No.49…"おさわり探偵 小沢里奈"(2006.4.13(廉価版:2007.5.2)/DS/開発:サクセス、ビーワークス/販売:サクセス)

 「タッチペン&タッチスクリーン」という新しいインターフェースを搭載したハードであるニンテンドーDS。今回紹介する『おさわり探偵 小沢里奈』は、そのDSの特性を巧みに使っているソフトと言えよう。

 主人公は代々探偵を営む小沢家の令嬢「りな」。彼女も年頃となり、探偵の仕事を始めることになるところから物語は始まる。しかし舞い込んでくる依頼は「夢泥棒を捕まえてほしい」だの「妖精を助けてほしい」だの、妙なものばかり。しかも本当にそれらの事件は起こっているのだ。こうして、りなの奇妙な探偵としての日々は始まるのであった。

 基本的に操作はタッチペンのみで行う。画面上で怪しい箇所をタッチすると、りなはその場所を調べるし、人物にタッチすれば、その人物と会話が出来る。また、取得したアイテムをアイテム表示画面で拡大して色んなところを触ると、意外な発見が出来たりもする。これが間接的にカーソルを動かす従来のタイプのADVだったら、このゲームは失敗していただろう。直接画面の好きな場所をタッチ出来るDSだからこそ、このゲームは世に出ることが出来たのである。

 ストーリーは全4話で、それぞれのタイトルは以下の通りである。何やら仰々しい言葉が並んでいるが、見事にそれぞれの事件の内容を表しているものばかりである。

第1話「強奪 もしくは夢と現実が織り上げた幻月の物語」
第2話「失踪 もしくは偽りの小宇宙に秘められた真実の物語」
第3話「未還 もしくは無垢なる心が呼び寄せた奇跡の物語」
第4話「傷害 もしくは過去の怨恨が引き起こした悲劇の物語」

 これら全ての事件に絡んでくるのが、りなの友人である超天然少女の「まなみ」。お金持ちのお嬢さまらしいが、現在は女性限定アパートで一人暮らしをしている。もうひとりのメインキャラは「ちとせ」。まなみと同じくりなの友人だが、突っ張った性格でなんにでも首を突っ込みたがる一面がある困った少女である。この他にも、代々りなの家に仕えている執事兼発明家の「じい」や、まなみの住むアパートの管理人「ヨネコ」、りなのペットの「なめこ」など、多彩なキャラが登場する。

 絵柄は一見可愛いようでいてどこかシュールでブラックで、それは各シナリオにも反映されている。謎解きが難しいと言うか、とんでもない「とんち」を思いつかないと解けない部分も多いが、それだけに謎が解けたときの達成感にはとても嬉しいものがある。正統派推理ADVと言うよりもファンタジーADVと言った方が合っているかもしれないこの作品。店頭でパッケージに惹かれた方はお試ししてみてはいかがだろうか?

 なお、現在は廉価版にあたる「ぐっどぷらいす版」(2007年5月2日発売)の他、続編である『おさわり探偵 小沢里奈 シーズン2 1/2 里奈は見た!いや、見てない。』が発売されている。第1作以上にパワーアップした良作であるので、今作を気に入った方ならば、ぜひプレイして頂きたいものである。

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