Story of "RADIANT SILVERGUN"


〜シルバーガンのストーリーについて〜

 『レイディアントシルバーガン』はシューティングゲームとして非常に高い評価を受けています。けれどストーリー部分については、「完全版」ともいえるサターン版が発売された当初から、主にネット上で賛否両論の議論が広げられました。

 シルバーガンがRPGやADVのように物語をあまり重視されない、ゲーム性を最重視(これは他のジャンルのゲームでも当たり前ですが、特にということで)される「シューティング」であるということを考えると、登場キャラクターの性格や過去にまで凝った裏設定やメッセージ性の強いストーリー要素は、単純にゲームをプレイする上では全く知らなくても何の支障もありません。逆にプレイ中やステージ間での音声やフェイスウィンドウによるデモの存在はプレイの邪魔だとも感じる人もいると思います。それでもシルバーガンスタッフはシューティングゲームとしての本編部分を作りこむだけでなく、シナリオもきちんと作り、プレイヤーに提示してくれています。現に私自身は純粋な「シューティング」としてのシルバーガンも大好きですが、そのストーリーにも強く魅せられた一人です。

 シルバーガンはステージ3から始まり、3→2→4→5→6→1の順にステージを進めていきます(アーケード版では2もしくは4を選択)。ステージナンバーはゲーム中でプレイする順番ではなく、ストーリー上でそのステージでの出来事が起こった時間軸に沿って付けられているため、ステージ3から一見変則的に始まります(ステージ2は「回想録」という形で入っています)。なぜストーリー上の最初の時間軸に位置するはずのステージ1がラストなのかは、最後までプレイされれば納得することでしょう。

 以下は、ストーリーについてステージに沿った順に紹介したものです。いちおう小説のような形式を取っており、また、私自身の個人的解釈(特に6A)も含まれているため、実際のストーリーそのままとは言えないかもしれません。あと、ネタばれなことにももちろん触れていますので、知りたくない!という方はご注意ください。


<プロローグ:西暦2520年7月14日10時35分>

「例の紀元前の地層から発掘された物体は、未だ構成素材からその用途目的まで全く解明できていない。さらに、興味深い難問がもう一つある…」
地球連邦軍所属宇宙巡洋艦TETRA艦橋。現在は連邦軍最新鋭戦闘機"シルバーガン"のテスト任務を帯びており、乗組員はテンガイ艦長以下、テストパイロット3名(バスター、レアナ、ガイ)とロボノイド・クリエイタ1体のみ。定時通信のため集まったクルー達に対し、五十嵐連邦軍長官はこう告げた。
「科研3部調査班の報告によると、例の物体と一緒にロボノイドが発掘されたらしい。クリエイトタイプ、ID00104」
「バカな!紀元前ですぞ!しかもここにいるクリエイタと同じ型番?何かの間違いでは…」
信じがたい事象にテンガイが思わず声を荒げる。当のクリエイタもそのことを理解できていないようだ。
「確かに私もそう思った。だが製造元である我々が発掘したのだ。間違えようがない」
不可思議な事実に、にわかにブリッジがざわつく。
「現在、記憶データを解析中だ。判りしだい追って連絡する…」
そのまま話はテスト任務の件について移った。その中でクリエイタはモニタに映ったロボノイドを見て、先程の件について考えていた…。

