『SIN and PUNISHMENT2』―――CHARACTERS



= イサ・ジョ Isa Jo = (CV:細谷佳正)

……『罪と罰 地球の継承者』の主人公だったサキ・アマミヤとアイラン・ジョの息子であり、今作の主人公である少年。前作に登場した「イサ・アマミヤ」は今作におけるイサ本人ではないが「サキとアイランの息子のイサ」と言う意味では同一人物である。サキと比べると少々すれてはいるが根本は明るく前向きで、性格だけでなく金髪碧眼の容貌も父親によく似ている。
……特殊訓練を施され「内宇宙兵士」として第2亜地球で働いていたが、母親のアイランから「神を信じるな、聖女を信じるな、自分の力で未来を切り開け」という教えを受けていたイサ自身は内宇宙を支配する「神」への強い不満と不信を抱いていた。そんな折、イサは「外宇宙侵略尖兵の抹殺」任務を帯びて第4亜地球へと降り立ち、そこでヒトの少女の姿をした侵略尖兵であるカチと出会った。当初は記憶を失ったというカチの言動を不審に思ったが、戦意も持たず「ヒトへの純粋な興味」を示すカチに対し、イサは今までに対峙してきた外宇宙尖兵とは明らかに違うものを感じ取っていた。
……サキとアイランは外宇宙の血に侵されていたため(ただし北米版設定では血に侵されていたと言及されているのはサキのみ)、息子のイサも両親を介して外宇宙の血の力を受け継いでいる。だが周囲の期待と疑惑の目とは裏腹に、イサはヒトであることに固執し、外宇宙の血の力(超人的な運動能力、肉体回復能力など)を進んで行使しようとはしなかった。それはイサが幼い頃にサキが獣化・暴走した事件を目の当たりにしたことで、自身も父親のように「怪物」となってしまうのではないかという恐怖を抱き、ヒトでありたいと強く願うようになったためである。また、現在のイサが父方の「アマミヤ」姓ではなく母方の「ジョ」姓を名乗っている事情も、この幼少期の事件による社会的弾圧から少しでも逃れるためではないかと思われる。
……そんな生い立ちから「ヒトではないもの」の血を持ち「自分は本当にヒトなのか」「いつか自分が自分ではなくなるのではないか」という恐れを潜在的に持つイサにとって、「ヒトではないもの」でありながらヒトに大きな興味を持つカチは何か近しいものであると感じられた。そのため、イサはカチの抹殺をためらい、監視の名目で彼女と行動を共にすることになった。純粋でヒト以上に自然に感情を表現するカチと過ごすうちに、イサは彼女が外宇宙生命体だと分かっていながらも、むしろカチの中にこそ「ヒトらしさ」があるのではないかと共感し始めていた。
……イサの行動に対し、彼を密かに監視していたツェンロンはイサを「ヒトではない化け物」と罵り挑発した。激昂し自らも重傷を負うほどの猛攻でツェンロンを退けたイサは「ヒトの価値は血ではないはず」という思いに至り、内宇宙を裏切ってカチと共に第4亜地球からの逃亡を決意する。
……イサ自身が乗ってきた宇宙船での脱出を試みたが阻止され、第4亜地球上を逃亡しながら立ち塞がるG5との戦いを繰り返す。だが、G5のリーダー・デコの仕掛けた罠によってカチが倒れ、イサもまた危機に陥ったとき、イサは自身とカチを救うために覚悟を決め、心を繋ぎ止めるパートナーとしてカチを取り込んで己の中の外宇宙の血を覚醒させ異形の姿となった。
……第4亜地球もろともイサ及びカチを排除しようとしたG5を殲滅させた後、イサはカチと共に第4亜地球へ戻って生きる道を選ぶが、そこでイサがカチの過去を知った直後、この物語は幕を下ろした。


= カチ Kachi = (CV:吉田聖子)

