[その身も心も愛し尽くされて]



 深夜に差し掛かろうかという時刻のTETRAの居住内に位置するバスターの個室。寝台のすぐそばに取り付けられた小さな明かりだけが灯ったかろうじてほのかに明るい部屋の中で、その決して大きくはない寝台には、生まれたままの姿のバスターとレアナが共に穏やかな表情を浮かべて、仲睦まじそうに身を寄せ合って横たわっていた。二人は今夜も何度となく愛し合い、いまもその余韻に浸っていた。

 横たわったままでバスターに寄り添っていたレアナだったが、おもむろに両腕をバスターのほうへと伸ばし、彼のたくましい裸の体にしがみつくと、うっとりとした甘美な表情でバスターを見つめた。
「バスター……あたしたち、今夜もたくさん愛し合えたね……。大好きなバスターにうんと愛してもらえて……あたし、本当に幸せだし……うれしいよ……」
「お前があんまりにも可愛いからさ……俺だけのレアナ……」
 バスターも満足げな笑みを浮かべると、自分の体にしがみつくレアナのあらわな裸の体を抱きしめた。レアナの体は華奢だったが乳房は豊満で形良く、背中から腰にかけてのラインは芸術品のようで特に美しかった。そんなあまりにも美しいレアナの体を抱いたまま、バスターは不意に起き上がって寝台の上に足を伸ばして座りこんだ。レアナを自分の筋肉質な硬い大腿部の上に向かい合って座らせると、バスターはレアナの体のラインをいとおしげになぞるように両の手のひらで撫でていた。
「ああ……ん……。バスター……」
 裸の体へのバスターの愛撫を受けて、レアナは甘い声を漏らしていた。バスターはさらに丹念にレアナの体を手のひらでなぞりながら、彼女の耳元で愛の言葉をささやいた。
「お前はどこまで可愛いんだ……レアナ……。お前がこの腕の中にいて、いまもこんなにも愛せることは……まるで夢みてえだぜ」
「あ……ん……あん……。バスター……あたしも……。もしこれが夢だったとしても……それなら、ずっと目が覚めなければいいのにって……数え切れないくらい、思ったよ……。ああん……」
「俺もだよ……だけど、いまこうしてお前と愛し合えるのは……夢じゃなくて現実なんだよな……。俺はそれがにわかには信じられないくらい……幸福だよ」
 バスターはそう言葉を返すと、なおもレアナの体をなぞって念入りな愛撫を続けながら、レアナの胸に顔を近づけて、彼女の豊かな乳房に口を大きく開いてかぶりついた。
「あ……ああ……ん! バスター……!」
 バスターの突然の行為にレアナは思いがけず嬌声をあげたが、バスターは構わずにかぶりついた乳房を甘噛みした。乳房の先端の乳首はレアナの柔肌や乳房へのバスターの愛撫に敏感に反応して既に硬くなっていたが、バスターがレアナのそんな愛くるしいツンと硬くなった乳首を舌先でつついたり転がしたりすると、レアナはまた、先ほど以上に甘い声をあげた。
「バスター……! だめ……! ああ……ああん!」
「レアナ……俺はお前をこの体で……もっと愛し尽くしたいんだ……!」
 バスターはそう言うと、レアナの体をすみずみまでなぞるように片方の手のひらで愛撫し続けるばかりか、もう片方の手でかぶりついていた口から解放した乳房をわしづかみにして揉みしだき、硬くなったままの乳首も長い指でもてあそんだ。バスターがもたらした愛撫の洪水に溺れたレアナはバスターの裸の体にすがりつき、甘く高い声をあげた。
「バスター……! ああん……!」
 濃艶な表情で甘い声をあげて魅惑的ですらあるレアナの姿を見つめながら、バスターは妖しげな雰囲気さえ湛えた笑みを口元に浮かべてささやいた。
「お前は本当に可愛いな……レアナ……」
 レアナの裸の体を心ゆくまで愛撫し尽くしたバスターは、すっかり体の力が抜けてぐったりとなったレアナの体をそっと寝台に横たえた。ほのかな明かりの下でレアナは仰向けのままで荒い呼吸を繰り返し、全身をまんべんなくバスターに愛撫されたことで、本来は白い柔肌はうっすらとピンク色に染まっていた。そんなあられもない姿になっても、愛しいバスターにその体のあらゆるところをくまなく愛し尽くされた一糸まとわぬ裸の体のままの今夜のレアナは、まばゆいばかりに美しかった。いまこの瞬間にかすかな明かりの中で寝台に裸で横たわるレアナの体の妖艶さをも秘めた優美さは、レアナと愛し合うたびにそれこそ数えられないほど彼女の裸体を間近で見てきたはずのバスターでさえ、そのあまりの美しさに思わずごくりと音を立てて息を呑みこむほどのものだった。
「レアナ……綺麗だ……。この世のものとも思えねえくらいだぜ……」
 バスターはその美しさに誘惑されて惹かれるように可憐な妖精の化身のごとく美しいレアナの体に覆い被さり、彼女を力強く抱きしめた。そして始まりの合図のようにくちづけを軽く交わすと、猛りきって怒張した己自身でレアナの中に攻め入っていた。
「あん! ああ……ん! バスター……!」
「レアナ……!こんなにも美しすぎるお前を愛することが出来るなんて……これは本当に……夢なんかじゃねえんだよな……!」
 美しく愛しいレアナを両腕で抱いたまま、バスターは絶え間なく、執拗なまでにレアナを攻めて愛し続けていた。バスターの腕の中で彼に深く激しく愛されてあえぐレアナの色香と官能に満ちたなんともいえず美しい表情が、彼女を愛するバスターの男性としての本能をますます高ぶらせ、バスターは完全に我を忘れて興奮しきっていた。
「レアナ……! お前はそんなにも純真で美しいばかりでなく……なんて艶やかでまぶしいんだ……! 愛している……! レアナ……!」
「ああ……ん……! バスター……! バスター……!」
 身も心も愛しいバスターに愛される喜びと快楽に支配されたレアナは、ただひたすらにバスターの名前を呼んでいた。そんなレアナの意識がいよいよどうにかなりかけたとき、絶頂に達したバスターが熱い濃厚な精をレアナの中にほとばしらせた。
「う! うう! レアナ! レアナ……!」
「ああん! バスター!」
 バスターの熱く刺激的な精をその身の奥底で受け止めたレアナの意識は一気に吹き飛んだが、その寸前まで、レアナは愛するバスターの名前を呼び続けていた。
「バスター……バス……ター……」

