[二人の絆は強く結ばれて ―愛し合う時間は限りなく―]



 寝台に取り付けられた小さな明かりだけが灯ったTETRA内のバスターの個室。その中では、バスターとレアナが今夜も愛し合っており、バスターに激しく愛されるレアナの甘い声と寝台がきしむ音とが絶え間なく響いていた。
「バスター……! ああ……ん! バスター! もっともっと……愛して……! あたしのなにもかもを……愛して……!」
「レアナ! 俺のレアナ! 俺だけのレアナ……!」

 個室に設けられた広くはない寝台の上では、今夜だけでもバスターに既に幾度となく熱く激しく愛されたレアナが一糸まとわぬ姿のままで、体の力を振り絞って両腕をついて膝を曲げて四つん這いになっていた。そんなあまりにも無防備であらわな姿のレアナの華奢な腰をつかんだバスターも彼女と同じく何一つとしてまとわぬ姿のまま、猛った己自身で後ろから何度も何度も繰り返し深く激しくレアナを攻めて彼女を愛し続けていた。
 バスターの鍛えられた体が激しく動くたびに寝台がきしみ、バスターとひとつになって彼に愛されるレアナの豊満で形の良い乳房も大きく揺れて、レアナの甘く高い声が漏れるその様はこのうえなく魅惑的だった。

 夜を共にするようになってから、バスターとレアナはつねに愛し合っていたが、ここ数日のバスターはそれまでにも増した勢いで、夜が訪れるたびに、レアナのすべてをそのすみずみまで残すところなく愛し尽くしていた。
 今夜もまさにいま、バスターに深く激しく攻められて愛され続けて、レアナはやっとの思いで寝台に両腕をついていた。レアナの両腕は力が抜けかけてガクガクと震えており、それでも、愛してやまないバスターにとめどなく愛されている喜びに、レアナは身も心も支配されていた。
 おぼろげな意識の中で、レアナは自分を激しく攻めて愛し続ける愛しいバスターの名前を呼んで、ただひたすらに彼を求めていた。
「バスター……! バスター……! もっと……愛して……!」
「レアナ……! ああ……! もちろんだ! 俺はまだまだお前を愛し足りないんだ……!」
「バスター……! バスター!」
 そうやってバスターに後ろから腰をつかまれたまま、深く激しく攻められて愛され続けたレアナの意識がいよいよ真っ白になりかけたとき、バスターがとうとう今夜で何度目かの絶頂に達した。
「レアナ……! う! くう! レアナ! レアナ……!」
「バスター! ああ! ああん! バスター……!」
 絶頂に達したバスターが、その熱く濃厚な精をレアナの中に勢いよくほとばしらせると、刺激的なバスターの精を残らずその身で受け止めたレアナも、バスターとほぼ同時に絶頂に達して、ひときわ甘く高い大きな声をあげた。
「バス……ター……」
 絶頂が過ぎ去ると、レアナの体からは一気に力が抜け、そのまま崩れるように寝台に倒れこんだ。薄れゆく意識の中で、愛するバスターと幾度もひとつになって愛し合えた喜びと幸福に浸りながら、レアナは最後までバスターの名前を呼んでいた。

「レアナ……レアナ……」
「う……ん……」
 レアナが意識を取り戻すと、彼女は裸のまま、寝台の上で同じように裸のバスターに抱きかかえられていた。腕の中のレアナが目を開いたことで、安堵の表情がバスターの顔に浮かび、紫色の瞳でレアナを見つめていた。バスターに抱きかかえられたままのレアナもまた、澄んだ青い瞳でバスターを見つめ返した。
「バスター……あたし……気を失っちゃったの……?」
「ああ……俺が手荒なばかりに……すまなかった、レアナ……」
 心底、己の荒々しく激しすぎた愛の行為を反省している表情になったバスターを見て、レアナは微笑んでバスターの顔に片手を伸ばした。
「バスター……あやまらないで……。バスターはあたしのことをなにもかも……うんと愛してくれたんだから……。大好きなバスターとこんなに愛し合えて……あたし、本当にうれしい……」
「レアナ……」
「でも……ここのところのバスターってば……なんだかすごい……。なにかあったの?」
「いや……その……」
「もしかして……あたしがバスターの赤ちゃんがほしいって言ったことと……関係してるの?」
「い、いや……その……ああ……そうだな……。俺はくるおしいほどお前のことが愛しいのはもちろんだし……そのうえでこれまでもずっと、お前と愛し合う中で俺とお前の子供のことは意識していたんだが……お前が思いつめて想像妊娠したことや……地球降下が迫っている現実とかから……いままで以上に、自分で意識している以上に……お前との子供を欲しているみたいだ……」
「バスター……」
「けど、お前の体がいまは排卵も止まっているようなのに……俺だけがいくら夢中になったって……子供が出来るわけなんて……ないのにな。本当にすまなかった……」
「バスター……バスターがそんな風に思っていてくれたのなら……あたし、すごくうれしいよ……。だって……あたしだって、バスターの赤ちゃんが……すごくほしいもの……」
「レアナ……。レアナ!」
 バスターは腕に力を込めてレアナを強く抱きしめた。抱きしめられたレアナもバスターの背中に細い腕を回し、バスターのたくましい体にしがみつくように抱きついた。
「バスター……大好きだから……」
「俺もお前を愛している……レアナ……」
 二人がそうして裸で絡むように抱き合ったまま、長い時間が静かに過ぎていった。