<<同日20時45分>>

地球連邦軍科学研究施設第3調査部。
先日発掘された「石のような物体」と「紀元前のロボノイド」やその他の発掘品の調査が行われている。これらの物体が出てきた地層からは、「石」やロボノイドと共に西暦2520年と同等ではないかと思われるほど高度な文明の残骸が続々と発掘されており、それらの存在も調査班を悩ませていた。
この日も科研部長と若い研究員がロボノイドの記憶データの復元にあたっており、ついに復元に成功した。だがそこに記されていた驚くべき事実を2人が知った瞬間、「石」が突如閃光を発し、科研3部は消滅。同時に中央司令部に警報が響き渡った。
「ぬぉっ!どうした!」
「科研3部で爆発事故発生!」
「レーダーに正体不明の飛行物体を確認!」
「なに?…数は!?」
「8、16、32、…どんどん増えてます!」
五十嵐の問いかけに、オペレーターが悲痛な声で答える。
「非常警報!レベルA!総員第一種戦闘態勢!!」
「長官!?科研3部よりデータが転送されています」
「まわしてくれ!…これは!?…発掘されたロボノイドの記憶データ!?…なんということだ…!」
施設の消滅寸前に転送された記憶データ、そこに記されたあまりにもとほうもない真実…。

TETRA艦内にもレベルAの警戒音が鳴り渡り、テンガイは中央司令部の援護へ向かう決定を下す。

<<同日22時00分>>

この日、地球上の人類は全滅した。かろうじて衛星軌道上に退避したTETRAクルー4名と、1体のロボノイドを残して…。


<ステージ3「RETURN」:西暦2521年7月13日10時50分>

人類ほぼ全滅の日から1年…。TETRAは衛星軌道上に退避し様子を伺っていたが、食料とエネルギーの致命的な枯渇から、地上へ降りることを余儀なくされる。予想通り次々と襲いかかる敵性飛行物体の攻撃を潜り抜けながら地表を目指す。しかし、かつての連邦軍中央ゲート付近で大型敵性ユニットを破壊した直後、その中から全ての元凶である「石のような物体」が姿を現した。


<ステージ2「REMINISCENE」:西暦2520年7月14日21時26分>

物語は1年前、あの悪夢のような出来事の起こった日に遡る。
中央司令部後方1200まで接近したTETRAに向かって容赦なく襲いかかってくる無数の飛行物体。3機のシルバーガンも発進し、激戦を繰り返しながらなんとか司令部上空に到達するも、その真上には「石のような物体」が不気味に浮遊していた。
「長官!物体のエネルギー反応が計測値を超えます!」
司令部内ではオペレーターがもはや叫びに近い声で現状報告をしている。
「くっ、どうやら我々はやることが全て遅すぎたようだな…!巡洋艦TETRAに連絡を…」
「オヤジィィィ!」
五十嵐の言葉を駆けつけた息子・ガイの呼び声が遮る。
「ばかもん!何しに来た!」
「何しにって…助けにきてやったんだろおがっ!」
「だめだ!お前達は艦に戻り、次の指令があるまで衛星軌道にて待機。これは、絶対命令だ!」
「長官!今はそんな場合じゃ…」
五十嵐の唐突な命令に、ガイだけでなくバスターも戸惑いの色を隠せない。
「いいか!人類の未来はお前達にかかっているのだ。早く行け!」
「何わけわかんねぇこと言ってんだよっ!」
「説明する暇はない!…艦長!」
「はっ!」
困惑するバスター達とは異なり、テンガイは親友の意思を汲み取ったかのように力強く応じる。
「…あとは…頼んだぞ…!」

その言葉が発せられてから間もなく…TETRAが衛星軌道上に退避した直後、「石」が発した凄まじい閃光が地表を白く包みこんだ…。


<ステージ4「EVASION」:西暦2521年7月13日12時00分>

一行の前に突然その姿を現した「石のような物体」。だが攻撃してくる様子はなく、何かを一行に伝えようとしているかのように理解できない音声を発している。
「シレイブ ノ キオクデータ ガ ノコッテ イレバ アレニツイテ ナニカ ワカルカモ シレマセン」
困惑し、次の行動を決めかねていたTETRAクルー達に対し、クリエイタは中央司令部に残されているであろう記憶データの入手を提案する。謎を解く手がかりを得るため、一行はその言葉に賛成し、データが残されて いるはずの連邦軍中央司令部を目指す。


