[彼方の空 ―その光の中で愛し合って―]



 深いくちづけを何度も交わしながら、バスターはレアナの胸元に手を伸ばし、彼女のパジャマの第一ボタンをそっと外していた。
「ん……」
 バスターのその行為に、レアナはとっさに唇を離し、ボタンを外されたパジャマの胸元を両手で隠していた。
「ダメか?」
 バスターがそう問いかけると、レアナは顔を赤らめた。
「だって……こんなところで……」
 二人が今いる場所は、いつも愛し合うバスターの部屋の寝台の上ではなく、バスターの愛機であるシルバーガン一号機のコクピットだった。だが、恥じらうレアナとは対照的に、バスターはそんなことなどまるで気にしていなかった。
「いいだろう?」
「そんな……ここは……あん……」
 レアナの戸惑いをよそに、バスターはレアナの唇に自身の唇を軽く重ねながらレアナの手を胸元から離し、自分と彼女のパジャマのボタンを次々と器用に外した。ボタンをすべて外されたことでバスターのたくましい上半身がむき出しになり、レアナの豊かで柔らかな弾力のある乳房も衣類から解放されて飛び出すようにあらわになった。その乳房をバスターはごく自然な流れのように遠慮なく存分に揉みしだいた。レアナにこんな行為をするのを許されているのは自分だけだと言わんばかりに。
「あ……ん……バスターってば……」
 レアナの口から漏れ出た可愛らしい嬌声を聞きながら、片方の乳房の可愛らしい乳首をバスターが口に含むと、桜色のレアナの乳首は既に興奮してツンと硬くなっていた。まるでレアナの恥じらいとは逆に、くちづけを繰り返すことで彼女の体は密かに、だがはっきりとバスターを求めていたかのように。
「あん……バスター……ああん!」
 バスターが舌先で乳首を転がし、優しく噛むと、レアナは耐えきれず先刻よりも艶めかしい声をあげた。加えてバスターはレアナの下着をパジャマのズボンごと下ろして強引に脱がせると、彼女の秘められた蜜口に長い指を差し込み、その中を指でかき回すようにもてあそんだ。当然のごとく、レアナの嬌声はさらに大きく甘くなってコクピットの中に響き渡った。
「ダメ! バスター! ああ……ああん!」
「駄目……? そうか? もうこんなに俺を求めてくれているのにか?」
 バスターが少し意地悪くささやいたように、レアナの蜜口からは既に透明な愛の蜜があふれていた。蜜口の中をかき回したバスターの指もこぼれんばかりの蜜で濡れそぼっており、これほど蜜口が熟しているのならば、猛ったバスターをレアナがその身に迎え入れるのもたやすいように思えた。
「バスター……もう……いじわるなんだから……」
「まただまされたのか? 前にも言っただろう? 俺は悪い男なんだぜ?」
 バスターはニヤッと笑うと、再びレアナの唇を素早く奪った。同時に自身のパジャマのズボンと下着をさっさと手早く下ろして、興奮して焼けた鉄の塊のように熱く硬直しきった己自身を解放した。
「レアナ……いいな?」
 バスターの男としての分身は浅黒くくすんで堂々とそびえ立ち、その様はレアナを求めてやまないバスターの愛欲そのもののように見えた。バスターの指と唇による絶え間ない愛撫で体全体に熱を帯び、荒い息を吐くレアナは、バスターの言葉に素直にこくりとうなづいた。彼女もまた、その体だけでなく心もいつの間にか強くバスターを求めていた。恥じらいなどという感情はレアナの心の中からどこかにとうに消え失せていた。
「うん……はやく来て……。いっぱい愛して……バスター……」
 レアナの大胆な「女」としての言葉を聞くと間髪を入れず、バスターは自分の膝の上のレアナの体を抱き上げた。そして改めて真正面から対面するように自分の下腹部にレアナを降ろし直しながら、彼女の蜜口から始まって繋がる体の芯の奥深くまでを、そそり立つ己自身で貫いていった。
「ああ……ん! バスター……!」
 バスターとの愛の営みによって熟れきったうえに大量の愛の蜜で濡れそぼったレアナの体の芯は、熱くはちきれんばかりに怒張したバスターの分身を何一つ抵抗することもなく滑らかに飲みこんでいった。興奮しきって大きく硬くなったバスターの分身がレアナの体の中にゆっくりとだが確実に入り込んでいくごとに、あまりの快楽に何度ものけぞりそうになるレアナの上半身の動きに合わせて彼女の豊満な乳房も大きく揺れ、その扇情的な様はバスターの「男」としての本能をいたく刺激した。
「レアナ……! レアナ……!!」
 「男」の本能を刺激されたバスターはその本能に突き動かされるがままに、レアナの体の芯の奥深くへと高ぶった己自身のすべてでもって一気に踏み込んだ。バスターとレアナ、二人は確かにその体の芯で深く結ばれて文字通りひとつになった。
「バスター……! ああん……!」
「レアナ……!」
 そうやってレアナの華奢な体の奥底へと入り込んだバスターは、彼の男としての分身がレアナの体の芯を熱く猛々しく占領することでレアナにもたらす魅惑に満ちた快楽でもって、彼女の身も心もあらゆるすべてを支配していた。バスターがもたらしたそのにわかには信じ難いほどの大きな肉欲の喜びに浮かされたレアナは、正面から向かい合ったバスターの鍛えられた体に衝動的に抱きつくと、大きな声をあげて愛するバスターにさらに大胆な懇願をした。
