"あとがき"


   『P.S.』『告別』に続き、ガイを中心とした短編の第3弾です。シルバーガンの設定資料集をご覧になった方には気が付かれた方も多いと思いますが、ガイの設定の横には女の子の写真が収めされたロケットが描かれています。一体これは誰なんだろうと疑問に思い、とうとう「はん」さんにまで直にお聞きしてしまったのですが、そのお答えは「戦争の記憶のようなものです」「最期は楽にしてやりたかったんです」ということでした。

 戦争の記憶……? 確かにシルバーガンという最新鋭戦闘機が開発されざるを得ないことを考えると、おそらく「地球連邦」というひとつの国家的存在に治まったとはいえ、まだどこかで反対派ゲリラなどが反乱や内紛を起こしているのでしょう。そして、その戦争のひとつがガイの思い出に影を落としている……?

 そこからこの物語は書き始めました。ガイの最期は『P.S.』でも描かれていますが、この作品のラストの時間軸は、艦長やバスター達への声にならない遺言を残した直後として設定して描きました。また、最後に子供時代に死んだはずの「ユリ」が成長した姿で現れますが、これは、「死後も死者は成長し続ける」という山形県宝珠山立石寺(松尾芭蕉も『奥の細道』で訪れている古式ある場所です)を中心とした信仰を元にしたためです。話がそれますが、藤子・F・不二雄先生もここを舞台として『山寺グラフィティ』という名作短編を描かれています。なお、「ユリ」という名前はエストラさんの仰っていた案から頂きました。借用させて頂いたこと、ここに感謝致します。

 いつものことですが、最後まで読んでくださってありがとうございました。

2002.4.16.



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