-SS版STAGE1の音声について-



 『レイディアントシルバーガン』サターン版ステージ1では謎めいた音声メッセージがバックに流れます。それは表のストーリー上では「人類の犯した業」ともとれる内容です。けれど、実はこのメッセージ、そしてEDのクリエイタのモノローグには、ディレクター井内ひろしさんがこの作品に託した"もうひとつの意味"が隠されています。「NO REFUGE」を読んで初めてこのメッセージの意味を知ったとき、私は泣いていました。あの深いストーリーに加えて、こんなもう一つのメッセージが込められていたなんて…。井内さんやトレジャーのスタッフの方々がどんなにゲームを愛しているのか、このシルバーガンという作品にどんなに思いを込めているのかということがひしひしと伝わってきました。そして同時に、今のゲーム業界の現状へのプレイヤーとしての責任を痛感したのです。この託されたメッセージの意味を知ったことで、『シルバーガン』は私にとってよりいっそう特別な作品として心に焼き付きました…。以下は「NO REFUGE」より転載しました、井内ひろしさんによる寄稿文「SS版STAGE1の音声について」です。シルバーガンを最後までプレイされた方はもちろん、プレイされていない方も是非読んでみてください。



-SS版STAGE1の音声について-

 最後に「レイディアントシルバーガン」に込めた皆様へのメッセージ、カモフラージュした「STAGE1 LINK」の部分をもとの形にして伝えたいと思います。
 たいしたゲームを作ったわけでもないのに、かなり無謀で偉そうなことを書いておりますが、ご容赦を…読んだ後で「バカにしてる」と思うか「そうか…」と、思うかは人それぞれにお任せします。ただ、経営者、営業職、開発職、販売職、そしてユーザーの方々にも考えてほしいのです。この切り捨て文化であるゲームのことを…。
 もともと、この文章は雑誌関係の方々が、ストーリーやステージ1部分の音声について「何が言いたかったのか?」と聞いてきた場合にのみ、渡そうと用意していたものなのですが、興味なかったみたいです(笑)
 よって、おそらくこの文章を理解されるであろうこの本の制作者に委ねたいと思います。

RADIANT SILVERGUN チームディレクター 井内ひろし




(カモフラージュ文)
STAGE:1 LINK 100000 B.C 7.13 18:06

「この世に生まれし第11の息子よ、銀の銃をもって人々の魂を撃ちぬくのだ」
「お願い、あきらめないで」
「愚かじゃよ人間は…」
「人よ立ち上がれ!この大地は神が我々に与えしものなのだ」
「あんた、正気なのか?自分のやっていることがわかってるのか?」
「なっ、何をする!」
「希望を持ちましょう、そしていつの日か必ず」
「この荒れ果てた大地を見るがよい、これが我々に与えられた天罰なのじゃ」
「殺せ!そして奴等を根絶やしにするのだ!」
「戦争を止めることは出来ないのだよ。戦争はお互いが正義じゃからな…」
「お願い、あきらめないで」
「ここには夢や希望なんてない…」
「緑に覆われたあの頃の風景はなくなってしまった」
「あきらめないで」
「わたしにだって夢はあったわ、でもどうしてかしらね」
「これからは人を中心とした政治が必要なのだよ…」
「このことにより世界大戦は避けられないものとなりました」
「我々はもう一度考え直すべきです。皆さんにもわかっているはずだ」
「サイは投げられた。もう誰にも止めることはできん」
「世の中は移り変わってゆく…しかし、変わらないものが一つだけあるのだ」
「あきらめないで」
「俺の夢はね…この宇宙の中にあるんだ」

「わたしのこと、愛してる?」

「!?」(爆発)


(原文)
私的代弁者:「この世に生まれた11番目の作品、『シルバーガン』をもって人々に訴えかけるのだ」
私的かつ客観的代弁者:「お願い、あきらめないで」
正しき主観を持つ者:「愚かだよ、俺たちは…」
無知な商売人:「創造者よ立ち上がれ!この金を生む業界は我々の為にあるのだ」
道理を理解する者:「あんた、正気なのか?自分のやっていることがわかってるのか?」
道理を理解する者:「なっ、何をする!」
気休めの言葉:「希望を持ちましょう、そしていつの日か必ず」
正しき主観を持つ者:「この最悪の市場を見てみろ、これが自業自得の現状なんだよ」
無知な商売人:「クビだ!奴等を全員クビにしろ!」
客観的代弁者:「争いを止めることはできない。創造者も商売人もお互いが正義だと思っているからな…」
私的かつ客観的代弁者:「お願い、あきらめないで」
去りし者1:「ここには夢や希望なんてない…」
創造者:「ゲームそのものが楽しいと思っていた頃の感覚はなくなってしまった」
私的かつ客観的代弁者:「あきらめないで」
去りし者2:「わたしにだって夢はあったわ、でもどうしてかしらね」
視野の狭い商売人:「これからは視野を広く、ライトユーザーを中心としたゲーム作りが必要なのだよ」
客観的代弁者:「このことにより両者の対立は避けられないものとなりました」
私的代弁者:「我々はもう一度考え直すべきです。皆さんにもわかっているはずだ」
客観的代弁者:「サイは投げられてしまっている…もう誰にも止めることはできない」
希望的観測者:「しかし、世の中が移り変わっていっても…変わらないものが一つだけあるはずだ」
私的かつ客観的代弁者:「あきらめないで」
私的代弁者:「俺の夢はね…この創造空間にあると思いたい…」

ゲームたる者の存在:「わたしのこと、愛してる?」

全員:「!?」(爆発)

これは始めから決まっていたこと…
そう、幾度となく繰り返されていること…
時代にとり残された私にできることは…
再びゲームを再生させること…
そう幾度となく繰り返されていること…

私はゲームがゲームらしかった頃のクローンを作る…
ゲームがゲームらしく生き残るために…

長い時間をかけて、再び創造空間は発展していくだろう…
そして我々が同じあやまち(切り捨て文化の道)を繰り返さないように、祈りたい…

同じ志を持っている数少ない経営者、販売者、開発者、ゲームプレイヤー達に祝福を…



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