No.41…"探偵 神宮寺三郎 白い影の少女"(2005.1.27(廉価版:2006.3.16)/GBA/開発:ワークジャム/販売:マーベラスインタラクティブ)

 ゲーム界でもっとも有名な探偵の1人である神宮寺三郎。これはそのシリーズがGBAという携帯機で初めて出た作品であり、開発元のワークジャムにとっては3作目となる作品である。

 物語は神宮寺の大学時代の親友の死から始まる。葬儀に出席した神宮寺は、亡くなった親友・大河原哲司の母である静江から依頼を受ける。それは大学時代の哲司の恋人であった佐藤亜希へ哲司の遺品を渡して欲しいというものだった。亜希は哲司との結婚を静江に反対されて以来、行方がわからなくなっており、神宮寺は彼女の行方を求めて捜査を開始する。やがて、亜希の親友である女性を見つけ、「苦しんでいる亜希を救ってほしい」と頼まれる。

 同時に、馴染みの刑事である熊野参造から、新宿に現れるという謎の子供「ゆうちゃん」の噂を神宮寺は聞く。静江からの依頼と同時進行で「ゆうちゃん」の真相を探る神宮寺だが、二つの依頼には意外な接点があった……。基本となるストーリーは親子の愛や、男女間の愛である。それゆえに、真犯人の悲しい動機も、より浮き彫りになるように思えてくる。

 携帯機ということもあってか、これまでの神宮寺シリーズの中でも、かなり話のテンポがいい。推理システムで1回でも失敗するとゲームオーバーになるのは痛い点だが、よく考えれば分かる推理がほとんどであるし、ただ文章を追うだけでないアクセントとなっている。

 また今回は、パートナーが二人いる。1人はお馴染みの助手である御苑洋子。もう1人は大河原家のメイドで神宮寺の手助けにと派遣された池内春菜。この二人には記憶力や行動力といったステータスが設定されており、神宮寺が推理に成功するたびに、そのステータスに割り当てられるポイントは増えていく。神宮寺は洋子または春菜のどちらかを選んで調査に出かけることになるが、同じシーンでも、洋子と春菜では二人の性格の違いが出ており、両方の対応を見比べるのも面白いだろう。個人的に春菜は『逆転裁判』シリーズのヒロインである綾里真宵に性格が似ている気がする。スタッフが影響を受けた可能性ももしかしたらあるのかもしれない。



FAN FICTION
(2006.2.21)

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