[始まりから再び紡がれる二人の絆 ―腕の中の天使―]



 TETRA内の居住区の一角にあるバスターの個室。ほのかに明かりが灯った部屋の中の寝台の上には生まれたままの姿で愛し合うバスターとレアナの姿があった。寝台のすぐ脇の床にはバスターのパイロットスーツやレアナのパジャマらが無造作に脱ぎ捨てられており、仰向けになって横たわるレアナは彼女の体に覆い被さったバスターに抱かれ、誰よりも愛する彼にその身を攻められ愛され続けていた。
「ああ……ん! バスター……! もっと……もっと……来て……!」
「レアナ! レアナ……!」
 バスターはひたすら無心に、その両腕で抱きしめたレアナをいきり立った己自身で絶え間なく攻めて愛し尽くしており、そんなバスターに絡むように抱きついたレアナも、彼にどこまでも深く攻められて愛されるがままになっていた。バスターもレアナも求め合って愛し合う誘惑に身も心も魅了されており、二人は既に何度となく絶頂に達していた。

 抱き合ったまま、長い時間に渡って愛し合い続け、バスターとレアナの意識は二人ともいよいよ吹き飛びかけていた。
「バスター……! あたし……もう……」
「レアナ! 俺も……うう! くう! レアナ! レアナ……!」
 バスターが絶頂に達すると同時に、彼のたくましい体からは熱く白濁した精がレアナの体の奥深くに目がけて勢いよくほとばしった。レアナは愛しいバスターの刺激的で濃厚な精を一滴も残さずにその華奢な体で受け止めて、バスターと同時に絶頂に達していた。
「あ……ああ! ああん! バスター……! バスター……!」
「レアナ……俺のレアナ……!」
「バスター……! ああ……ん……! バスター……!」
 バスターとレアナを襲った絶頂は一気に過ぎ去り、二人はそのままぐったりとなった。意識こそかろうじてあったが、二人が抱き合ったまま共に果てたことで、バスターに愛されるレアナの甘く高い声と寝台が大きくきしむ音とが響いていた部屋は一気に静まり返った。ただ、バスターとレアナの荒く乱れた呼吸音だけが聞こえていた。

「バスター……毎晩、大好きなバスターとこんなに愛し合えて……あたし……本当にうれしい……」
 何一つ身にまとわぬまま寝台に横になってバスターに抱かれたレアナは心から嬉しそうに微笑んでつぶやいた。そんなレアナの柔らかな髪を片手で撫でながら、もう片方の腕でレアナの裸の体を抱きしめるバスターも同様に微笑んだ。
「ああ……俺も心底、嬉しいよ……レアナ……」
「バスターは……あたしをバスターのお嫁さんにしてくれたんだもんね……。あたし……初めてバスターとひとつになれたときに……バスターの本当のお嫁さんになれたんだよね……」
「そうさ……。お前を初めて抱いて……お前とひとつになって愛し合えたとき……お前を絶対に離すものかって俺は思ったんだからな……。誰よりも愛しいお前を……俺の愛する妻を……」
「あたしもバスターと絶対に離れたくない……ずっとバスターとこうしていっしょにいたいよ……」
「離さねえよ……レアナ……」
「バスター……離さないで……」

 バスターの腕の中では、レアナが安らかな寝顔を浮かべて深い眠りに落ちていた。バスターと愛し合った後、彼に抱かれてこんな風に眠りに就くのがレアナの日課になっていた。愛するバスターに抱かれたままでいることで、レアナはすっかり安心しきっているようだった。そんな穏やかに眠るレアナを、同じように穏やかな笑みを浮かべて見守るのもまた、バスターの日課になっていた。
「レアナ……俺だけのレアナ……」
 バスターは自分の腕の中で眠る愛しい少女を優しく見つめていた。バスターと求め合い愛し合っているときのあまりにも魅惑的な姿からはにわかには信じられないほど、18歳という年齢にそぐわないあどけなさが未だにレアナの中には残っていた。だが、そんな幼げな部分も含めて、バスターはレアナのすべてを愛していた。
 レアナと初めて愛し合って結ばれたとき、バスターはそれまで生きてきた中で比ぶるものなどないほどの歓喜と幸福に包まれていた。初めての夜、高ぶったバスターはレアナを激しく愛し、彼女の体の純潔も手荒に奪い取っていた。それでもなお、バスターとひとつになって愛し合えたことを純粋に何よりも喜び、純真無垢なままでバスターを一途に愛し続けてくれるレアナにバスターはどうしようもなく惹かれていた。レアナはまさに、バスターにとって愛する天使そのものだった。
「レアナ……俺みたいな汚れにまみれた男に抱かれてひとつに結ばれたことや俺の妻になってくれたことを、こんなに純粋に喜んでくれる女は……お前だけだよ。お前は本当に……天使だな」
 まだ子供とも言える年齢のころから、父親に反発して家を飛び出して裏街道を生きてきたバスターは、人間の汚い面を嫌というほど見てきたことで、人間不信にすら陥っていた。自分はこの先、人を愛することなどあり得ないとさえバスターは思っていた。
 それなのに、バスターはいま、目の前で眠るレアナを愛してやまなかった。汚れた堕天使であるバスターにとって、汚れを知らない天使であるレアナは手の届かない存在であったはずなのに、レアナはバスターのすべてを受け入れて彼を愛してくれた。そんなレアナがいとおしくてたまらず、バスターもまた、純真無垢なレアナのすべてをこよなく愛していた。
 腕の中で眠る天使を見つめながら、バスターも知らずのうちに穏やかに眠りに就いていた。愛しいレアナをその腕の中に抱いていることで、バスターも安心して眠ることが出来るようだった。人類が終わりに近づいているのかもしれない状況の中でも、バスターとレアナはすべてをさらして愛し合うことでこのうえない幸福を分かち合っていた。



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