[愛という名の劇薬 ―交わる想い―]



 バスターとレアナは唇を重ね、深い口づけを交わしていた。バスターの舌がレアナの口の中に割り込むと、レアナも自分の舌をバスターの舌に絡めてきた。二人の舌はそれ自体が生き物のように艶めかしく交わった。
「ん……んん……」
 長い時間そうした後、レアナの口から微かな声が漏れ、バスターは彼女からいったん唇を離した。
「お前のキス……ずいぶん、上手くなったな」
 バスターがニヤッと笑ってそう言うと、レアナは顔を赤らめ、唇を片手で押さえた。
「バ、バスターと数え切れないくらいしてるんだし……それに……バスターのキス……すごいんだもん」
 そんなレアナの様子が可愛らしく、バスターはレアナの手を掴んで除けると、再び彼女の唇を塞いだ。今度は舌こそ入れなかったが、レアナの唇を貪る、先ほどにも負けない深い口づけであることには変わりなかった。
 レアナの唇を求めながら、バスターは彼女の乳房に手をやり、激しく揉みしだいた。乳首がツンと固くなると、その乳首を指先でつまみ、弄んだ。そうしながらバスターがレアナの唇を解放すると、レアナは甘い声をこぼしてきた。
「ああ……ん! ダメ……!」
「どうしてダメなんだ?」
 バスターが少し意地悪そうに尋ねると、レアナは潤んだ瞳でバスターを見つめた。
「だって……おっぱい……また、大きくなっちゃう……」
「いいじゃねえか。お前の体にこんなことするのは俺だけなんだし。それに、この胸がまた大きくなるのなら、俺はたまらないぜ?」
 バスターはそう言って更にもう片方の乳房も揉み、豊満な乳房を始めとしたレアナの露わな裸体を独占しているのは自分の特権だということを主張した。先に乳首を弄んでいたほうの乳房から手を離すと、頂の乳首を口に含み、ちゅっと吸ったり甘噛みしたりした。
「あん! バスター……!」
 くわえていた乳首から口を離すと、バスターは今度は口づけを乳房に次々と落とした。レアナの白い肌にバスターの唇が触れ、ちゅっちゅっと少しづつ吸い上げる。そのたびにそこには小さな赤い花びらが浮き上がった。
「ああ……! バスター……ゆる……して……」
「まだまだだな。それに……ここで終わったら中途半端になっちまうぜ? そんなの嫌だろう?」
 バスターの言葉にレアナは泣きそうな表情になりながらも、シーツを掴んで体をくねらせ、声をあげた。
「バスターってば……本当にもう……!」
「ああ、俺は悪い男なんだよ」
 バスターは顔を上げると、笑ってレアナの言葉をあしらった。そのまま、今度は細い首筋に唇を這わせ、乳房にしたときと同じように赤い花を作っていった。
「あ……ん!」
 レアナは嬌声をあげ、バスターに抱きついた。パイロットスーツは首も含めて全身を覆うスタイルなので、バスターは何も遠慮せずにレアナの首筋にもこうして愛の痕跡を残していたが、もし普段から首筋が見えていたとしても、我慢出来たかどうかはもはやバスター本人ですら分からなかった。それほどまでに、バスターはレアナを愛し、その肉体に溺れていた。一見、情事の際にはバスターがレアナをリードしているように見えても、本質ではバスターの方がレアナに夢中になっていた。
 バスターが上半身を起こし、レアナを見下ろすと、レアナは全身をピンク色に染めて大きな呼吸を繰り返していた。両方の乳首はツンと上を向き、乳房と首筋には幾つもの赤い花びらが散っていた。そんなレアナの情欲的な様を見るだけで、情事の前からすでに猛っていたバスターの体は更に興奮したが、心はまだ満足していなかった。
 バスターは片手でレアナの腰を掴み、そこから続く腹部を舌で舐め、口づけを落とした。そしてもう片方の手を、レアナの蜜口のある場所、足の谷間に滑り込ませた。
「バスター……! あ……あん!」
 バスターの止むことのない愛撫のため、レアナの足には力が全く入らず、バスターは容易に彼女の足を開くことが出来た。蜜口に指を1本入れるとくちゅり、と音が漏れ、もうレアナの体も興奮の頂点に近いことが分かった。
「ああ……! バスター……そこ……は……」
 媚薬のようにバスターを魅了するレアナの声を聞きながら、バスターは指を何本も蜜口に入れ、くちゅくちゅと音を立てて愛撫した。蜜口の下のシーツがぐっしょりと濡れるほど蜜が漏れて溢れ出すと、バスターはようやく指を引き抜いた。レアナはその間、もはや言葉にもならない声を漏らし続けていた。
 バスターは足の谷間に顔を近づけると、蜜口のすぐそば、レアナの内側の太腿に唇を寄せ、そこにも赤い花びらを落としていった。体中がジンジンとしびれるような感覚に支配されながらも、レアナは振り絞るように声を出し、バスターに訴えた。
「バス……ター……はや……く……」
「なんだ? もっとこうしていても、いいだろう?」
「だっ……て……あたし……もう……はやく……おねが……い……」
 バスターに体の外からだけでなく、中からも愛してほしいと懇願するレアナの姿は、たまらなく官能的だった。バスターはいきり立った自分の男としての分身が痛いほどに固くなるのを感じ、自分ももう限界なのだということを悟った。バスターはレアナの両足を広げると、己自身の先端を蜜口にあてがった。猛ったバスターも、蜜を溢れさせるレアナも、どちらも熱をはらんで燃えるようだった。
「バスター……! あ……熱い!」
 腰を跳ね上げて反応したレアナの耳元で、バスターは囁いた。
「行くぜ……いいな?」