 意識を取り戻したレアナの視界にまず入りこんできたのは、心配げな表情を浮かべたバスターの顔だった。いつかのように、レアナはバスターに抱きかかえられていた。
「気がついたか、レアナ……」
「バスター……ごめんなさい……。あたし、また……」
 レアナが顔を曇らせて続けようとした言葉を、バスターは優しく微笑んで遮った。
「お前を愛することに夢中になりすぎて、自制心すらどこかへ消し飛んでいた俺が悪かったんだ……。お前が謝ることなんて、何もないさ……」
「バスター……」
「まったく……お前を抱けることがどうしようもなく嬉しすぎて……俺はお前にいつも無理させちまってるな……」
 黙ってバスターの謝罪の言葉を聞いていたレアナだったが、ゆっくりと両腕を伸ばすと、そのままもう一度、バスターの体にすがりついてつぶやいた。
「バスター……バスターもあやまることなんてないよ……。バスターがあたしのことをこんなに愛してくれて……これ以上の幸せなんて……考えられないくらいなんだから……」
「レアナ……」
「バスター……。あたし、気を失う瞬間……なんて言ったらいいのかわからないんだけど、全身がまるで雷に打たれたみたいになって、頭の中も真っ白になって……だけど、ものすごくうれしかった……。きっと……それはすごく幸せなことなんだろうね……。バスターは……どうだったの?」
 レアナが微笑んであどけなくそう尋ねると、バスターもまた微笑みを浮かべて、彼女の体を抱きしめた。
「ああ……俺も信じられないほどの快楽と……それに負けないほどの喜びに飲みこまれていたよ。気を失ってもおかしくないほどのな……」
「じゃあ……二人いっしょに仲良く気を失っていても、よかったかもね」
 レアナがクスッと笑って冗談めかしてそう言うと、バスターの顔にもさらに笑みが広がった。
「ハハハッ、そうだな。いっそ、そのまま朝まで二人で仲良く気を失ったままでも良かったかもな」
 顔を見合わせてひとしきり笑い合うと、レアナはバスターの体によりいっそう身を寄せて、しみじみとした口調でつぶやいた。
「バスター……あたし、夜になるたびに大好きなバスターにこんなにも愛してもらえることが……どうにもたまらないくらい、うれしくて幸せなの……。本当に……ありがとう……」
 レアナの心からの喜びがこれ以上ないほどこめられた言葉に、一瞬、バスターはハッとなったが、次の瞬間には再び優しい微笑みをたたえて、自分の裸の体にすがりつく裸のレアナの体を抱きしめていた。レアナの流れるように美しい髪の毛を手ぐしですきながら、バスターも心からの喜びと共にレアナへの愛をこめた言葉をささやいた。
「俺もどんなに言葉を並べても足りないくらい、お前を愛している……。何よりもいとおしい……俺のレアナ……」
「バスター……。あたしの……バスター……」
 二人はそのまま抱き合って、あふれすぎてこぼれるほどの愛を分かち合っていた。バスターもレアナも至上の愛にその体も心も包まれて、この至福の時の中にいつまでも浸っていたいと願っていた。愛し合う二人の想いは、どこまでも高みへと昇華していた。



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