「さっきのバスター……なんだかちょっとだけ、ちっちゃい子どもみたいだったね」
 裸のままで寝台に並んで横になり、バスターと身を寄せ合っていたレアナは、そう言ってクスッと笑った。
「そ……そうか?」
「うん。うまく言えないんだけど……いつもの大人っぽいバスターじゃないみたいだったよ……」
「まいったな……」
 困惑したバスターを見て、レアナはまたクスクスと笑った。レアナは上半身を起こすと、そのまま両腕を伸ばし、バスターの頭を抱え込むように抱きしめた。
「レ……レアナ……」
「いつものバスターも大好きだけど……あんなバスターも……なんだか、かわいい……」
「レアナ……そんなこと言ってると、俺はいつでも狼になってお前を襲っちまうぞ? こんな風にな……」
「きゃっ……」
 バスターも身を起こすと、すかさずレアナを仰向けに組み敷いた。突然のバスターの行動に小さな声をあげながらも、レアナは自分の体に覆い被さるバスターを見つめて微笑んだ。
「狼になっても……バスターならいいよ……。いつでもあたしのこと、襲って……。そしていっぱい、愛して……」
「レアナ……」
 バスターはそっと顔を近づけると、瞳を閉じてレアナと唇を重ねて、同時にレアナの裸の体を抱きしめていた。
「バス……ん……」
 急なくちづけに少しだけ驚きながらも、レアナは自分を愛するバスターを素直に受け入れ、彼女を抱きしめるバスターと同じように彼の裸の体に抱きついた。二人はやはりまた裸で抱き合って深いくちづけを交わし続け、再度、幾ばくかの時間が過ぎていった。

「あたしのお腹にバスターの赤ちゃんができれば、いちばんいいのにね……」
 そう言って悲しげな顔で自分の腹部をさわるレアナの頭を、再び裸のままで寝台に並んで横たわって彼女の体を抱いていたバスターは優しく撫でた。
「言っただろう……。いまはまだ『そのとき』じゃないんだ……。そのときが来れば……いつか必ず、お前の体に宿るさ……。俺達の子供が……」
「はやく……そのときが来ればいいのに……」
「焦ることはないさ……。俺達はいつだって、一緒なんだから……」
「でも……地球に降りるときに……あの石がまた攻撃してきて、バスターになにかあったら……」
「そんな心配するなよ……。俺はそんな簡単にやられたりしないさ。お前を残してなんてこと……あり得ないんだからな」
「うん……」
「もう寝ろよ……。だいぶ遅くなっちまったしな」
「うん……。バスター……おやすみ……」
 バスターに抱かれたまま、ことんとレアナは眠りに落ちた。最愛の人であるバスターと幾度もひとつに結ばれて愛し合い、その身のすべてを激しく愛され尽くしたことで、至上の喜びと幸福に包まれながらも、レアナはすっかり疲れ果てていたようだった。
 安心しきった小さな子供のようにこんこんと眠るレアナの寝顔を見つめるバスターの顔には、知らずのうちに慈愛に満ちた優しげな笑みが浮かんでいた。思えば打算的な下心のかけらなどひとつもなく、バスターがそんな穏やかで優しい笑みを浮かべるなど、レアナと出会う以前の彼にはまるであり得ないことだった。だが、レアナと深く愛し合う仲となって以来、レアナを見つめるバスターの表情は自然とこんな風に柔和になるのだった。
「おやすみ……レアナ……」
 レアナをその腕の中に抱いたまま、バスターもまた、眠りに就いた。二人が熱く激しく愛し合った部屋の中には、いまは静かで穏やかな空気が流れていた。



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