No.65…"428 〜封鎖された渋谷で〜"(2008.12.4/Wii/開発:チュンソフト/販売:セガ)
No.65…"みんなのおすすめセレクション 428 〜封鎖された渋谷で〜"(2010.2.25/Wii/販売:セガ)
No.65…"428 〜封鎖された渋谷で〜"(2009.9.3(廉価版:2010.12.2)/PS3/開発:チュンソフト/販売:スパイク)
No.65…"428 〜封鎖された渋谷で〜"(2009.9.17(廉価版:2010.12.2)/PSP/開発:チュンソフト/販売:スパイク)
No.65…"428 〜封鎖された渋谷で〜"(2011.3.9(ダウンロード版)/PSP/販売:スパイク)
No.65…"428 〜封鎖された渋谷で〜"(2018.9.6/PS4/開発・販売:スパイク・チュンソフト)
No.65…"428 〜封鎖された渋谷で〜"(2018.9.6/Steam/開発・販売:スパイク・チュンソフト)

 チュンソフト謹製サウンドノベルであり、複数主人公によるザッピング形式で展開するゲームという意味では、同じくチュンソフトの代表作にしてサウンドノベル最高峰の名作と言っても過言ではない『街』の正統後継作である。

 舞台となるのは渋谷。この都市で数人の人物が主人公となり、運命の一日をそれぞれが過ごすことになる。8人の主人公のシナリオを最初からプレイ出来た『街』とは異なり、『428』はまず、渋谷署の若手刑事と渋谷に暮らすフリーターの若者の2人から物語が始まる。シナリオを正しい方向へ導くことでゲーム内の時間が進むに連れて他の主人公が現れ、最終的には同時間軸内で5人の主人公のシナリオが絡み合うことになる。それぞれの何気ない選択肢が他の主人公の運命を大きく変えることになるザッピングの醍醐味や、ユーモアある単語説明文「TIPS」などは今作でも健在である。

 しかし、『街』では基本的に8人のシナリオが最後まで独立したままだったのに対し、『428』では各シナリオは最終的にひとつに収束する仕組みとなっている。そういう点で『428』は『街』の関連作ではあっても、『街2』ではない。これはどちらが優れているかという問題ではなく、それぞれに面白さがあるのだが、シナリオのバリエーションやボリュームにおいて、『428』はやや物足りないと感じるプレイヤーもいるかもしれない。だが、それは『街』との比較からであり、一本のゲームとしては十分すぎる量と質が『428』にはきちんと詰まっている。

 今回も隠しシナリオを始めとした隠し要素は幾つか存在する。その評価は各プレイヤーに委ねるが(個人的にはTYPE-MOON制作シナリオはこのゲームには全く合わないし、質的にも本編に敵わない凡作であると思う)、特に最後に隠された謎については、Wiiというハードの特性を活かして作られており、大変面白いものになっている。見つけるのは非常に困難なうえ、フルに楽しむにはゲーム発売日から一定の期限付きという点は少々残念ではあるが……。

 最後に付け加える点として、この『428』は、『街』と同じ世界の10年後という設定なので、ところどころに『街』と絡めたネタが存在しており、開発側が明らかに『街』のプレイヤーを意識していることが分かる。そのため、『街』を未プレイの方には、ぜひ先に『街』を隠しシナリオ含めてクリアしてから『428』をプレイすることをお勧めしたい。他にも『風来のシレン』を始めとしたチュンソフト作品の小ネタも散りばめられているので、それらの作品を知っていれば更に楽しむことが出来るだろう。

 『街』から10年の時を経てようやく世に出たサウンドノベルの傑作。Wiiごと購入しても間違いなく楽しめると断言したい作品である。

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