[守るべきものはいま、そこにある未来と希望 ―決してその手を離さずに―]



「あん……ああん! バスター……!」
「レアナ……レアナ……!」
 夜を迎えたTETRAのバスターの部屋の寝台の上では、今宵も生まれたままの姿で熱く激しく愛を確かめ合うバスターとレアナの姿があった。
 ひしと抱き合ったバスターとレアナはひとつに結ばれ、いままさに、愛し合う喜びに身も心も浸っていた。
 たくましい裸のバスターに抱きかかえられ、その彼の猛った己自身でもって、レアナはその華奢な体の芯を攻められ続けていた。だが、レアナはそうやってバスターにその身を攻められることから微塵も逃げようとはせず、むしろ大胆なまでに積極的に、愛するバスターの猛々しさを受け入れていた。
「あん……! バスター……あん……! もっと……もっと来て……!」
「ああ……分かってるさ、レアナ……!」
 バスターの体の動きはいっそう激しくなり、レアナの体の奥底までをさらに攻め続けた。そうして短くはない時間が経った頃、バスターとレアナはひときわ大きな声をあげた。
「バスター……! ああ……ん! バスター!」
「レアナ! くうう……! レアナ!」
 長い時間をかけてひとつになって愛し合い、バスターとレアナはほぼ同時に頂点に達していた。レアナの体からは力がすっかり抜けてぐったりとなったが、バスターはそんなレアナを抱きしめたまま、彼女の体の芯へと己の精を勢いよく解き放った。
「ああ……ああん……! バスター……!」
 自身の体の奥底に、バスターの愛の証である刺激に満ちた彼の熱い精がたっぷりと注ぎ込まれた感覚に、思わずレアナは甘く高い声をあげ、バスターにしがみついてきた。
「レアナ……」
 そんなレアナの様がいとおしくてたまらず、バスターは無意識のうちにレアナの唇を奪っていた。
「バス……ん……」
 レアナの唇は熱く甘く、バスターは愛する少女のそのとろけるような愛らしい唇を存分に味わった。
「レアナ……俺だけのレアナ……」
 そうつぶやき、ようやくレアナの唇を解放した後も、バスターは愛しいレアナの体を抱きしめ続けていた。時折、絹糸のように光るレアナの美しい髪の毛を撫でたり、一糸まとわぬ白く細い体の曲線を手のひらで撫でたりもしながら。
 レアナはそんなバスターの仕草に何も抵抗せず、彼に抱かれるままになっていたが、不意にそっとバスターの右手を握ってきた。
「どうした? なにか嫌だったか?」
 バスターが気遣うように尋ねると、レアナはゆっくりと頭を横に振った。
「ううん……ちがうの……。その逆……すごくうれしいの……」
 レアナはそう言うと両手でバスターの右手を握り、大切な宝物にでも触るかのように撫でてきた。その表情には慈愛の笑みが浮かんでいた。
「バスターの手って……やさしいね」
 思ってもいなかったレアナの言葉に、バスターは少々、面食らったが、いつもの彼らしい自信に満ちた笑顔で言葉を返した。
「そうか? こんなごつい手だぞ?」
「うん。でも……すごくやさしいの」
 レアナはバスターの右手を握る自身の両手に力をこめ、一段と嬉しそうに微笑んだ。
「毎晩、バスターにこの手で愛してもらえているとき……あたしはなんて幸せなんだろうっていつも思うの。ううん、夜だけじゃない……昼間でも、バスターのこの手があたしの手を握ったりしてくれるだけで……まるでバスターのやさしさが伝わってくるみたいで……本当にうれしいの」
 そこまで話すと、レアナはこれ以上ないほど愛らしい笑みをバスターに向けた。まさしく天使の笑みといった言葉がぴったりであり、バスターから理性を奪うには充分だった。
 バスターはレアナの体を抱きしめ、もう一度、深く唇を重ねていた。レアナもバスターの鍛えられた体にしがみつき、夢中で彼女を求めるバスターの愛に応えていた。
「レアナ……この世界の何よりもお前を……愛している」
 長い時間が過ぎ、バスターは唇を離すと、紫色の瞳でレアナを見つめつつ、武骨だがレアナに優しい手だと言われた手で彼女の髪の毛を梳きながら、レアナに愛の言葉をささやいた。
 レアナは心底から嬉しそうに微笑み、純粋無垢な愛にあふれた青い瞳でバスターを見つめ返した。
「あたしもだよ……。バスターがいない世界なんて……考えられないもの……。絶対にあたしを離さないで、バスター……」
「もちろんだ……。俺だってお前がいない世界になんて価値はないと思ってるんだからな。離したりするものか……レアナ……」
 そのまま二人は抱き合い、目を閉じて直に重ねた肌を通じて、お互いの心音と体温とを感じ合った。いまや人類の最後の希望だと言っても過言ではない二人の愛は、どこまでも限りなく湧き出す泉の澄み切った水のようだった。
 ただひたすらに純粋に愛し合う二人は、強く深く抱き合ったまま、涸れることを知らない愛の泉に共に静かに沈んでいった。



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