"シルバーガンと斑鳩、その関係について"



 『レイディアントシルバーガン』が世に出てから約3年後に生み出された「RS-2」こと『斑鳩』。この2作品は直接的なストーリー上などの関係はありませんが、「RS-2」と『斑鳩』が銘打っているように、システム的には『シルバーガン』との共通点が多く見られます。それでは、この2作品をテーマ的に見比べた際、どのような共通点・相違点が存在するのでしょうか。

 月刊アルカディア誌上にて掲載されたインタビュー記事において、両作品のディレクター・井内ひろしさんは、『シルバーガン』が「世界」、『斑鳩』が「意志」、そしてまだ見ぬ「RS-3」は「未来」をテーマとしていると語ってらっしゃいます。それは『シルバーガン』『斑鳩』それぞれのストーリーや結末を見てもじゅうぶんに納得出来ることです。

 『シルバーガン』のストーリーはこの上ない絶望的状況から始まり、最終的にもその「世界」を支配する「輪廻」を断ち切ることは出来ませんでした。しかし、エンディングではクリエイタ=創造主が人類にもう一度希望を託すことによって、輪廻を断ち切る希望はまだ終わっていない、いつか断ち切れるはずだ、という小さいけれども切実な未来を残していることで、救いを残して終わっています。

 一方、『斑鳩』では、再度「石のような物体」が現れますが、その「輪廻」を断ち切ったかどうかという時点で謎のままストーリーは終わっています。『斑鳩』は『シルバーガン』の劇中では成し得なかった「輪廻からの脱出」を果たすことが出来たのかもしれません。ただし、森羅と篝の犠牲という大きな代償を払って。

 「石のような物体」を倒すことは出来なかった、けれど、その生命を再び「世界」へと繋いだバスターとレアナ。「意志」を貫き自らの命を代償にして「石のような物体」を解放した森羅と篝。この両者の関係、それはどういうものなのでしょうか?

 『斑鳩』のプレストーリーにおいて、森羅は夢の中で「男女の精神存在」の声を耳にします。それは、まるでバスターとレアナの魂が語りかけてきたかのようなものでした。果たして森羅と篝がバスターとレアナの生まれ変わりなのか、『斑鳩』の世界は『シルバーガン』と繋がっている「もうひとつの未来」なのか……私は、単純にそういった関係ではないと考えています。

 ここからは完全に私の想像ですが、『シルバーガン』と『斑鳩』の世界は異なる世界であると考えています。それぞれの世界に「石のような物体」が存在し、そして、それに抗う者が存在する世界。そんな世界が平行して存在しているのではないでしょうか?

 では、森羅が夢の中で見た男女は誰だったのか。単純に考えれば、バスターとレアナではないかとも考えられます。しかし、あの存在は、そういった個人を越えた存在だったのではないでしょうか。いわば、バスターとレアナ、森羅と篝といった、「石のような物体」と抗う者達、そういった存在達が異なる世界に各々存在しながらも根本で繋がって持っている「想い」、それらが具現化したモノが、あの精神存在だったのではないでしょうか。

 「世界」「意志」と語られた「RSシリーズ」のテーマ。果たして、「未来」をテーマとする「RS-3」では、一体どんな物語が語られるのでしょうか? まだ見ぬその作品に出会える日が、待ち遠しいばかりです。



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