No.100…"OZ - オズ -"(2005.6.30(廉価版:2006.1.26)/PS2/開発・販売:コナミデジタルエンタテインメント)

 かつてこの世界には人間のほかに、人間と同じ外見を持ちながら千年に近い寿命と高い霊力を持ち、万物の源にして自然界のエネルギーそのものであるエテリアという粒子と交感することが出来るカテナという種族がいた。人間とカテナは良き隣人同士として生きてきたが、あるとき突然現れた「神々」によってカテナはその霊力の高さゆえに精神を支配され、「御使い」と呼ばれる神々の手先となって人間から恐れられる存在となってしまう。更に神々は降臨以来、数百年に渡ってエテリアを搾取し、エテリアが減少したことで活力を失った世界は緩慢な滅びを迎えつつあった。

 人々は神々と御使いの脅威、そして世界の滅亡におびえながら暮らしていたが、あるとき、御使いの中でも特に優れた三人を示す「OZ」の一人であるカインが行方不明となる。それから15年後、御使いを始めとする神々の手先は神々の命令によって突如子供狩りを始め、カインが消息を絶った場所に近い村にも、かつてOZであった御使いのアルミラが襲ってくる。

 しかし村に住む少年フィールと戦って敗北したアルミラはフィールの持つ不思議な力によって御使いとしての精神支配から解放され、本来のカテナとしての自由意志を取り戻す。フィール、アルミラ、そしてアルミラと同じように元OZでありフィールと戦って神々の精神支配から解放されたレオン達三人は、神々のしもべにさらわれたフィールの妹ドロシーを助け出すために、神々や御使いに立ち向かうことになる。

 コナミが完全新規で制作したアクションゲームで、特筆すべきはその独特のアクション要素である。敵を打ち上げると、近くの仲間が素早くキャッチしてもう一人の仲間のところへ飛ばし、また自分のところへ打ち上げた敵が戻ってくる。このラリーを繰り返すとテンションゲージが溜まり、最終的に必殺技を発動させて敵を一掃することが出来る。また、打ち上げられるのは敵だけではなく、例えばボス戦では画面内に意味ありげに置かれているオブジェクトを打ち上げてテンションゲージを溜めれば、必殺技で大きなダメージを与えられる仕掛けなどが用意されている。また、ストーリーの途中からはOZゲージも出現し、このゲージがMAXになるとボス戦で自動的にキャラクター全員が装甲状態に変身し、通常時より強力な能力を発揮することが出来る。

 このラリーの応酬による攻撃システムがテンポ良く、このゲーム独特の爽快感を味わえる。また、必殺技はレベル1からレベル3まであり、高いレベルで敵を倒したほうが獲得出来るエテリアの量も多くなる。エテリアには色分けされた種類があり、HPを回復したりテンションゲージやOZゲージを上昇させたりするもののほか、集めて溜めることで各種の成長アイテムや装備アイテムを生成出来るものもある。生成出来るアイテムは真面目なものからユーモア溢れるものまで豊富で、スタッフの遊び心を感じ取ることが出来る。

 アクション要素だけでなく、前述したようにストーリーやキャラクターの設定も緻密で、主人公であるフィールや彼の妹ドロシーの出生の謎、そしてフィールと共に行動するアルミラやレオンら旧OZと、カインの親友であったヴィティスを始めとした新OZとの戦いや共闘など、最初から最後までプレイヤーを楽しませてくれる要素に満ちている。

 ただ残念なことに、4つに分岐するエンディングは各ステージの戦闘成績の総合ランキングと、特定のボスを変身状態の必殺技で倒したかどうかで決まるため、アクションがあまり得意でないプレイヤーにはこの点は優しくない要素であると言っていいだろう。これだけストーリーが作り込まれているのだし、エンディングの分岐は戦闘成績やその内容ではなく会話の選択肢や仲間との信頼度などで変化してほしかったと常々思う限りである。しかし、2周目以降は隠しアイテムの生成や隠しステージの出現条件などが解放されるため、自身の腕前を高めながら周回プレイを楽しむというプレイスタイルには大いに意味があるだろうし、開発スタッフも周回プレイ前提でこのゲームを作ったのではないかとも思われる。

 前述したように真のエンディングを見るには相当の苦労を要するし、発売されたのはもう10年以上前のゲームであるが、その面白さは全く色褪せていない。リズミカルなアクションという他のゲームでは味わえない点が最大の売りだが、それ以外のストーリーやキャラクターといった設定面も充実している傑作である。

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