[始まりから再び紡がれる二人の絆]


 バスターが自室に戻ってくると、部屋の中には寝台に備え付けられた明かりだけが灯っており、その寝台の上では、パジャマ姿のレアナが眠っていた。
 バスターが寝台の脇に腰かけ、レアナの絹糸のような髪を撫でると、レアナは小さな声を漏らして瞳を開いた。
「あ……バスター……おかえりなさい……」
「レアナ……ただいま……」
 寝台から起き上がったレアナはそのままバスターに抱きついたが、薄暗い部屋の中でバスターの顔を間近に見て、驚いたような顔をした。
「バスター……顔がすごく赤いよ? お酒の匂いもすごいし……艦長とお話してきたんでしょう? なにかあったの?」
「いや……ちょっとな」
 バスターは自分に抱きつくレアナの体を優しく抱き返し、彼女を抱きしめたまま、テンガイとの会話を振り返って、誰に言うともなくつぶやいた。
「やれやれ……艦長は、なんだってお見通しだな……」
「ふふっ……そうだね」
「そのだな……艦長に、お前は俺の……妻も同然だって……言われちまったんだ……」
「え……艦長ったら……」
 バスターの言葉を聞いたレアナは、バスターに負けないほどに顔を赤らめた。だが、バスターに抱きつきながら、レアナは青い瞳でバスターの紫色の瞳を正面から見つめた。
「でも……バスターと初めてひとつになって愛し合えたときから……あたしはずっと……バスターのお嫁さんになりたかったよ……」
「レアナ……」
 バスターの腕の中のレアナは真剣なまなざしで、続く言葉を切り出してきた。
「バスター……バスターはあたしを……バスターのお嫁さんに……本当のお嫁さんに……してくれる……?」
 レアナの真剣な問いかけを聞いたバスターは少しだけ驚いたが、すぐに優しい笑みを浮かべ、レアナを見つめ返した。
「もちろんだとも……。今さらになっちまうが……俺は、お前と初めて結ばれたときから……お前のことをただ愛しているだけでなく……もう俺達は結婚したのも同じだって思ってたんだからな……。お前と毎晩、愛し合うたびに……ああ、俺がいま抱いているレアナは俺だけのもの、俺の妻なんだって……何度も思ったものさ」
「バスター……!」
「だから……艦長にお前が俺の妻も同然だって言われたときも、いきなりで動揺はしたけど……俺は否定なんかしなかったんだぜ?」
 バスターの言葉に、レアナは心から嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「バスター……! じゃあ……あたしはもう……バスターのお嫁さんなんだね……!」
「ああ……俺にとってお前は……この世に生まれてきてから初めて本気で愛したたった一人の女であり……俺の愛しい妻さ……」
「バスター……! あたし……あたし……うれしい……!」
 二人はそのまま固く抱き合い、唇を重ねた。このうえなく深く甘いくちづけに、バスターもレアナも夢中になっていた。
 やがて、長い長い時間が過ぎたころ、二人がようやく唇を離すと、レアナはうっとりしたまなざしでバスターを見つめた。
「バスター……今夜もいっぱい、愛して……。初めてのときみたいに……あたしのなにもかもを……うんと愛して……。あたしはバスターの……お嫁さんなんだから……」
 愛しいレアナの懇願を無下にすることなど、バスターには出来るはずもなかったし、元よりバスターもレアナと同じ想いだった。バスターもまたレアナを見つめながら、ささやくように愛の言葉を口にした。
「ああ……。レアナ……愛している……。愛しい俺の妻……」
「バスター……大好き……」
 二人は抱き合ったまま勢いよく寝台に倒れ込み、もう一度、唇を深く重ねて愛をつむぎ始めた。バスターの部屋の中は今夜もまた、愛し合うバスターとレアナの熱い想いが満ちあふれようとしていた。



あとがき


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