[求め合う形 ―愛の余韻―]



 ドアを開け放ったシャワールームで深い口づけを交わしながら、バスターはレアナの体に回した手で彼女の背中や腰を撫で始めた。そのバスターの愛撫に、レアナはびくんと反応して唇を離し、声を漏らした。
「ダ……ダメ……バスター……」
「どうしてだ?」
 レアナの懇願を軽くいなし、バスターは身をかがめてレアナの首筋に唇を這わせた。同時に乳房を手の平に収め、巧みにその柔らかな隆起を揉み始めた。レアナの体はそれらのより激しい愛撫に反応し、両の乳首もツンと固く立ち上がっていた。
「バスター……! あ……ああん!」
 レアナはバスターから逃れようとしたが、バスターが片手で彼女の体の隅々を愛撫し続ける一方で、もう片方の手はレアナのくびれた腰をがっちりと掴んで捕まえていたので、身を離すことは出来なかった。
 レアナが困惑する間にも、バスターは唇と手で彼女を愛し続けたので、レアナの体は再び愛欲に目覚め、甘い声を絶え間なく漏らした。そんなレアナの様に、バスターもまた、レアナへの情欲に溺れていった。
「あ……あん! ああ!」
 レアナはもう既に立っているのがやっとな状態だったが、バスターが蜜口に指を差し込もうとすると、堪え切れずに足をがくっと折ってバスターの腕の中にもたれこんだ。バスターはレアナの体を抱き上げると、シャワールームから出て部屋の床にあぐらをかいて腰を下ろした。その腕にはレアナを抱きかかえたままだった。
「もう限界か?」
 バスターが笑って尋ねると、レアナは顔を赤くしてこくりと頷いた。
「もう……ダメ……なの。バスター……」
「でも、それじゃあ俺のほうはどうすればいい? こいつもまた復活しちまったしな」
 バスターが親指で指差した方をレアナが見ると、そこには猛って反り返ったバスターの男の証があった。こんな間近で、しかも直に、猛ったバスターを目にしたことはレアナも初めてだったので、レアナは顔を真っ赤にして目をそらしてしまった。
「や……ど、どうすればいいって言ったって……!」
「ま、こうすればいいんだけどな」
 そう言うとバスターはレアナの脇の下に手を回し、軍人として鍛え上げた腕力でレアナの体を持ち上げると、レアナの蜜口を己自身の先端にあてがった。バスターの分身は熱く、まるで燃えたぎっているようにレアナは感じ、思わず色めいた声を漏らした。そして、バスターがやろうとしていることに気づき、恥じらいから大きな声を上げた。
「バ、バスター! なに……するの!?」
「お前に愛してもらいたいんだよ」
 さらっとバスターは答え、レアナの体を静かに下ろしていった。愛撫でいま一度、蜜を溢れさせていた蜜口は、いきり立ったバスターをゆっくりと、だが確実に包み込んでいった。やがて蜜口が猛ったバスターを全て飲み込むと、レアナはバスターの股間に腰を下ろし、蜜口をバスターの下腹部に密着させた。
 バスターとレアナは正面から向かい合う形になり、二人は目の前の愛しい存在を、たまらない表情でそれぞれ見つめ合った。加えて、自分の中に熱く燃え盛るバスターが深く侵入していることで、レアナの呼吸は荒くなっており、瞳と唇を潤ませていた。
「バスター……あたし……どうすれば……」
「動いてくれるか?」
 バスターはレアナの顔を両手で包み込んでそう言うと、レアナの唇を塞いだ。もう今晩だけで何度目か分からないほどの口づけを交わした後、レアナは戸惑いながらもゆっくり腰を持ち上げた。その瞬間、猛ったバスターとこすれ合ったことで彼女の胎が刺激され、レアナは艶めいた声と共にがくっと腰をバスターの上に落とした。
「あ……ああん!」
 それと同時に、バスターも己自身を襲った快楽に思わず声を漏らしていた。
「く……う! レアナ、すごくいいぜ……!」
 荒い呼吸の中で、レアナは健気にももう一度腰を上げた。内心ではこんな淫らなことをする自分が恥ずかしくて仕方がなかったが、バスターが喜んでくれるのならという想いが彼女をつき動かしていた。腰を上げると、やはり猛ったバスターに胎を再び愛撫され、耐えきれずにレアナはまた腰を落とした。
「あん!……バスター……もう……」
 それでもレアナは何度もその行為を繰り返した。バスターはあまりの快楽の大きさに理性を失いかけていたし、レアナもそれは同じだった。恥ずかしさ以上に情欲が高まるままに、無我夢中で腰を動かしていた。
 レアナの腰の動きに合わせて豊かな乳房も上下にたわわに揺れた。レアナのそのあられもない扇情的な様は、バスターの感じる快感を更に増幅させていた。
「くう……! たまらないぜ……! レアナ……!」
