No.108…"探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK"(2017.8.31/3DS/開発:オレンジ/販売:アークシステムワークス)

 神宮寺三郎シリーズ30周年を記念して開発・販売された記念作が、今回紹介する『探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK』である。

 バーかすみで飲んでいた神宮寺が店に飛び込んできた男から「廃屋で幽霊を見た」という話を聞いたことをきっかけに、一つの殺人事件が浮かび上がる。その事件は比較的スムーズに解決を見るが、事件をきっかけに知り合ったある男が抱え続ける「罪」と「秘密」をめぐって続けて事件が起き、それらの一連の事件は今は崩壊したソ連の伝説のスパイ「ガルム」へとたどり着くことになる――。

 内容はオーソドックスな推理ADVで、尋問シーンなどで選択肢を間違えてもゲームオーバーになることはないのでその点の難易度はかなり易しいと言える。プレイヤーのミスによるゲームオーバーは存在しないためサクサクと進められるし、肝心のストーリーも完成度が高く、素直に楽しめるだろう。ストーリーを進めるうちにサブタイトルの「GHOST OF THE DUSK」が示すものも分かってくるが、その存在の悲しさと孤高さにはあまりに切ないものがある。

 しかし画面内の怪しい箇所を見つけて調べる探索パートのテンポが悪く、イラつくほど画面が見にくいので、この点は残念であった。探索パートになるたびに「またか!」と思ったほど、このパートは楽しめなかったので、この点ばかりはもっとどうにか改善してほしかった点である。

 また、長編シナリオ『GHOST OF THE DUSK』の他に、ガラケーアプリとして出た短編シナリオ4本が収録されており、その内訳は『鬼姫伝』『愛ゆえに』『勿忘草の想い』『揺らめくひととせ』であり、これでガラケーアプリとして配信された神宮寺の短編シナリオはDSもしくは3DSで出たソフトらに4〜5本づつ全て収められたため、ガラケーがその姿を消しつつある状況になっても、全部の短編シナリオを容易にプレイすることが現在でも可能になったわけである。

 ファミコンをプラットフォームとして誕生して30年もの長い年月の中で愛され続けてきた稀有な探偵である神宮寺三郎。気の早い話だがまた新たな事件で彼に出会える日が今から楽しみである。



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