[湧きあがる愛の中で結ばれて]



「あ……ああ……! バスター……! バスター……!」
「レアナ……! レアナ……!」
 ほんのりと柔らかなベッドサイドの明かりだけが灯った真夜中のバスターの部屋。広くはないベッドの上で、バスターとレアナは二人とも一糸まとわぬ姿で深く抱き合って結ばれ、まさに身も心もひとつになって愛し合っているさなかだった。
 バスターが激しく体を動かすたびにレアナの口からはバスターの名前を呼んで彼を求める甘い声が漏れ、バスターもまた、本能の赴くままに体を動かしながらも、誰よりも愛するレアナの名前を呼び続けていた。
 部屋の中にはバスターとレアナが喘ぎながらお互いの名前を呼んで求め合う声の他に、二人の体が繋がって交わる愛欲に満ちた扇情的な水音と、バスターの体の動きに呼応してベッドがきしむ音とが響いていた。
「レアナ……! く……!」
 交わってひとつになって愛し合い、どれだけの時間が流れたのかも分からないほどのとこしえの時が過ぎたとき、猛々しく怒張した己自身で蜜に濡れたレアナの体の芯を貫いていたバスターの体は絶頂を迎え、バスターの全身はぴんと硬直した。
 次の瞬間、白濁した熱いバスターの精が彼の興奮しきった己自身からレアナの体の芯の奥底に目がけて一気に放たれた。バスターのレアナへの愛そのものである熱く濃いおびただしい精を、レアナの体はその奥深くに一滴も残さずにすべて受け入れることでバスターの熱情的な愛に応えていた。
「ああ……ん! バスター!」
 バスターと共に頂点に達したレアナはひときわ大きな声で愛する彼の名を呼び、そのたくましい体にさらに力をこめて抱きついた。
「はあ……はあ……」
 濃縮されたレアナへの愛を余すことなく解き放ったことでやっと鎮まった己自身をレアナの中から引き抜いた後、バスターは全力を出し切って戦った後の戦士のように大きく乱れた息を繰り返していた。だが、やがてそれが収まると、自分の体に抱きつくレアナの華奢な体を抱き直し、淡い色の髪の毛を優しく撫でた。
「レアナ……」
 バスターが愛してやまない少女の名前は、それ自体が魔法の言葉のようであり、バスターは自身の中のレアナへの愛がとめどなく湧き出る水のように心を満たしていく感覚を覚えた。
「レアナ……愛してる……」
 バスターは自然とそうこぼすと、レアナの唇を塞ぎ、熱いくちづけを交わした。レアナは何一つあらがうこともなく、静かにまぶたを閉じて唇を伝ってくるバスターの愛を素直に受け止めて、彼に愛されるがままになっていた。
 長い時間が経ち、バスターがようやくレアナの唇を解放すると、レアナは閉じていたまぶたを開き、青い瞳でバスターを見つめて穏やかに微笑んだ。
「バスター……あたしもバスターのことが大好き……愛してるから……」
「レアナ……けど、今夜もまた、お前を乱暴に扱っちまったな……俺はお前と愛し合えると、嬉しすぎる感情が先走りして、歯止めが効かなくなっちまうらしい……すまない」
 バスターが再びレアナの髪の毛を撫でると、レアナは自分の手よりも大きなバスターの手に手のひらを重ね、微笑んだまま言葉を紡いだ。
「ううん……前にも言ったじゃない。バスターに愛してもらえることは、すごくうれしいことなんだから……それがどんなに激しくても、それだけあたしを愛してくれてるってことでしょう? さっきもあたしはずうっとうれしくて……バスターとひとつになったまま、時間が止まればいいのにって思ったくらいなんだから……」
「レアナ……」
 バスターは紫色の瞳でレアナと見つめ合うと、彼女の唇にもう一度、今度は軽くくちづけを落とした。そして顔を上げてレアナを見つめるバスターの顔には、レアナと同じく優しさに満ちた笑みが浮かんでいた。
「俺もだ……。お前とひとつになったまま、永遠にこのときが続けばいいのにって……思ってたよ」
「バスター……!」
 バスターの言葉にレアナは喜びの声をあげ、あまりにも愛らしい笑顔でバスターを改めて見つめ直した。
「あたしね、バスターとこうしていっしょにいられると……本当に幸せなの。大好きな人とひとつになれることが、こんなにもうれしくて幸せなことだなんて……なんにも知らなかったもの」
 レアナはそう言って手を伸ばすと、バスターの手を握りしめた。
「でも、バスターはそんな幸せをあたしに教えてくれたから……大好きなバスターがすぐそばにいてくれるだけでもうれしいのに、バスターに体も心も何もかも愛してもらえてひとつになれるなんて……こんな夢みたいな時間を毎晩、バスターといっしょに過ごせるなんて……バスター……ありがとう」
 バスターはレアナと見つめ合ったまま、彼女の言葉を聞いていたが、自分の手を握るレアナの手を握り返すと、顔をぎりぎりまで近づけて笑った。
「礼を言うべきなのは……俺もだよ。俺は女を抱いたことはそれこそ数え切れないほど何度もあったが、その場限りの性欲をただ満たすだけで、そこには愛も何もなかったんだ。だけど……お前と出会えて、お前を愛することが出来て、お前も俺を愛してくれている……そんなにも愛しい相手と愛し合える喜びを教えてくれたのは……レアナ、お前だけなんだからな」
「バスター……」
「だから……この言葉を何度繰り返しても、足りないんだ。レアナ……愛してる。誰よりも……何よりも……」
「バスター……あたしも……!」
 無邪気に喜ぶレアナに返答する代わりに、バスターはさらに顔を近づけてレアナと唇を重ねた。今夜、愛し合いながら何度も交わした中で、もっとも濃厚なくちづけだった。そうやって唇を深く重ねて、バスターとレアナは裸のまま固く抱き合い、何よりもいとおしい相手と愛し合える喜びを全身で感じていた。
 愛し合う幸福に共に溺れるバスターとレアナ、二人の濃密な愛の時間は今夜もまだ終わりそうもなかった。



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