 レアナの返事を待たず、バスターは一気にレアナの中に入り込んだ。猛り、大きく反り返ったバスターを受け入れたレアナの胎は早くも歓喜に震え、レアナは思わず甘い声をあげた。
「あ……ああん! バスター……もっと……もっと……来て……」
「ああ……こんなの……我慢出来ねえよ……!」
 バスターは体を動かし、レアナを中から愛し始めた。バスターはレアナの体をそれこそ蜜口の奥まで知り尽くしていたので、ただ体を大きく動かすだけでなく、巧みに己自身を蜜口の奥深くで動かし、レアナの胎のいちばん敏感な部分を攻め続けた。レアナはもう、まともに声をあげることも出来ないほどだった。
「あ……あ……!」
 レアナを攻め、愛し続けながら、バスターは自分自身も同時にレアナに愛されていることを実感していた。バスターがレアナを愛し、レアナもバスターを愛してくれているからこそ、バスターはここまで彼女と愛し合うことに夢中になっているのだし、その過程で自分がどんなに激しいことをしても、レアナはバスターの愛の行為を全て受け入れてくれている。そんなレアナの愛が、バスターを恍惚の境地へと導いていた。
「レアナ……! ああ……レアナ……!」
 レアナの胎の奥深くを何度も何度も貫いて交わるうちに、バスターの己自身も敏感に反応し、びくんと鉄の棒のように固くなった。次の瞬間、バスターの己自身の先端から熱い精が飛び出し、レアナの胎を刺激した。その熱さと勢いは強烈で、レアナの胎も大きく震え、体の中のバスターを胎壁で締め上げるように強く愛した。
「くう!……レ……アナ……!」
「ああん!……バス……ター!」
 二人は同時に絶頂に達し、途切れ途切れになりながらも、お互いの名を叫んだ。絶頂の興奮が波のように引いていき、体の力がなくなると、レアナは四肢を投げ出して仰向けのままぐったりとし、バスターは繋がったまま、レアナの体の上に倒れ込んだ。バスターはレアナの体に腕を回して抱きしめ、二人は共に、愛し合った余韻に浸っていた。
 二人の荒い呼吸音が部屋の中に響かなくなった頃、バスターはレアナの顔を見つめて優しく笑うと、軽く唇を重ねた。
「ちょっと……また、張り切りすぎちまったかな……」
 バスターの呟きに、レアナはクスッと笑い、バスターの顔に手を伸ばして汗で額に張り付いた前髪を指ですくい取った。
「ううん……たしかにすごかったけど……バスターはあたしを……いっぱい愛してくれたんだもん……約束を守ってくれて……うれしいよ……」
「レアナ……」
 バスターは情交の前にレアナが言った「ちゃんと愛して」という言葉を思い出した。レアナの顔は今は少女に戻っていたが、あのときの、そしてついさっきまでのレアナは完全に女だった。だが、どちらもレアナの持つ顔であることには変わりなかったし、無邪気な少女のレアナも、愛欲の喜びを知った女のレアナも、バスターには変わりなく愛する対象だった。
「バスター……こんなにもたくさん、愛してくれて……ありがとう」
「礼を言うのは俺の方だよ。そもそも、俺が朝から変なこと考えちまったせいだし……お前にまた、無理させちまったしな」
「……言ったでしょ? バスターが愛してくれるのなら、あたしはどんなことをされてもかまわないって……」
「レアナ……」
「あたし……バスターのことがそれくらい、大好きなんだもん」
 バスターは黙ったまま、レアナと唇を重ねた。最愛の女性であるレアナと肌を重ねて愛し合うことが出来、今も共に生まれた姿のまま、自分のこの腕の中に彼女がいることがどれほどの幸福であるのか、バスターは19年間生きてきた中で比べられるものなどないと思った。しばらくして、バスターがようやく唇を離すと、レアナは閉じていた目を開け、自分を抱き続けるバスターに尋ねてきた。
「バスター……いま、何時?」
「今か……もう7時を過ぎてるな」
「じゃあ……もうそろそろ、起きなきゃね」
「……そうだな」
「本当は……もっとバスターとこうしていたいのに……」
 初めて結ばれた日の次の朝にこぼした言葉と同じ言葉をレアナは顔を赤らめて口にし、バスターに抱きついたままだった。バスターとどんなに夜を重ねても、レアナの想いは褪せることがなかった。そんなレアナがたまらず愛らしく、バスターも彼女を抱き直しながら呟いた。
「俺だってそうさ……お前と一日中だってこうしていたいぐらいだ」
 バスターはレアナの肌のぬくもりを自分の体に残そうとするかのようにぎゅっとレアナを抱きしめると、未練を残しながらも体を離して起こし、レアナに笑いかけた。
「けど、そういうわけにもいかないからな……続きは……また今夜だな?」
 レアナは顔を赤くしたまま、バスターの大胆な発言に頷いた。
「……うん」
「今晩も……楽しみにしてろよ?」
「バ、バスター……! こんな朝から!……もう!」
 バスターは笑ったままベッドから離れ、身支度を始めた。レアナはベッドに横たわったまま、バスターの着替えが終わるのをぼんやりと待っていたが、ふと、自分の肌に残った赤い痕跡に気づき、そして、自分の腹部を愛しげに撫でた。その華奢な体の中には、先刻だけでなく昨晩にも、この世で最も愛する男性であるバスターがレアナの中に何度もほとばしらせた彼の精が――バスターの想いの丈が胎の中に受け止められ、残っているはずだった。肌を通してだけでなく、体そのものでも交わり合ってバスターに愛されたのだというそれらの確かな証がレアナには嬉しく、何よりも愛おしかった――。



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