<ステージ5「VICTIM」:西暦2521年7月13日15時30分>

司令部に辿りつき、その内部に潜入したクリエイタを待つ一行の前に、信じられない規模の超級戦艦ユニットが出現する。巨大戦艦をなんとか下し、記憶データの入手にも成功するが、続いて姿を現した「石のような物体」が司令部を攻撃。TETRAが急接近してなんとか倒壊は免れ、中に潜入していたクリエイタも辛くも脱出する。だがそのTETRAに対しても、「石」は容赦なくレーザーユニットで攻撃を加える。
「ぐっ…!」
直撃を受け、これまでにない大きなダメージを受けるTETRA。テンガイも思わずうめき声を上げる。
「てめえぇぇぇーっ!」
ガイが逆上し、「石」の操るレーザー砲台に向かって飛び出す。
「おい!ガイ!!」
ガイがやろうとしていることに気づいたのか、バスターが必死に呼びかける。しかしもはやその声は聞こえていないかのように、ガイはレーザー砲台の目の前に出る。その顔は半ば恐怖のためなのか、汗にまみれ、こわばっている…。
「へ、へへっ…こうも近けりゃ撃てねえだろ?…撃てねえだろうがーっ!」
「やめてーっ!!」
「ガイィィィーっ!!」
バスターとレアナの叫びと同時に、ガイの乗る3号機とレーザー砲台が爆破し、その残骸がバラバラと落ちていく。
「ガイィ!!」
ガイの死を目の当たりにしたテンガイは意を決したようにTETRAの機体をひるがえし、最大出力で噴射する…その先には「石のような物体」が!
「艦長!何をするつもりだ!」
「やめて!もうやめてぇー!」

2人の叫びもむなしく、テンガイの駆るTETRAはそのまま「石」に向かって…!


<ステージ6「THE ORIGIN」:西暦2521年7月13日17時10分>

瓦礫やかつての連邦軍兵器の残骸が重なる地表。「石のような物体」ははるか上空に退避しており、先ほどまでの苛烈な戦闘は嘘のようにも思える。しかしその戦闘が夢ではなかった証拠であるかのように、地表の残骸の中にはガイの3号機やTETRAの破片らしきものが見える。ほんの1時間前までは、どちらも乗り手と共に上空を翔けぬけていた。だが今はもう、ガイも、そしてテンガイもいないし、再び黄色く輝く3号機やTETRAの白い機体が空に舞うことはない…。近くの瓦礫の上には青と赤に光る機体、シルバーガン1号機と2号機が着陸しており、そのそばにバスターとレアナ、そしてクリエイタが寄り添うようにいる。レアナは目を真っ赤に泣き腫らしてバスターの腕にしがみついており、バスターも涙こそ流していないが、口元をぐっと結んでうつむき、レアナの手を固く握っている。
「イクノ デスカ?」
2人の様子を見守っていたクリエイタが気遣うような口調で問い掛ける。
「…」
レアナはうつむいたまま答えない。
「俺達は…勝てねえのかな?」
バスターがポツリとつぶやく。レアナが少し驚いたような表情で、初めてそんな弱音を口にしたバスターを見上げる。クリエイタは少しの間考えこむようなしぐさを見せたあと、ゆっくりと顔を上げた。
「サイゴノ サイゴマデ アキラメルナ…テンガイ カンチョウ ノ サイゴノ コトバデス」
「艦長…そう言ったの?」
レアナがクリエイタのほうを向き、(本当に?)といったふうに尋ねる。
「ワタシニハ…ソウ キコエタ ヨウナ キガ シマシタ…」
バスターがはっとしたように顔を上げてレアナと顔を見合わせ、ふぅ、といった風情で首を振った。
「!…やれやれ…しゃーねえな、行くか!」
その口調はいつものバスターのものに戻っていた。先程の気弱な発言をした影はもうどこにも見られない。その言葉を聞いたレアナも「素直じゃないのねぇ」とくすっと笑いながら答える。クリエイタもほっとしたようだったが、次第にその表情が曇る。そして何かの決意を秘めたかのような口調でこう切り出した。
「サキホド シレイブ ノ キオクデータ ヲ ミマシタ…ヒトツダケ オネガイ ガ アルノデスガ…」
「…なあに?」
レアナが不思議そうに答える。クリエイタの願い、それは…。


