No.51…"世界樹の迷宮"(2007.1.18(廉価版:2010.7.15)/DS/開発:アトラス、ランカース/販売:アトラス)

 『ウィザードリィ』を彷彿とさせる3Dダンジョン探索型RPG。発売前からかなり評判になっていたようだが、発売後は口コミによる好評もあってか、発売数日であっという間に品切れ状態になってしまった。おそらくは発売元のアトラスも、このゲームがここまでプレイヤーを惹き付けるとは思っていなかったのだろう。だが、タッチパネル&タッチペンを利用したマッピングシステムといったDSならではのシステムなども取り込みながらも、どこか「古き良き時代の懐かしい匂いのするRPG」、それがこの『世界樹の迷宮』なのである。

 ゲーム内容は、何階層もの巨大なダンジョンを成している世界樹のほとりにある街をメインキャンプとして5人パーティを編成し、世界樹の地下へと潜っていき、その謎を探るというものである。職業はソードマン、パラディン、ダークハンター、レンジャー、メディック、アルケミスト、バード、ブシドー、カースメーカーの9種類があり(ただしブシドーとカースメーカーはメインシナリオをある程度進めてイベントをこなさないと作れない仕様になっている)、この中からキャラを作成して冒険者ギルドに登録するというシステムになっている。

 各職業にはそれぞれの「スキル」があり、キャラをレベルアップさせてステータスにスキルポイントを振り分けることで覚えたり強化されてりしていく。このスキルシステムが非常によく出来ており、低レベルパーティでも、スキルを上手く駆使すれば、強敵に打ち勝つことも可能である。特にオススメなのは、パラディンの「防御陣形(味方全体の防御力アップ)」、レンジャーの「トリックステップ(敵の攻撃の命中率低下)」「アザーズステップ(自分と味方一人の攻撃順を入れ替える)」「アクトファースト(発動すれば敵味方の速さに関係なくターンの最初に攻撃)」「先制ブースト(味方の先制攻撃率アップ)」「先制ブロック(発動すれば敵の先制攻撃を無効化)」、メディックの「医術防御(物理攻撃含めた属性攻撃への防御力アップ)」などであろう(レンジャーのスキルが妙に多いのは私が気に入っているからというのもあるが、役立つのは確かである)。ただし、キャラのレベル上限は70までで、スキルポイントも有限なので、どのスキルを伸ばすかといったことを考慮しないといけないが(「引退」「休養」といったシステムによる救済措置もあるが)、それもまたキャラを育てる楽しみとなっている。

 システムだけでなく、ストーリー面も意外としっかりと作られている。プレイヤーは最終的には、世界樹の最下層に辿り着くことで自分達が生きる世界の真実を知り、更に世界樹の深奥では、忘れ去られた遥か過去の歴史や世界樹に託された使命なども知ることとなる。それに加えて、メインシナリオの他にも、施政院から受理する「ミッション」や、酒場で請ける個人的な頼みごとである「クエスト」などのおかげで、単純な戦闘にばかり明け暮れて飽きるということがないし、ゲットしたアイテムを店に売ることで、それらのアイテムを素材として、どんどん新しい武器防具や薬が開発されて、店のラインナップが増えていく。自分達の冒険の結果が、ちゃんと反映されているのだとなんとなく嬉しくなってしまうシステムである。

 久々に出た新規タイトルRPGのスマッシュヒット作。自信を持ってオススメ出来る秀作である。

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