"クリエイタの思い"



 ステージ6A冒頭、ここでは、ある一つの疑問が浮かびます。それは「クリエイタは記憶データから知った真実をバスターとレアナに伝えたのだろうか?」ということです。

 このことについては、サターン版発売当時からずっと考えていました。様々な方とも意見を交わし、私が辿りついた結論は……「二人には真実を伝えなかったのだろう」という推測です。

 もし「この先に待つ結末」や「石のような物体の正体」を伝えたとしても、いずれにせよ二人はあの選択を選んだだろうと思われるのです。絶対的存在である「石のような物体」から逃げるのではなく、最後までその存在に対して抗う道を。クリエイタもおそらく、その事を解っていたはずです。だからこそ、二人を待つ残酷な「結末」を打ち明けることなど、出来なかったのではないでしょうか。

 以前にも書きましたが、バスターとレアナは生き延びる為に、何よりもお互い、たったひとりの大切な相手を守る為に、勝つ可能性はゼロに近いと解っていながらも飛び立ったのだと私は考えています。徹底的に否定したいと思いながらも、おそらくはどこかで死を覚悟して。それでも自身と守るべき存在のために、最後まで抵抗を行う決意をしたのだと。しかし残酷な現実を言えば、100%に近い確率でした。二人が「石のような物体」に結局は抵抗することが出来ず、殺されてしまうという「運命」は。二人はクリエイタが連邦軍本部から入手したデータを持っていると知っていても、そんな「運命」を知りたくはなかったはずでしょう。だから、バスターとレアナも、クリエイタに問いただすことなどは、敢えて行わなかったと思うのです。

 それでは、何故、二人は髪の毛をクリエイタに渡したのでしょうか?(これは私の推論と反しますが、もしもバスターとレアナが人類の歴史の真実を知らされていたとしても)クリエイタの求めに応じて髪の毛を渡したことは、二人にしてみればそれは純粋に「形見」のつもりとしてクリエイタに渡したのではないでしょうか?

 OPの研究員・アレンの台詞からもわかるとおり、ロボノイドがクローンを簡単に 作れるということは、もちろん二人も知っていたはずです。髪の毛を 渡せばクリエイタが、自分達のクローンを作るかもしれないということも。 それに、クリエイタの最後の懇願を聞いたとき、二人はおそらく、自分達が戻れなかったときにクリエイタが行おうとしていることを、うすうす予測していたのではないかとも考えられます。 けれど、バスターとレアナは髪の毛を渡す時、そういった意思の有無をあえて 何も尋ねずにクリエイタに渡したのではないでしょうか? 上手く言えませんが、自分達が存在した証を残したい気持ちがあった…… だからクリエイタに髪の毛を渡したのでは?と思うのです。 人類という種の存続という大きなことを考えていた訳ではなく、自分達がまぎれもなく生きていたという、小さな証拠として。

 最後に……『レイディアントシルバーガン』本編では、バスターとレアナをはじめとする人間も、そしてクリエイタも、「運命の環」から抜けだすことは出来ませんでした。けれども、「定められた未来の運命」などというのものは、絶対なものなどではないはずです。「現在やれることを、最善を尽くして行う」、そうやって人は生きてきて、これからも生きていくはずなのですから。そうして、閉じられた「運命の環」から、『レイディアントシルバーガン』の世界の人類はきっといつか抜け出すことが出来るのでしょう。それこそが、「創造主」としての役割を負わされたクリエイタの願いなのですから……。



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