[甘くとろける秘密の中で二人は ―愛しあう二人の夜は熱く深く―]



 夜を迎えたTETRA内のバスターのこぢんまりとした個室の中。寝台には何一つ身にまとっていない裸のままのレアナが仰向けに横たわっており、彼女の体の上には、やはり裸のままのバスターがレアナの豊満な両の乳房のあいだに顔をうずめたまま、レアナの細く美しい裸の体をしっかりと抱きしめていた。レアナもまた、鍛えられた裸の体をさらして彼女の体に密着して覆い被さるバスターの赤毛の頭をいとおしそうに抱きかかえて、幾度となく撫でることをやめなかった。
「レアナ……。俺はすっかり……こうやってお前に甘える子供に戻っちまったな……」
 バスターのつぶやきを聞いたレアナは、声を出して笑いながらも優しく微笑んだ。
「ふふっ……甘えんぼうさんなバスター……。でも、そんなバスターもかわいい……」
「ああ……。俺はお前の前ではめちゃくちゃに甘えん坊だからな……。おまけに、こんな食いしん坊なんだぜ……?」
 バスターはそう言ってレアナの乳房のあいだから顔を上げると、彼女の平らな腹部へと顔を下ろして熱を帯びた舌先で柔肌に触れ、そのまま彼女の白く美しい肌を両の乳房の谷間まで上方へと舐めあげた。そして再び顔を上げると、レアナの形の良い乳房の片方にかぶりつき、今度はその乳房の頂点の愛らしい桜色の乳首を舌先で転がした。それと同時に、レアナのわきから腰にかけての彼女の裸の体の中でも特に美しいラインを、バスターは手のひらで綿密になぞっていた。
 レアナは彼女の体を舌先と手のひらとで丹念に愛撫するバスターの赤毛の頭を両手で必死に抱きかかえたまま、裸のままのあらわな体をよじらせて、なんともいえない艶やかさに満ちた甘い声をあげた。
「あん……! ああ……ん……! バスター……!」
「俺が甘えん坊で可愛いっていうのなら……お前の体は唇だけでなく、どこもかしこも何もかもがとびきり甘くてたまらなくて……うんと可愛いぜ? 愛しいレアナ……」
「ああ……ん! バスターったら……。甘えんぼうさんなだけじゃなく……本当にエッチなんだから……」
「今ごろになって気づいたのか? 毎晩、俺達はこの寝台の上で愛しあい尽くして……今夜だって散々、愛しあったじゃねえか。それとも……エッチな俺は嫌なのなら、もうここでやめるか?」
 バスターが顔を上げ、レアナの裸の体を愛撫する手は止めないまま、ニヤッと笑ってそう言うと、レアナはバスターの赤い髪をくしゃくしゃにつかみ、甘い声を漏らしながら返答した。
「あ……ん……! バスターのいじわる……! ちゃんと最後まで……あたしのこと、愛して……! ああん……!」
 裸の体への濃密な愛撫を通してバスターに愛される快楽にあえぐレアナの表情は、その口から漏れ出る甘く高い声と相まってあまりにも魅惑的で、バスターの中のレアナへの愛と男としての本能をこれ以上ないほど燃え上がらせた。
「お前は本当に愛らしいな、レアナ……。俺だってもちろん、わかってるさ……。まだまだ寝かせねえからな? 俺だけの愛するレアナ……」
「バスター……! あたしだけの……愛しい人……!」

 レアナの甘美で官能にあふれた声と寝台が大きくきしむ鈍い音とが響き続けた後、静けさを取り戻した部屋の隅の寝台には、バスターとレアナが寄り添って横たわっていた。バスターもレアナも依然として裸のままだったが、全身の肌はどちらもほんのりと赤く染まっており、ひとしきり熱く激しくひとつになって愛しあった二人は共に、愛しあった快楽の残滓の中に身も心も浸っていた。そんな中で、バスターはしきりにまぶたを閉じかけてはまた開く仕草を繰り返すレアナの柔らかな髪をそっと撫でた。
「レアナ……。随分と眠そうだな」
「うん……。あたし、ものすごく疲れちゃって……すごくねむいの……。でも……」
「でも?」
「あたし、まだバスターと愛しあいたい……。大好きなバスターに……もっともっと愛されたいの……」
 いつものレアナらしからぬ大胆な発言にドキリとしながらも、バスターはさらに優しく愛しげにレアナに声をかけた。
「無理するなよ……。また明日の夜、たっぷり愛しあえばいいさ。それに俺は、お前が熟睡しているあいだも、ずっとお前のそばにこうして一緒にいるんだからな……。安心して寝ろよ、レアナ……」
「バスター……。うん……。それじゃあ……おやすみなさい……」
 そう言い終わった直後に、レアナはすうっとまぶたを閉じ、たちまち深い眠りに落ちた。そんなあどけないレアナが、バスターにはたまらなく愛しかった。バスターは小さな寝息を立てて眠るレアナの裸の体を抱き寄せ、彼女の柔らかくさらさらの髪をもう一度、愛しそうに撫でた。そして、額にそっとくちづけを落とした。
「おやすみ……レアナ……」
 そうつぶやくと、レアナをその腕の中に抱いたまま、バスターも静かに眠りの海へと落ちていった。バスターと愛しあった後、レアナはいつも心の底から安心しきって眠っていたが、それはバスターも同様だった。バスター自身は無自覚だったが、彼とて、レアナが同じ寝台の上で自分のすぐそばで眠っているという事実に安心しきっているからこそ、毎晩、穏やかに眠ることが出来るのだった。
 どこまでも愛しあうことをやめない相思相愛の二人は、裸のままで眠りながら深層の意識の中でもお互いのことを心から想って愛しあい続けていた。TETRAの夜は、今日もつつがなく更けてゆくのだった。



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