No.64…"アヴァロンコード"(2008.11.1/DS/開発:マトリックス/販売:マーベラスエンターテイメント)

 ゲームの概要自体は『ゼルダの伝説』シリーズに近い箱庭系アクションRPG。主人公はゲーム冒頭で、世界を司る「預言書」に選ばれ、現在の世界が滅んだ後に生まれる次の世界の創造主となり、新世界に伝えるべき価値ある存在を預言書に書き記す使命を背負って、物語を進めていくことになる。

 加えて、この作品の最大の特色は、「世界を書き換える預言書RPG」というセールスコピーの通り、世界に存在する人間やモンスター、アイテムなどといったあらゆる存在を「コードスキャン」という方法によって、それらのデータを預言書のページとして入手出来ることである。

 「世界の存在をデータとして入手する」という設定は、GBカラーの異色カードゲームADV『DT Lords of Genomes』などでも採用されているが、『アヴァロンコード』では、入手したデータを構成している「コード」と呼ばれる要素を付け外し出来るという更に踏み込んだシステムが追加されている。このコード操作によって、キャラクターの「価値」を上げて預言書のレベルを上げたり、モンスターを弱体化させたりといったことが出来るため、大変面白いポイントとなっている。

 ゲーム全体を通して、プレイヤーは世界のあちこちを行ったり来たりしてダンジョンを攻略したり、コードスキャンを繰り返しながら探索をすることになる。それに冒険の際の自由度が半端なく高く、怪しいポイントを調べるといった謎解きにしてもヒントが少なく不親切なのだが、そういったシステムにやり込む楽しみを見出すことが好きな人ならば、このゲームを「面白い」と感じることが出来るだろう。

 しかし残念ながら、常にボタンとタッチペンを併用する必要があるため、操作性はあまり良好とは言えないのが残念な点である。特に預言書のページ分類が大ざっぱでコード操作に手間がかかるうえに、預言書の操作がタッチペンオンリーなので、インターフェースはお世辞にもいいとは言えない。また、ゲーム後半には、マップが表示されないといったバグが頻発するため、小まめなセーブが必要とされるのも残念な点である。そのセーブデータも容量の都合とは言え、一つしか存在しないのも不便である。

 だが、主人公(性別選択可能)をはじめとしたキャラクターや世界観は非常に魅力的で引き込まれるものがあり、前述の欠点に目を瞑ってもゲームを先に進めたいと思わせる牽引力となっている。パズル的要素は強いものの、アクション難易度はそう高くないので、興味を持たれた方には積極的にオススメしたい佳作である。

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