[涙はもう拭い去って ―熱く激しい夜を迎えて―]



「ああ……ん……。バスター……」
「レアナ……。俺のレアナ……」

 夜が訪れたTETRAのバスターの個室には、レアナの甘い声が響いていた。部屋の中では今夜もバスターとレアナが大きくはない寝台の上で一糸まとわぬあらわな姿で絡み合うように愛し合い、熱い時間を過ごしていた。

 レアナのまばゆいばかりの初々しい華奢な裸体を初めて見たとき、バスターはこんなにも繊細そうなものを自分の強靱な体で力をこめて抱いては壊れてしまうのではないかとさえ思った。だが、レアナを愛するあまりに我を忘れてしまったバスターに荒々しく抱かれても、レアナは愛するバスターのすべてを受け入れた。それからもバスターと愛し合うたびに、レアナはつねに彼の激しい愛のなにもかもを喜んで受け入れていた。

 今夜もまさにいま、バスターとレアナは熱く激しく愛し合っていた。ひとつになって結ばれてお互いを求め合い、絶頂に達したバスターが放った熱い刺激的で濃厚な精を一滴たりともこぼさずにその体で受け止めたレアナだったが、バスターが味わった以上の強烈な絶頂が彼女を襲った。そのため、絶頂が過ぎ去った直後にレアナはぐったりと果てて、共に横たわるバスターの腕の中で抱かれるがままになっていた。

「レアナ……大丈夫か?」
「うん……大丈夫だよ……。バスターはいつも、あたしのことをうんといっぱい、愛してくれて……あたしはそれが、すごくうれしいんだから……」
「レアナ……。俺はつい、お前を想うがままに、我を忘れて夢中で荒っぽく愛しちまってるのに……」
 レアナは両腕を伸ばしてバスターの体にすがりつくように抱きついて微笑むと、切なく甘い声で彼に懇願してきた。
「荒っぽく愛されたって、その相手がバスターなら……あたしはうれしいくらいだよ……。バスター……あたしのこと、もっともっと……愛して……。あたしはバスターのお嫁さんだもの……。あたしをバスターの……妻として……思うぞんぶん、愛して……。バスター……おねがい……」
「レアナ……!」
 バスターはレアナをそのまま勢いよく組み敷くと同時に、レアナの唇を奪っていた。深いくちづけをきっかけに、二人はまた、熱く激しく愛し合い始めた。部屋の中にはバスターに愛されるレアナの甘い声も、再び響き始めていた。

 どれほどの時間が経った頃か、バスターと愛し合うレアナのひときわ甘く高い声が絶え間なく響き続けた後に、部屋の中はまた静まり返り、寝台の上には抱き合って荒く呼吸を続けるバスターとレアナの姿があった。ようやく呼吸を整えたバスターは抱きしめたレアナの顔を見つめると、心底からすまなそうな表情になった。
「レアナ……やっぱり、まだ少し目元が腫れてるな……。繰り返しになっちまうが……すまなかった……」
 クリエイタから渡されたよく冷やされた濡れタオルでレアナは目元を冷やしたのだが、あんなにも激しく泣いたことで元がだいぶ腫れていたこともあり、夜になっても完全には腫れは引かなかった。けれど、レアナはバスターに笑いかけ、首を横に振った。
「ううん……あたしは平気だから……。そんなに心配しないで……」
「けど……」
 なおも心配するバスターを安心させるかのように、レアナは笑ったまま、言葉を続けた。
「バスター……あたし、本当に幸せなんだよ……。大好きなバスターのお嫁さんになれて……毎晩、こんなに愛してもらえるんだもの……」
 レアナの心からの言葉に、バスターの心は大きく動かされた。バスターも釣られるように微笑み、レアナに言葉を返した。
「俺も同じだよ、レアナ……。誰よりも愛する女がいまは俺の妻で……こうして俺の腕の中にいてくれるんだからな……」
「バスター……うれしい……」
「レアナ……何よりもいとおしい俺の妻……」
 バスターは優しく微笑んで愛しげにそう言いながら、腕の中に抱いた裸のレアナの豊かな乳房を右手で撫でるように愛撫していた。乳房だけでなく、桜色の愛くるしい乳首もバスターが長い指でもてあそぶと、愛撫に敏感に反応したレアナは甘く高い声をあげつつも、バスターに小さな子供のようにねだった。
「あん! ああん! バスター……もっと、そう呼んで……!」
「ああ……もちろんだとも……。レアナ……俺の妻……。俺だけの妻のお前を……誰よりも愛している……」
 レアナはバスターの体にすがりつくように抱きつき、感激した声で愛するバスターの名前を呼んでいた。
「バスター……! バスター……! 大好きなバスターにそう呼んでもらえることが……こんなにうれしいことだなんて……! あたしはもう本当に……バスターに愛されている妻なんだね……!」
「レアナ……。俺もお前を愛する妻だとこんな風に呼べることが……嬉しくてたまらねえよ。お前はもう俺の妻も同然だって、艦長も認めてるんだしな。お墨付きで公認されてるも同じだぜ。俺達は認められた夫と妻として……正々堂々と愛し合えるんだ」
「バスター……!」
「レアナ……誰よりも愛する俺の妻……。今夜は……まだまだ寝かせねえぜ?」
 バスターがいたずらっぽく笑ってそう言うと、レアナもまた、純粋に嬉しそうに笑った。
「いいよ……バスター……。バスターが満足するまで……たくさん愛して……。あたしはバスターの……妻なんだから……」
「レアナ……! 愛している……!」
「バスター……! ああ……ああん……!」
 バスターはより執拗にレアナの裸の体を愛撫し始め、いとおしい彼にその体をどこまでも愛されるレアナはいちだんと甘いとろけそうな声をあげ続けていた。それは単なる嬌声ではなく、誰よりも愛する男性であり、いまや愛しい夫であるバスターに愛されているという幸福と歓喜からの声でもあった。

「バスター……あたしの……愛しい人……」
「レアナ……俺の……愛する妻……」

 人類が終わりかけている状況の中であっても、愛し合って結ばれて夫と妻となり、夫として唯一無二の妻であるレアナを愛するバスターと、やはり妻として唯一無二の夫であるバスターを愛するレアナ。なおも愛し合う二人の熱く激しい夜はまだまだ終わる気配すらなかった。



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