No.25…"七ツ風の島物語"(1997.11.27/SS/開発:ギブロ/販売:エニックス)

 ギブロ開発の異色アドベンチャー。主人公の竜人・ガープは、とある島に生まれ変わって現れます。その後、ハサミネズミのキスケ、プロペラウサギのクリオン、フクロガエルのロクゾウという3人の友達と共に、島を探索し、大カタツムリのソウルやスズウサギのリムルといった島の不思議な住人たちと出会い、色々な出来事に遭遇します。そして、ガープは過去に犯した大きな「罪」を知ることになるのです。

 はっきり言います。これほど最後に立ちはだかる存在が悲しいと思ったゲームはありません。発する台詞のひとつひとつに泣きました。なぜなら、その存在がその姿になった原因は、ほとんど全てガープにあると言っても過言ではないのに、それでも、その存在はガープを憎みきれないのですから。ガープが生まれ変わる前に犯した「罪」。最終的に、ガープはその「罪」を贖うことになります。そう、これは主人公・ガープの「贖罪の物語」なのです。この辺りはデータイーストの不朽の名作RPG『ヘラクレスの栄光III』に通じるところもあるかもしれません(あまり書くと両作品のネタバレになるので、詳しくは書きませんが)。

 最初に名前や好きなもの、嫌いなものをプレイヤーに尋ねてきますが、これはよく考えてつけたほうがいいでしょう。特に「好きなもの」、これは本っ当に考えて入力してください。この物語の核となる存在に深く関わってくるキーワードとなるのですから。

 奥深いストーリーにばかり触れましたが、昆虫採集や魚釣りといったミニゲーム的な楽しい要素もあり、ヘタをすると物語が佳境に入る前は、本編そっちのけでハマるかもしれませんね。ただ、欠点としてはガープの移動速度が遅いこと、ヒントが全体的に少ないことなどが挙げられるでしょうか。それでも、それらの欠点を補って余りある魅力があるゲームです。開発元であるギブロの最後の作品でもありますし、興味を持たれた方は、中古ショップなどで見つけましたら、手に取られてみてはいかがでしょうか。

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