No.111…"桜坂消防隊"(2004.6.10(廉価版:2006.7.20)/PS2/開発:ラクジン/販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング)

 架空の街である桜坂市の消防署に勤務する消防士・本条大地を主人公に、桜坂市で起こる様々な火災現場へ向かって消火作業に当たりながら、大地の兄の雄一郎が殉職した事件に関わる陰謀を解き明かしていくことになるアクションゲームである。

 本作の主人公は本条大地だが、ゲーム内では大地とその消防士仲間の同僚とが連携プレーを行って消火活動を行う必要性が最初から最後まで求められており、まさにタイトルの「消防隊」という言葉がふさわしい内容となっている。仲間の消防士らにも消火作業に当たる際に個性付けがなされており、例えば大柄で腕力のあるキャラは斧を使った作業が他のキャラと比べて速かったり、火災の原因や裏に隠された陰謀に繋がる鍵となる遺留品に対して気づきやすかったり逆に気づきにくかったりする個人差がある。それらの個性を適材適所で運用していくのがこのゲームの面白さの一つだろう。また、現場に入っている消防士仲間に指示を出す以外にも、救助部隊や医療部隊、ポンプ車や消防ヘリやハシゴ車に応援要請を出すことも出来る。これらの要素もフルに活用してスムーズな消火活動を行うことも重要になってくる。

 火災現場での消火活動が終了すると大地らは桜坂消防署へと戻り、取得した遺留品を鑑定したり、火災現場で救助した要救助者からのメールを読んだりすることになる。遺留品は言うに及ばず、要救助者からのメールの中にも一連の火災の裏に存在している陰謀を暴く鍵が記されていることがある。これらの事件の鍵となる遺留品などから情報を収集して、雄一郎が殉職した事件の真相と黒幕にどこまで迫ることが出来たかで、エンディングは4つに分岐するようになっている。

 物語の裏に陰謀が存在しているのは、もはやアイレムソフトウェアエンジニアリングのゲームのお家芸であったが、黒幕や陰謀に加担した真犯人を見つけ出して特定に至った過程は少しばかりお粗末だったのでは……と思わなくもない。しかし一人のヒーローではなく「消防隊」というチームヒーローが連携して火災を消すアクションはなかなかのものであり、埋もれた名作にするには惜しいゲームである。

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