「バ……バスター……! そんな……はずか……し……ああん!」
 そうやってレアナは体を動かし続けたが、激しい愛欲に満ちた刺激の連続に、とうとう、体の力が尽きてしまった。レアナはその体の中に未だ猛り続けるバスターを収めたまま、バスターの胸に倒れこんだ。
「バスター……ごめん……なさい。もう……ダメ……」
 自分の胸に全てを預けるレアナを抱きしめ、バスターは優しい声でレアナにささやいた。
「お前が謝る必要なんてねえよ。じゃあ今度は……俺がお前をいたわらなくちゃな」
 それだけ言うとバスターは上半身を前にかがめ、抱きしめていたレアナはバスターと繋がったまま仰向けになった。レアナに覆い被さる形になったバスターはそのまま、体を大きく動かし始めた。レアナはバスターの背中に腕を回して彼の体にしがみつき、バスターに愛され続けた。
「ああ……ん! バスター! もっと……!」
「もっと? 何がだ?」
 バスターが体を動かしながら少し意地悪げに尋ねると、レアナは目を閉じたまま、バスターにいっそう強くしがみついた。
「おねがい……もっと……もっと、つづけて……」
「ああ、もちろんだ……!」
 バスターは体を大きく、だが巧みに動かし、レアナの奥深くを攻めた。レアナの体は完全にバスターの情欲に支配され、意識もどこかに飛んでしまいそうだった。そんな状態で目をうつろにしながらも、レアナは自分を愛してくれる愛しい青年――バスターの名を絶え絶えに呼んでいた。
「バス……ター……バスター……!」
 意識がどうにかなってしまいそうなのは、レアナを愛し続けるバスターも同様だった。レアナの胎の奥深くという快楽の渦に身を委ねながら、バスターはそんな快楽を自分にもたらしてくれるただ一人の存在――レアナへの愛を無意識に言葉にしていた。
「レアナ……愛している……愛している……!」
 身も心もおかしくなってしまいそうな長い快楽の時を共有した後、バスターとレアナは共に絶頂を迎えた。バスターの熱い精がレアナの中にほとばしり、レアナの胎はバスターをこれまで以上に強く包み込んだ。その強い肉欲の刺激に二人は声を上げ、同時に果てた。
「く!……うう!」
「あ……ああ……あああん!」
 二人はお互いを抱きしめたまま、硬直したようにその場から動かなかった。やがて、上半身を起こしたバスターはレアナの中から己自身を引き離すと、呼吸を整えながら、自分の体の下のレアナの髪を優しく撫でた。レアナは呼吸も満足に出来ないほど果て切っていたが、バスターの手の感触に気づき、そっと目を開けた。
「バスター……」
「レアナ……大丈夫か?」
「だいじょうぶなわけ……ないじゃない……バスターってば……本当に別人に……エッチになっちゃうのね……」
「……そうか?」
「そうじゃない……ベッドの上だけじゃなく……シャワールームでもあんなことをして……そのすぐ後にもこんなことをして……もう……あたし……こわれちゃう……」
 レアナの言葉にバスターもようやく反省し、熱と愛欲でピンク色に染まったレアナの裸の体をそっと抱きしめた。
「悪かった……お前をもっと……感じたかったんだ……愛したかったんだ」
 レアナは自分を抱きしめるバスターの顔を見つめると、ゆっくりと顔を近づけ、バスターの唇に唇を軽く重ねた。そのレアナの行動に意外そうな顔をしたバスターを見て、レアナは微笑んだ。
「あたしも……バスターのことが大好きだから。バスターに愛してもらえることは、とっても……幸せになれるから……」
「レアナ……」
「でも……もうちょっとだけ、ペースをかんがえてね? 毎晩、こんな風にしていたら……あたし、体も心ももたないもの……」
 レアナの微笑みと言葉に、バスターは顔を赤らめて赤い髪をせわしなくかいた。だが、レアナの瞳をしっかりと見据えると、レアナと同じように笑って返した。
「分かってる。今日は俺、お前に無理させすぎちまったな。けど……お前ともっと一つでいたかったから……ブレーキが利かなくなっちまったみたいだな」
「バスター……」
 レアナは笑ったまま瞳を閉じ、バスターの背中に回した腕に力を込めた。バスターもまた、レアナを強く抱きしめ直した。それだけでなく、お互いの足も絡め合うと、二人はそのまま抱き合い、横たわっていた。お互いの存在を、そして何よりもお互いへの深い愛を、体全体で感じ合っていた。
 時計はもう朝の時刻を示そうとしていた。だが、部屋の中にはバスターとレアナが何度も激しく愛し合った余韻が残り、二人の愛の巣と言えるこの部屋を満たしていた――。



BACK

inserted by FC2 system