨大化する亜空間が南極に突然現れた。国連はこの亜空間を「シュバルツバース」と名付けて対策機関を設立し、非公表で問題解決を図るが、人知の及ばないその存在に対しては対策法はおろか調査もままならなかった。拡大し続けるシュバルツバースに対し、国連はその内部に有人探索艦を送る最後のプラン「シュバルツバース調査隊」を承認した。調査隊には各国の優秀な兵士や科学者が集められ、国家間の利害を越えた最高のテクノロジー支援がなされ、人類の科学技術が結集された。人類の未来を救う任務を帯び、シュバルツバース調査隊は想像を越えた存在達が待つ世界へと旅立った……。

 以上の背景がこの作品のストーリーにあり、世界観は往年のハリウッドSF映画を彷彿とさせるイメージで、それはプレイヤーが装備する最新鋭スーツ「デモニカ」や搭乗艦「レッドスプライト号」のデザインなどにも反映されている。プレイヤーは日本から派遣された兵士の一人として調査隊の一員となり、シュバルツバースを巡る「旅」を続けるうちにいつしか地球の覇権を賭けた戦いに身を投じ、最終的には重大な選択を強いられる。人間が人間であることを諦めてしまうのか、シュバルツバースを受け入れて弱肉強食の無法に身を委ねてしまうのか、それとも人間の可能性を信じて破壊への願望を打ち消すのか……神、悪魔、人間、それぞれの思惑が入り乱れるシナリオは紛れもなく『女神転生』というゲームの本質を表している。

 ハードがDSという携帯機となったが、2画面で構成されるDSとデータの多い『女神転生』というゲームの相性は非常に良いことを示す結果となった。DSに表示される画面はプレイヤーがゲーム内で装備している最新鋭スーツ「デモニカ」を通した画面という設定になっているが、移動画面では常に別画面でマップが表示され、戦闘では解析した敵のデータ及び味方のデータをやはり常時別画面で確認出来るため、これまでのシリーズと比べてもプレイヤーにとって非常に便利で遊びやすい快適感をもたらしている。

 シリーズの肝である悪魔合体についても、条件を満たすと合体解禁される特殊な悪魔を除いて、通常はコンピュータ上での二身合体のみではあるものの、デモニカにインストールするサブアプリによって合体事故の確率や特定種族の発生率、レベルアップ時のパラメータの成長率を操作したり、本作で初登場した「デビルソース」を使うことによって自分のお気に入りの仲魔を自由にカスタマイズ出来るようになった。また、生み出した仲魔については個々のデータを「パスワード」として打ち出すことで、自分が育てた仲魔を他のプレイヤーが共有出来るシステムとなっているので、「自分だけの仲魔」を生み出すだけでなく、他者へその仲魔のデータを受け渡せる楽しみも増えている。

 システムもシナリオも秀逸で『真・女神転生』シリーズの名に恥じない今作品。現在は廉価版も発売されており、往年のファンにも新規のプレイヤーにも文句なくオススメ出来る新たな、そして原点回帰した「メガテン」である。



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