No.94…"名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜"(2016.2.3/3DS DLソフト/開発:クリーチャーズ/発売:(株)ポケモン/販売:任天堂)…2018年1月12日23時をもって配信終了

 ピカチュウと言えばその声は全世界共通で大谷育江さんであることは有名だが、この作品に主人公のパートナーとして登場するピカチュウの声はなんと大川透さんが当てている。大川さんの渋い男性の声とピカチュウの見た目とのギャップに最初は驚くが、ゲームを進めていくごとに大谷ピカチュウとは全く違う大川ピカチュウの個性にも引き付けられていくだろう。

 主人公の少年ティム・グッドマンはある目的を持ってライムシティへとやって来る。その目的とは2か月前にこの街で行方不明となった父親のハリー・グッドマンを探すこと。だが、ライムシティに着いて早々、ポケモンが起こした事件に巻き込まれ、人間の言葉を話すピカチュウと出会う。しかしそのピカチュウの言葉を理解出来るのはティムだけであった。やがて、そのピカチュウは行方不明になったハリーのパートナーであったことが分かり、ティムとピカチュウはコンビを組んでハリーを探し始めるのだった。

 主人公のパートナーとなる大川ボイスのピカチュウはコーヒーの味にうるさかったり女性好きだったりと妙に親父臭い性格で、しかもハリーが行方不明になった事故に一緒に遭ったときに記憶喪失となっており、ハリーとの関係も自分を保護したハリーの親友の探偵マイク・ベイカーの話から知ったものだった。おまけに事故の影響からか、10万ボルトを始めとした技も使えなくなっていた。しかし探偵としての捜査能力は優秀であり、ティム=プレイヤーを分かりやすく導いてくれる。なお、ティムはピカチュウ以外のポケモンの言葉は分からないため、ポケモンに聞き込みをする際にはピカチュウが通訳となるのだが、ここでもこのピカチュウの個性が良い方向で表れている。

 プレイ時間は4〜5時間ほどで、物語としては序章で終わるが、良質な推理アドベンチャーゲームなので、プレイし終えたときには是非続きをプレイしたいと思っているだろう。また、これは発売前のPVにも収録されていたのだが、大谷育江さん演じるサトシのピカチュウと思われる個体もほんの少しだが登場し、今作のピカチュウと心憎いやり取りをして去っていくファンサービスもある。人間とポケモンが共生している世界観の描き方は秀逸であるし、ピカチュウを始めとしたポケモン達の仕草も細かくて愛らしい。ポケモンファンならばプレイしてほしいと思えるし、続編が待ち遠しい一作でもある。

(追記)
 『名探偵ピカチュウ 〜新コンビ誕生〜』は、続編である『名探偵ピカチュウ』が2018年3月23日に発売されたのに合わせて、2018年1月12日をもって配信終了しています。パッケージ版&ダウンロード版が同時発売された『名探偵ピカチュウ』には『〜新コンビ誕生〜』の全シナリオのほかに、その後の追加シナリオが収録されており、事実上の続編となっています。興味を持たれた方、これからプレイしたいという方は『名探偵ピカチュウ』をお買い求めになってください。

CONTENTS

inserted by FC2 system