No.85…"探偵 神宮寺三郎 夢の終わりに"(1998.4.23(廉価版:2000.10.19/販売:メディアリング)/PS/開発・販売:データイースト)
No.85…"探偵 神宮寺三郎 夢の終わりに"(1998.7.10/SS/開発・販売:データイースト)
No.85…"探偵 神宮寺三郎 夢の終わりに"(2007.10.24/PS ゲームアーカイブス/販売:アークシステムワークス→エクスプライズ)

 シリーズ作としては6番目の作品にあたる今作。据え置きハードで出た『神宮寺三郎』シリーズの中では、私が最も好きな作品でもある。

 物語は神宮寺の夢から始まる。それはニューヨークでの探偵修行時代に神宮寺が遭遇し、そして今では彼の助手となっている御苑洋子との出会いとなった苦く辛い記憶であり、決して夢見心地は良くない夢だった。

 神宮寺は洋子の高校時代の友人、永田由香からストーカー調査依頼を受ける。それはよくある事件であるし、実際、神宮寺は犯人を特定までしたものの、反省した犯人の姿から、犯人の身の上を慮って穏便に解決させた。しかしその直後、由香が謎の失踪を遂げてしまう。神宮寺は洋子、熊さん、由香の妹の美貴らと共に由香の行方を捜索するが、その背後には大きな闇が隠されていた。

 今作ではザッピングをシステムに取り入れており、主人公の神宮寺だけをプレイしてもクリアすることは可能だが、洋子、熊さん、美貴ら他の三人でもサッピングしてプレイすることで、神宮寺の視点では分からなかったことが熊さんの視点では分かったりといった面白さがある。もっとも、例えば神宮寺と美貴、洋子と美貴のようにプレイヤーキャラが一緒に行動する場合には、それぞれザッピングしても同じ展開をまた見なければいけないといった問題点もあるのだが……後半では4人それぞれが基本的に別行動をするようになるので、前述の問題点もさしたる問題でもなくなってくる。

 また、一つの部屋を捜査する捜査パートになると発売時の流行だったポリゴン画面となるのだが、これが問題が大アリで調べたいポイントを調べたくてもスムーズに調べられず、操作性が非常に悪いものとなっている。他にも、PS版&ゲームアーカイブス版では終盤に熊さんのパートを進められなくなるバグがあり、幸いにも他のキャラの話を見てから熊さんに戻ればバグは起きなくなり話は進むので、致命的なものではないのだが、なぜこんな大きなバグが見過ごされたのだろうと頭を捻るばかりである。

 システム面に対して苦言を漏らしてしまったが、語られるシナリオはハードボイルドかつ切なく悲しい内容となっている。最後までプレイして頂ければ、今作のサブタイトルの意味を理解してもらえると思う。特に終盤のクライマックスでは神宮寺と洋子がニューヨークで遭遇した事件と似たような状況に再び追い込まれるが、最後に神宮寺が取った行動によって、神宮寺も、洋子も、意識の奥底で自分達を長く縛り付けてきた過去の悪夢と決別出来たのだろうということが伝わってくる。そして、事件の真犯人も、最後は長い悪夢から目覚めることが出来たのだろう。

 現在ではPSゲームアーカイブスにも入っているので、ゲームアーカイブス版なら気楽に遊ぶことも出来る(前述した熊さんパートのバグには注意だが)。ファミコン時代から今に至るまでシリーズが続いている息の長いADVは『神宮寺三郎』シリーズだけと言っても過言ではなく、『夢の終わりに』はその中でも特に出来がいいので、胸を張ってオススメしたい作品である。

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