No.1…"DT Lords of Genomes"(2001.5.25/GBC/開発:ゲームスタジオ/販売:メディアファクトリー)

 "DT Lords of Genomes"……ゲームボーイでひっそりと発売されたこのゲームの名前を知っている方は少ないだろうと思う。事実、私も「内容がきつすぎて発売延期になっているソフトが存在する」という『コンティニュー』の記事を読んで初めて知ったのだから。その後、多々の修正を行ったうえでこのゲームは発売された。しかし、修正されたといっても、その内容のバイオレンスな部分と恐ろしいまでのテキストデータは、おそらくはゲームボーイソフトの中でも異色極まるものであると思われる。それほどこの「DT」は、ゲームボーイソフトの中にあって「異端」なのだ。

 ゲーム内容は、いわゆるカードバトル方式。デッキを組み、ストーリー上で出会う敵と戦って先のストーリーに進むとともに、カードを集め、自身のデッキを強く組み直していく。これだけなら特に普通一般のカードゲームと変わりはしない。しかし、「DT」を「DT」たらしめている部分は、そのカード一枚一枚に付属するバックグラウンドストーリーの広大さなのだ。カードを一枚だけ取ってみても、そのテキストには凄まじい数のハイパーリンクが施されており、リンクを追っていくと文字通りキリがないほどである。一枚一枚のカードが世界を形作っており、言い返せば、ひとつのカードは大規模な世界に組み込まれた一部なのだ。

 ストーリーについても、同じようなことが言える。このゲームボーイ版「DT」で語られるのは、「DT」の世界で起こったあるひとつの事件、「ばら6号事件」と称される一連の出来事だけなのである。それ以前の物語や同時進行で起こったサイドストーリー、そして「ばら6号事件」以降の出来事と思われる事象などは、ほとんどストーリー上では語られない。膨大な枚数のカード、そしてそのカード1枚1枚が背負っているテキスト量と張り巡らされたハイパーリンク。これらを読みとっていくことで、初めて「ばら6号事件」以外に「DT」世界で起こった出来事や関わる人物について少しづつ知っていくことが出来るのである。

 稚拙な説明しか出来ない自分がもどかしい限りだが、少しでも説明の足しになればと思い、簡潔なストーリー紹介と人物紹介を下に記しておく。もし少しでも興味を持たれた方がいて、そしてもしも「DT」という世界に触れるきっかけとなるのなら、幸いである。



BACKGROUND STORY

CHARACTERS

CONTENTS

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