……ヒトの姿に擬態した外宇宙生命体であり、イサのパートナーとなる少女。
……外宇宙侵略尖兵として現在の姿となって第4亜地球に降り立ったが、その時点で自分が本当は何者であるのか、何を真の目的としてやってきたのかという一切の記憶を失っていた。「ヒトの調査」という任務の断片のみをかろうじて覚えていたが、それは次第に「ヒトへの純粋な興味」へと変わっていった。
……ヒトの痕跡を探して無人の第4亜地球を彷徨う中で、彼女の抹殺任務を帯びてやってきたイサと出会う。初めて見た「ヒト」であるイサに興味を示すと同時に、彼を見ていれば自分が「ヒトではない何か」だと思い出せるかもしれないと語り、監視の名目で随行を申し出たイサと行動を共にするようになる。
……この出会いの際に、彼女は名前を聞かれたもののやはり思い出せなかったが、かすかな記憶を辿るかのようにわずかに「……チ…」と呟き、それをイサが「カチ」と聞き取って、そのまま彼女の現在の名前となった。
……イサに対して素直に心を開いて微笑んだり、ツェンロンを攻撃して重傷を負ったイサを心配する姿などは純真無垢なヒトの少女そのものであり、そのカチの「ヒトらしさ」を信じたイサは、自分に流れる外宇宙の血の力や尖兵抹殺の任務を受けていた事実を彼女に打ち明け、カチを連れて逃げる決心を固めた。
……過去の個人的記憶は一切なく自分が外宇宙生命体であることさえイサに言われるまで知らなかったが、ヒトとは異なる身体特性を持っていることは分かっており、例えば怪我をしてもすぐ治ること、現在のヒトとしての姿は擬態なので胸や腹も急所ではなくその箇所を貫かれたぐらいでは死なないこと、眠る必要もないといったことはイサにも特に隠そうとせず話している。そのためか、ゲーム本編で地下に落下したカチが腹部を貫かれた姿を見てもイサはさして驚いておらず、実際カチ本人も平気な様子だった。また、キーパーズと意思疎通出来ることもカチの特殊能力の一つだと思われる。
……高い攻撃能力を発揮してイサと共に戦うが、G5のリーダー・デコが仕掛けた波動攻撃によって精神に大きなダメージを受け倒れてしまう。しかしイサが覚醒する際にカチを取り込んだことで崩壊しかけた彼女の心を救い、カチもまたイサの中で彼を感じ取ることでイサの心を守った。
……イサと共にG5を撃破し、第4亜地球へと戻ったとき、彼女は過去の記憶を一つ思い出していた。それはかつての彼女の名前「アチ」だった。
……(補足推察:このとき、カチがアチだったころの人格や記憶も全て思い出したのかどうかまでは明確には分からない。だが、覚醒して獣化した者が完全に元の姿に戻るには「密接な関係を持つパートナーと互いの心の全てを受け入れ合うこと」が必要条件であること、そして獣化状態から人間体にイサが戻ったときの彼の姿には異形の痕跡は全くなかったことから、少なくともこの時点でのカチの内面の主たる人格や記憶は「アチ」ではなく「カチ」のそれだったと考えられる。なぜならカチを取り込んだイサは「カチを感じる」=「カチの心に直接触れている」状態であり、それはカチの側も同様だった。この際に、もし仮に「カチとしての自意識」が揺らぐほどの「アチとしての膨大な過去」をカチが思い出していたとしたら、カチがそれを隠そうとイサの心を拒否するか或いはイサがカチの心に違和感を覚えるかいずれかの理由で、二人は互いを完全に受け入れ合えなかったはずだからである。


= ツェンロン・リー Cheng Long Lee = (CV:新垣樽助) [海外名:Orion Tsang]

……G5のメンバー。第4亜地球でイサがカチと出会う前からイサを監視していたが、元よりヒトではないカチだけではなく外宇宙の血を持つイサのことも当初から見下しており、カチを抹殺せず彼女と共に行動するイサに対して「お前も化け物だからかな」と罵倒した。この際、逆上したイサの攻撃によって、ツェンロンは肉体を跡形もなく吹き飛ばされた。
……肉体とは独立した本体とも言えるカメラ状の頭部とそれに付随する脊髄をはじめとした神経系のみの姿となったツェンロンは肉体の復元を進める一方で、失った肉体と同じ姿の傀儡を作り出して再びイサとカチの前に現れ、カチを引き渡すよう迫ったものの傀儡の身では本来の力を発揮出来ず、またも二人に敗れる結果となった。
……その後、肉体を復元させ、宇宙ではヒトを捨てた異形の姿となって戦いを挑んできたが、覚醒したイサによって完全に倒された。


= リッター Ritter = (CV:石上裕一) [海外名:Armon Ritter]

……G5のメンバー。セトナイカイの海底チューブにおいて恰幅のいい中年男性の姿で現れたが、戦闘時には一つ目の怪物やタツノオトシゴやイルカ、更には多数の肉球といった様々な姿に変身してイサとカチを攻撃してきた。
……二人に一度敗れた後、「われわれはこの土地で一番、地脈の力が集まる場所に居る」「不死の山とでもいえばわかりやすいか?」とG5がフジ山を本拠地としていることを教え、「気が向いたら、いつでも来るがよい。歓迎するぞ」と挑発して去った。
……宇宙では巨大な口を持つ異形となって襲ってきたが、イサに再び倒された。


= ヒバル・ヤジュー Hibaru Yaju = (CV:沢城みゆき)

……G5のメンバー。セトナイカイ上空の空中ステーション内でイサとカチを待ち伏せていた。イサと同年代の少女らしく、本気か戯れかは不明だが彼に少なからぬ関心を持っているような発言を浴びせたが、戦闘では明らかな殺意を持って二人に挑んできた。
……このときの「アンタ、強いんだってね。昔はウチの大将と互角だったらしいじゃない」というヒバルの台詞から、イサはG5のリーダーがデコではないかと気付き、逃走を止めてフジ山へ乗り込む決意を固めた。
……宇宙では二体に分裂した異形となって再度立ち塞がったが、イサの前に敗れた。


