No.62…"幻霧ノ塔ト剣ノ掟"(2008.5.22/DS/開発・販売:サクセス)

 一言で言えば、まるで時代を逆行するかのようなシステムだらけの3Dダンジョン探索型RPG。ユーザーフレンドリーどころかプレイヤーを突き放しているとしか思えないインターフェースの不便さ、異様に難易度が高い戦闘バランス、ほぼノーヒントの謎解き、味わいのありすぎるグラフィックなど、とてもこれが21世紀になって発売されたRPGとは思えないゲームである。はっきり言って初代『ウィザードリィ』よりも不親切だと言っても過言ではない。

 しかし、それらを補って余りある……とは言い過ぎだが、「古き良き時代のRPG」をそのまま体現したこのゲームには、オールドプレイヤーを引きつけて止まない魅力が確かに存在している。詳しくは下記の「電撃ドットコム特設サイト」で熱く語られているので、そちらをご参照頂きたい。

 また、ダンジョン探索時や街での会話時、アイテムの解説時などで表示されるテキストが非常に味わい深く、それらを読んでいるだけでも面白い。RPGで大切なのはこういう凝ったユーモアなのではないかと改めて思ってしまう。

 だが、残念ながら褒めてばかりではいられない。前述したが、戦闘バランスがあまりにも難易度が高いうえに単調で、エンカウントのたびにうんざりしてしまうほどである。それでも中盤あたりではプレイヤーキャラが色々な魔法を覚え、戦略性も多少は出てくるが、最後半では敵の攻撃が半端でなく、奇襲された場合には運が悪ければ全滅も当たり前という凶悪さである。そのため、プレイヤーキャラはいかに素早く全体攻撃呪文を唱えられるか?という一点張りの戦闘方法になってしまい、結局単調で退屈な戦闘に戻ってしまう。なぜこのような未完成と言ってもいいほど酷い戦闘バランスのまま発売してしまったのか、実に残念でならない。

 厳しいことも書いたが、現在において、色々な意味で稀有な存在のゲームであることは間違いない。本当にプレイヤーを選ぶマゾゲーだが、公式サイトや電撃特設サイトなどをご覧になって興味を持たれた方は、機会があればプレイされてみるといいかもしれない。



公式サイト
OFFICIAL SITE


電撃ドットコム特設サイト

CONTENTS

inserted by FC2 system