シルバーガンに乗りこみ、衛星軌道まで上昇したバスターとレアナ。目の前に次々と現れる生物の進化を模するかのような敵を撃破していく2人の前に、「石のような物体」は何度も姿を現し、幾つものメッセージを残していく。それは「石」が一体何者であるのか、そして何故このような行動に出たのかという問いに答えるかのような内容だった。


『I gave you lives. So that you make good progress. But you couldn't understand.』
(あなた達に命を与えたのはこの私。正しく進化できるようにと…だが、あなた達は理解することができなかった)

『You must do it over again. Why can't you see?』
(やり直さなければならないのです。なぜそれがわからないのです?)

『Feel visible matter. Feel invisible matter. There is life everywhere.』
(目に見えるものを感じなさい…目に見えないものを感じなさい。いたるところに命はあります)

『But I believe the day when you understand yourself and live together would come.』
(しかし、私は信じています。あなた達が自ら理解し…お互いが共存できる日が来ることを)


最後に現れた「人」の姿をした敵を倒した瞬間、時間と空間がねじれ出すかのような感覚が周囲を包む…。


<ステージ1「LINK」:紀元前10万年7月13日18時06分>

「石のような物体」と対峙するバスターとレアナ。地球の姿をとった「石」は人類の業とでもいうようなイメージを次々と発し、最後に再びあの凄まじい閃光を発する。2人は反転し、懸命にその光から逃れようとするが、次第に2つの機体は光の束に飲みこまれていく。
「もう間に合わない!」
「俺達は…俺達は、最後まで生き延びるんだ…!」
2人は機体と共に消滅し…人類は完全に全滅した…。


<エピローグ:紀元前9万9980年>

最後の人類、バスターとレアナが命を落としてから20年後。地表は緑に覆われ、あの戦いの面影はもう見られない。「石のような物体」も地上に突き刺さったまま沈黙し、苔すままとなっている。そのそばには、かつて中央司令部だった建物の残骸があり、その地下には20年の間にボロボロになり、かろうじて動いているクリエイタがいる。

「コレハ ハジメカラ キマッテイタ コト…ソウ イクドトナク クリカエサレテ イル コト…
ノコサレタ ワタシ ニ デキルコト ハ フタタビ ジンルイ ヲ サイセイサセ ル コト…
ソウ イクドトナク クリカエサレテイル コト…
ワタシ ハ カレラ ト ワカレルトキ ニ モラッタ カミノケ カラ クローン  ヲ ツクル…
カレラ ヲ イキノビサセル タメ ニ…

アノ イシノヨウナ ブッタイ ハ コノ チキュウ ヲ マモルモノ…アレ ハ  コノ チキュウ ソノモノ
ソシテ スベテ ヲ ミチビク モノ…

ナガイ ジカン ヲ カケテ フタタビ ジンルイ ハ ハッテン シテ イクダロ ウ…
ソシテ イツノヒニカ ジンルイ ガ コノコト ニ キガツキ…
オナジ アヤマチ ヲ クリカエサナイ ヨウ ニ イノリ タ…イ…」

クリエイタの背後にはクローン培養ケースに入ったバスターとレアナの姿が…。二人を見てクリエイタは微笑む。だがその微笑みを最後に、その目の光は消え…機能停止したクリエイタはそのまま床に崩れ落ち、2度と動くことはなかった。そして、培養ケース内のバスターとレアナのクローンが目覚め、再び人類の再生が始まる…。


参考資料:"RADIANT SILVERGUN SCENARIO-VER FIX (SCREENPLAY:HIROSHI IUCHI) "(サターン専用CD-ROM「レイディアントシルバーガン」内に収録)

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