「あ……ああ……! ああん……! バスター! もっと……もっと……! おねがい……!」
「ああ……もちろんだ! 最高だぜ……レアナ……!」
 バスターと深く結ばれたことで生まれた快楽の激しさにレアナが図らずも歓喜の悲鳴をあげたのと同じく、そんなレアナの熱を持った体の芯の奥深くまで入り込んだバスターの己自身とがひとつになったことでバスターの身にもたらされた快楽は、バスターが思わず言葉を漏らしたように、まさに極上のものだった。
 さらにレアナの懇願に応えるかのように、バスターは両腕でレアナと交わったまま彼女の細い体を抱きかかえた。そして、密着して結ばれたまま、バスターが強靭なその体の筋力を駆使して繰り返し力強く突き上げるように腰を動かすと、二人がその身に感じている快楽は倍の波になって、頭の頂点からつまさきまで荒々しく二人の全身を襲った。
「ああ……! バスター……! バスター!」
「レアナ……! 愛してる……! レアナ!」
 バスターとレアナがそれぞれ着ていたパジャマはすっかりはだけて脱げ落ち、二人は共にほとんど何も身につけていないのと同然な裸体になっていた。さほど広くはないコクピットのシートに抱き合ってその身を沈めて夢中で愛し合う二人の姿は、あまりにも大胆で官能的だった。コクピットの中にはお互いを求め合う二人の悩ましい声が響き合い、やがて長い時間が過ぎた頃、バスターは声を押し殺し、火傷しそうなほどに熱い己の精をレアナの中にほとばしらせた。
「う!……くうう!」
 勢いよく解き放たれた濃厚で白濁したバスターの熱い精はレアナの体の芯を奥深くまで刺激し、レアナはひときわ大きく甘い声をあげ、バスターに抱きつく腕にさらなる力が込められた。
「あ……ああん! バスター!」
「レアナ! レアナ……!」
 なにもかもすべてが終わったコクピットは一気に静まりかえり、その中で自分に抱きついたまま動こうとしないレアナをバスターは優しく抱きしめ、彼女の絹糸のような髪の毛をいとおしげに撫でた。
「もう……バスターったら……」
 くしゃくしゃにはだけてコクピットシートの下に脱げ落ちたパジャマを着直すでもなく、あられもない姿でバスターに抱きついたまま、レアナは彼とこの場で愛し合い、我を忘れて情欲に溺れた自分を省みるようにつぶやいた。そんなレアナの体の中から鎮まった己自身を引き離して彼女を抱き直すと、バスターは照れ隠しのようにわしわしと大げさにも見える様子で赤い髪をかいた。
「悪りい……。だけど、どうしても我慢出来なかったんだ……すまなかったな」
「あたしはもういいんだよ……。ここはいつものバスターの部屋のベッドの上じゃないけど……でも、バスターはあたしをあんなに愛してくれたんだもの……すごくうれしかった……」
「レアナ……」
 バスターとレアナは見つめ合うと、それが当たり前のことのようにお互いの顔を近づけて唇を重ねていた。そうして濃密なくちづけを交わした後、レアナは安心しきってバスターの腕の中にその身を預けて寄り添ったまま、少し心配そうに言葉をこぼした。
「でも、こんな場所でこんなことして……シルバーガンだって怒ってるんじゃないの……?」
「そうかな?……いや、そうでもないみたいだぜ? ちょっと見てみろよ、レアナ」
 バスターに促されたレアナが彼女自身の真後ろ、コクピットのディスプレイを見ると、そこにはいつの間にか鮮やかな夕焼けが映し出されていた。
「あれ……たしか、青空が映ってたはずなのに……」
「こいつが俺達に気を使ってくれたのかもしれねえな。こういう状況では……青空より似合ってるだろう? もしくは……俺達が愛し合うのを見て、照れて赤くなっちまったのかもな?」
「あはは。そんな、シルバーガンも照れると赤くなるの? でも、だとしたら……ごめんね、シルバーガン。だけど……ありがとうね」
 レアナは無邪気に笑い、シルバーガンに語り掛けるかのようにコクピットの上部に向かって礼を言った。その様子がバスターにはあまりに愛しく、知らず知らずのうちにさらに力を込めてレアナを抱きしめていた。そして、レアナと同じ言葉をシルバーガンに向かってつぶやいていた。
「俺からも詫びを言うぜ。よりによってこの場所でつい理性が吹き飛んじまって、言い訳しようもない様を見せつけて……悪かったな。けど……ありがとうよ、シルバーガン」
 そうやってシルバーガンに向けて言葉をかけた後も、バスターとレアナはコクピットに座ったまま、ひしと抱き合って深く激しく愛し合った余韻を味わっていた。ディスプレイの夕焼けの光がコクピットの中を赤く染め、愛の余韻に浸る二人を見守るように包み込んでいた。



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