No.9…"ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物"(1994.10.21/SFC/開発・販売:データイースト)
No.9…"ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物"(1997.12.1/SFC(ニンテンドウパワー)/販売:データイースト)
No.9…"ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物"(2008.4.22/Wii VC/販売:パオン)

 前作『III』に引き続き、こちらも「知る人ぞ知る名作」である。とはいえ、こちらは『III』ほど深刻極まりない話という訳でもない。しかし、ゲーム全体の雰囲気がどこか切ないのだ。それは、このゲームの始まりと主人公やサブキャラクターの置かれた境遇にあるのでは、と思う。

 主人公はアトランティスに住む少年。親友プラトンや幼馴染の少女エピファー、それに恩師アールモアらとの幸福な生活風景からゲームは始まる。しかし、その「ささやかな日常」がゼウスに焚きつけられたギリシア軍によって壊されてしまう。次々に命を落とす級友や島の人々。そんな最中、主人公とプラトンのみはアールモアによって、この争いから免れる。「自身の本当の体」を失った「魂だけの存在」となって眠りにつくことによって。

 それから九千年後、運命の三女神・モイライの末妹であるアトロポス・モイライによって、主人公は目覚める。アトロポスによると、現在、人間達に大きな危機が訪れようとしているという。人間はもちろん、人間達の運命を紡ぐ役割を担うモイライにとっても、一大事である。そこで、アトロポスは肉体をどこかに失っている主人公に「トランスファー能力」を与え、この危機を救ってほしいと言うのであった。

 そんなオープニングから始まり、主人公は、同じように肉体を失いアトランティスでの記憶も忘れて別の人間の体に精神を宿らせていたプラトン、想像を絶する過酷な運命を辿ってきたエピファー、悲しき宿命に翻弄される少女ディアリらと巡り会い、地上に起ころうとしている変異を探る旅に出るのである。

 今回は戦闘システムにかなり大きな変化が現れている。それは前述の「トランスファー・システム」である。これは特定の100人近い人物に乗り移ることによって、その人物の持つ能力を発揮させ、戦うというものである。男性どころか女性はもちろん、犬にまで乗り移ることが出来てしまう。ついでに戦闘時のかけ声まで自由に入力出来てしまう。うちのプラトンはボス戦闘時にはたいてい、ある女性の体を借りていた。なぜなら、その女性の持つ技である「ひじてつ」(ボスも含めて100%の確率で、そのターンの動きを止める。ただし、ラスボスを倒した後に現れるエキストラダンジョンのボスには効かない場合もあるらしい。未確認なので注意)が強力だったせいである。プラトンにもその女性にも、なんとなく悪いことをしたような気がしないでもないが、非常に重宝させてもらったので、プラトンにもその女性にも許してもらえるだろう。

 ちなみにプラトンはラスボス戦でも、やっぱりその女性にトランスファーしていた……『III』の主人公が女装したままでもクリア出来るところに通じるかもしれない……デコのゲームはやっぱり侮り難しである。

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