No.34…"高機動幻想ガンパレード・マーチ"(2000.9.28/PS/開発:アルファシステム/販売:ソニー・コンピュータエンタテインメント)
No.34…"高機動幻想ガンパレード・マーチ"(2010.9.22/PS ゲームアーカイブス/販売:ソニー・コンピュータエンタテインメント)
No.34…"高機動幻想ガンパレード・マーチ"(2013.6.19/PS Plus/販売:ソニー・コンピュータエンタテインメント)

 一癖も二癖もあるゲームで有名なアルファシステムが開発したシミュレーションRPG……と言っていいのかどうか。確かに戦闘パートはシミュレーションRPG色が濃い。しかし、日常パートは学園シミュレーションとでも言えばいいのだろうか。とにかくキャラクター一人一人のAIがしっかりしているため、あたかもネットワークゲームをやっているような感覚すら覚える。更に舞台を学校とその周辺に限定しているため、愛着も湧いてくる。これは今までになかった感覚のゲームなのだ。

 舞台は1939年の大戦中に突如現れた「黒い月」と、そこから発生した「幻獣」と人類との戦いが50年以上続いている世界。1999年、日本本土決戦を前にして、時間稼ぎのために動員された学徒兵らが、九州に配備されることになった。プレイヤーはその中の部隊のひとつ「5121部隊」に配属されたキャラクターのひとりとして、この世界の世紀末を生き延びることになる。

 自由度は非常に高い。幻獣を次々と抹殺して「絢爛舞踏」となり、世界を救うのが王道だろうが、戦闘に明け暮れるだけでなく、恋をしてもいいし、整備兵や衛生兵になって裏方に回ってもいい。しまいには自分が司令となって、部隊を動かしてしまってもいい。5121部隊の一員であるというルールにさえ従えば、色々なプレイが出来るのである。

 ただ、世界観やキャラ設定にアクが強いため、そういった部分を受け入れられない人もいるだろう。実際、私も世界観を深く知るにつれ、嫌悪感すら抱いてしまった。しかし、それでもなお、何度もプレイしたくなるゲームなのである。

 余談だが、この『ガンパレード・マーチ』のヒットは「ゲームマスコミの敗北」と呼ばれている。なにせほとんど広告がなく、発売前も発売後も大きく取り上げたゲーム雑誌は「電撃プレイステーション」のみ(「ナイスゲームズ」も発売後に特集を組んでいるが)。それでもインターネットによる口コミで10万本以上を売り上げたのだから、まさにゲームマスコミの存在意義を問われる事件だった。ジャンルもベクトルも時代背景も異なるが、初代『ポケットモンスター』発売時も、ほとんどのゲーム雑誌はその面白さを見抜けずメガヒットも予想出来なかった失態を考えると、オンラインオフライン問わずゲームマスコミはいったい何のために存在しているのかということを考えざるを得ない。

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