No.21…"はじまりの森"(1999.7.1/SFC(ニンテンドウパワー)/開発・販売:任天堂)
No.21…"はじまりの森"(2007.7.17/Wii VC/販売:任天堂)

 「ニンテンドウパワー」書き換え専用ソフトとして発売された作品であり、そのためか知名度も低い。しかし、これは「少年と少女のひと夏の冒険」を描いた上質な作品である。任天堂に直接問い合わせれば、今でも書き換えはしてくれる。しかし、肝心のメモリカセットはもう発売されていない。残念なことだが、このゲームを遊びたければ、中古ショップを回ってメモリカセットを見つけるしかないのかもしれない。

 物語の年代は今から約20年前のとある田舎の村。夏休みを利用して、主人公の少年がこの村に住む祖父のもとへ遊びに来ることから物語は始まる。謎の少女・小紫との出会い。悪ガキ仲間との勝負、そして友情。村に伝わる森の伝説。様々な体験をしながら、主人公の少年は荒れ果てた森を救うため、小紫と共に、全ての森が生まれ、森の神が住まう場所「はじまりの森」を捜し求める冒険に出ることになる。

 移動画面が多少面倒くさいが、慣れてしまえばどうということはない。また、本筋以外にもミニゲームが多数用意されており、さらにそのミニゲームの数々が、本編から浮き上がらないように仕掛けられている。それは悪ガキ仲間とのメンコ勝負だったり、釣った魚を上手く捕まえるといったものである。本編とミニゲームが乖離しているゲームが多い中、この仕掛け方は見事であろう。

 ストーリーも最初に書いたように、非常に上質なものである。後半で明かされる主人公と小紫の関係はさらっと語られるだけだが、「運命」というものを感じざるを得ないだろう。エンディングも切なく、綺麗にまとまっている。メモリカセットをお持ちの方で、未プレイの方がいらしたら、是非書き換えてプレイしてみることを推奨する。思えば「ニンテンドウパワー」専用ソフトでは『ファミコン探偵倶楽部part2 後ろに立つ少女』リメイク版や、『平成新・鬼ヶ島』をはじめとして、良質な任天堂作品を遊ぶことが出来た。もっともっと活用されるべきシステムだったのではないだろうか。非常に残念である。

(追記)
 上述したようにソフト本体の入手もままならなかった『はじまりの森』だが、2007年にバーチャルコンソールに登場したので、現在では気軽にプレイ出来るゲームになっている。

CONTENTS

inserted by FC2 system