No.112…"名探偵ピカチュウ"(2018.3.23.(パッケージ版・ダウンロード版)/3DS/開発:クリーチャーズ/発売:(株)ポケモン/販売:任天堂)

 ピカチュウと言えばその声は全世界共通で大谷育江さんであるのだが、主人公のパートナーとして登場するピカチュウの声はなんと大川透さんが当てていることやそのおっさんくさい台詞や仕草で話題をさらったあの『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』である。本作『名探偵ピカチュウ』はその『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』が発売されてから2年の年月を経て世に出た待望の続編である。

 ゲーム本編は『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』の全シナリオが第1章〜第3章として含まれており、さらに『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』のエンディング後から続く新規シナリオが第4章〜第9章として収録されている。まさに完全版『名探偵ピカチュウ』と言っていい内容だろう。なお、『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』のクリアデータがあれば、パッケージ版&ダウンロード版のどちらでも新規シナリオの始まりの章である第4章からプレイ開始することが出来るようになっている。

 新規シナリオではティムとピカチュウはポケモンが突然に凶暴化する事件の真相を追って、南の離島や閉鎖された遊園地といった様々な場所へ章ごとに赴いて事件を解決させていく。その中で、ティムの行方不明の父親のハリーの行方に触れたり、ピカチュウがある特別なポケモンと交わした約束を思い出したりしながら、物語は進んでいく。

 基本的にはオーソドックスなADVで、各章の主にクライマックス的なシーンでボタンをタイミング良く押したり連打したりといったアクションを求められるのは前作と同じだが、アクションとしての難易度は低めに設定されているので、そうそう失敗ばかりはしないだろう。ただ、謎を解く証拠が完全にそろわないうちに「推理モード」に移行することを頻繁にピカチュウが提案してくるのは少し参ってしまった。また、これはパッケージ版だけなのかもしれないが、ゲームのデータ全体に大幅に圧縮をかけているのか、ゲームを起動するときと終了するときに大幅になロード時間を取られるのもかなりストレス要素だった。もしこれがパッケージ版のみの現象なら、こだわりのない方はダウンロード版を購入されたほうがいいのかもしれない。

 新規シナリオのプレイ時間は約10時間ほどで、4〜5時間ほどのプレイ時間だった前作の倍のボリュームのシナリオだということがプレイ時間からも分かるだろう。前作以上に人間とポケモンが共生している世界の描かれ方は秀逸で魅力的であるし、ゲーム全体の黒幕である真犯人などに関しては「お約束」な要素が強すぎる気もするが、描かれる人間もポケモンも魅力的なキャラばかりである。

 エンディングにたどり着いてもまだ残された謎はあるし、今後の展開を匂わせる新たに張られた伏線も生まれているし、それはこのゲームがシリーズ化する布石なのではないかと思う次第である。そうだとしたら、ティムとピカチュウの新たな物語にまた出会えるのかもしれないと思うと、楽しみな限りである。

(追記)
 『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』は、続編である『名探偵ピカチュウ』が発売される約2か月前の2018年1月12日をもって配信終了しており、現在は購入してダウンロードすることは出来ません。



OFFICIAL SITE

CONTENTS

inserted by FC2 system