"バスターとレアナ、二人の絆"



 ステージ6A冒頭、残されたバスターとレアナは「石のような物体」との最後の戦いに赴く決意を固め、出撃します。2人のこの行動は、ただ無謀なだけのものだったのでしょうか?少なくとも私はそうは思っていません。

 世間を知りすぎたために人間不信気味なバスター、世間知らずだけどそれゆえに人に対して疑いを抱かないレアナ…この二人は一見対称的ですが、バスターは感情を素直に表現できない点、レアナは必要以上に明るく振舞って本当の気持ちを理解してもらえない不器用な点でどこか似ているとも思えます。事情は異なるけれど「家族」に恵まれなかったという点でも(バスターは金の亡者である政治家の親に嫌気がさして早くに家を出ている、レアナは政治的陰謀で両親を失っている)。そんな二人が人類最後の生き残りになってしまったとき、やっとお互いを本当に理解しあうことができたんじゃないかと思います。特にバスター、彼は多くの人を失いすぎてしまったあの時、はじめて自分の思いを素直にたった一人の相手、レアナの前にさらけ出すことが出来たんじゃないでしょうか。

 6A冒頭でバスターは初めてレアナとクリエイタという"他者"の前で自分の感情を露わにします。それは『俺たちは…勝てねえのかな?』という、自信家の彼のものとは考えられないような台詞でした。ガイとテンガイ艦長という仲間を失った悲しみ、「石のような物体」の力を目の当たりにしながらも生き延びるためにはその脅威と対峙せざるをえない状況、さらに"最後の人類"となってしまった心細さと責務…それらが一度に押し寄せたことによって、それまでの彼なら絶対に表に出さなかったであろう本心を漏らしてしまったのでしょう。もしかしたら本当の彼は「自信家」という見かけほどバイタリティがあるわけではないのかもしれません。

 レアナにとってみても、そんな彼は初めて出会う"裏を持たない"バスターだったのでしょう。彼女がそれまで知っていた、理解できない"裏"を持っていたバスターではなくて。彼の本心を聞いたとき、レアナは不安になりながらも、バスターという人間を本当に知ることが出来たのではないでしょうか。(いつも通りの口調に戻ったバスターの照れ隠しのような『やれやれ…しゃーねえな…』という台詞に対しての、(しょうがない人ねえ)というニュアンスの『素直じゃないのね』という返答にも、それは表れているように感じます)。

 クリエイタの励ましに加えて、なによりもお互いが大切だからこそ、二人はあの後逃げずに飛び立ったのでしょう。どんなに可能性がゼロに近くても、お互いが生きのびるために、そしてたった一人の相手を守るために、滅びの運命を変えたいと願って…。



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