= アリアナ・シャミ Ariana Shami = (CV:沢海陽子)

……G5のメンバー。大きな鳥の面で頭部を覆っているが、仮面の隙間から覗く素顔は美しい女性だと推定出来る。イサの心を映し出した時空の歪を作り、空中ステーションからテレポートで脱出したイサとカチを歪へ落し込んで抹殺を目論んでいた。この歪を作り出した能力は戦闘時にも見られ、具体的には鳥の姿をした時間制御弾を用いて攻撃してきた。
……宇宙ではヒトの面影を残すもののやはり巨大な異形と化したが、他のG5メンバーと同様にイサによって倒された。


= デコ・ゲキショウ Deco Gekisho = (CV:大川透) [海外名:Commander Deko]

……G5のリーダー。訓練生時代にはイサと互角の実力を持ち、互いに敵対視していた存在だったらしい。年齢的にはデコが若干年上だと思われる。
……要塞として改造されたフジ山内部で配下の兵士と共にイサとカチを待ち構えていた。単純な戦法だけではなく、特殊な波動攻撃を仕掛けてカチの精神に多大なダメージを与え、更に「じきにその女はヒトの姿を保てなくなる。どうする? イサ? 」「それでもお前はその女... いや、その化け物を守ろうとするのか?」とイサを挑発した。その結果、カチを取りこんで覚醒したイサに対し、第4亜地球の廃棄もろともの排除を宣告した。
……宇宙でデコ以外のG5メンバー全てが倒された後、巨大なケンタウロスのような異形となってイサに戦いを挑んできた。なお、このときの姿はデコの言葉によれば、覚醒して真の姿となったイサと対峙するための「本気を出した姿」であるらしい。フジ山でのイサとの一対一の徒手格闘戦と言い、デコの内面にはイサとの戦いを純粋に喜んでいる節が見受けられる。
……この戦いでもイサに敗れたものの、デコは次にイサの体内からカチの精神体を引きずり出して彼女を直接攻撃することで二人を倒そうとした(デコを倒した直後に出るボーナス画面でも「KACHI'S HEART」と記載されているので、あの巨大なカチは彼女の精神の具現化であると思われる)。だがカチを守るイサの反撃によって再度倒され、「この宇宙を滅ぼすことになるぞ」と投げかけた後、デコは自ら爆発して消え去った。


= アイラン・ジョ Airan Jo =

……前作のヒロインであり、イサの母親。今作ではイサの過去の記憶の映像の中で登場している。このシーンではアイランは顔は見えないままだが、薬指に結婚指輪をはめた彼女の左手が映し出されている。
……前作の物語の後にサキと結婚してイサを産み、しばらくは家族で暮らしていたようだが、イサがまだ幼い頃にサキが獣化・暴走する事件が起きてしまった。このとき、自分も怪物になってしまうのかと怯えるイサに対して「神を頼ってはダメ。聖女を信じてもダメ」「自分自身で考えて、その力を使いなさい」「そして、心が暴れてしまわないように、あなたの心を繋ぎ止めることのできるパートナーをみつけなさい」と教え、同時に「パパはパパでしょう?」と優しく諭した。この事件の後、時期は定かではないがアイランもイサと離れ離れになり、現在はイサにもアイランの行方は分からず消息不明であるらしい。
……前作ではアイランがアチの授血を受けたのかどうかははっきりとしなかったが、今作の設定では「イサは両親から外宇宙の血を継いだ」と繰り返し明記されている。そのため、経緯がアチからの授血かどうかは依然不明だが、アイランも外宇宙の血に侵されていたことが明らかになった。
……ただし北米版マニュアルおよび公式サイトでは、「外宇宙の血に侵されていたのはサキ」「イサは父親であるサキから外宇宙の血を受け継いだ」と明記されてはいるが、アイランまでもが外宇宙の血に侵されていたという記述は一切ない。この点は北米版発売に際して変更された設定なのかどうかは定かではない。


= サキ・アマミヤ Saki Amamiya =

……前作の主人公であり、イサの父親。アイランと同じくイサの過去の記憶の映像の中に登場するが、それは獣化してしかも理性を失った姿だった。
……妻となったアイランや息子のイサと共に暮らしていたはずのサキがなぜ獣化して己を失った挙句に暴走するような事態に追い込まれてしまったのか、事件がどのように終結したのか、そしてサキ自身の生死はいずれも不明のままである。


参考資料・引用元:「罪と罰 宇宙の後継者 公式サイト」「Sin & Punishment: Star Successor 公式サイト」Wii専用ソフト『罪と罰 宇宙の後継者』 付属取扱説明書、Wii専用ソフト『Sin & Punishment: Star Successor』 付属取扱説明書、「任天堂公式ガイドブック 罪と罰 宇宙の後継者」(小学館)、「週刊ファミ通」2009年10月22日発行第1088号(エンターブレイン)

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