No.5…"FEDA 〜THE EMBLEM OF JUSTICE〜"(1994.10.28/SFC/開発:(株)マックス・エンターテインメント/販売:やのまん)
No.5…"FEDA Remake! 〜THE EMBLEM OF JUSTICE〜"(1996.6.24/SS/開発:(株)マックス・エンターテインメント/販売:やのまん)
No.5…"FEDA2 〜ホワイト=サージ ザ・プラトゥーン〜"(1997.4.18(廉価版:2001.8.31/販売:フォーウィンズ)/PS/開発:(株)マックス・エンターテインメント/販売:やのまん)
No.5…"FEDA 〜THE EMBLEM OF JUSTICE〜"(1998.8.1/SFC(ニンテンドウパワー)/販売:やのまん)

 しょっぱなから結論をはっきりと言わせてもらう。このシリーズは私は好きなのだが、人様にはお勧め出来ない。そういうゲームなのである。

 理由は様々だが、まずは『1』についての解説から。『1』『2』ともにターン制のS・RPGで、特に目新しさは見られないが、『1』では各キャラが一撃必殺に近い必殺技を持っているおかげもあって力押しで進めることが出来るし、必殺技を使えることがプレイ中に爽快感を与えてくれている。加えて、敵の思考ルーチンも単純なことも(主人公のブライアンもしくはアインを最優先で攻撃してくる。これはたとえ彼らの近くに瀕死のユニットが居ても、である)、戦闘難易度を易しいものにしている。また、各ミッションをこなすごとに「リブラ値」という隠しパラメータがミッションの成功度によって上下し、そのリブラ値がカオス←→ニュートラル←→ロウと変動することによって、部隊の称号(「ジェノサイド」「ヘルハウンド」「バルログ」「ファントム」「バイパー」「ブレイドイーグル」「グリフィス」「ヴァルキュリア」「フェダーイン」の9つ)も変化して、この称号によって仲間になるキャラが変わってくるし、EDも変わってくる(SFC版では4つ。SS版では各称号ごとに9つ)。なお、真のEDはロウの頂点である「フェダーイン」である。

 しかし、誉めてばかりもいられない。『1』『2』の共通の欠点として、戦闘アニメーションをスキップ出来ない、敵の移動範囲を知ることが出来ないといったことが挙げられる。特に敵の戦闘アニメーションすらスキップ出来ないことは、戦闘の度にイライラきてしまう大きな問題である。また、戦闘面以外の欠点として、街などに入ったときのロード時間がやたらと長いことが指摘される。これは本来、ロード時間など皆無のはずのSFC版でさえ、である。確かな情報ではないが、この問題は容量に圧縮をかけすぎたためだと聞いたことがある。ならば、なぜもっと改善しようと思わなかったのか。街や建物への出入りは頻繁に行われる行為だけに、余計にイラついてくる問題だというのに。それともそういう技術を達成出来なかったのだろうか?

 ストーリーもそこかしこに散漫な印象を受ける。主人公が帝国から脱走して解放運動に加わる、という主軸には特に文句はない。しかし、そこに関わってくる人物達の描き方が浅いのだ。例えば、主人公であるブライアン・ステルバートを度々襲ってくるタスク・ブレストレートというキャラがいる。このキャラは実はブライアンの幼馴染で戦禍の中で別れ別れになった親友だったという設定なのだが、なぜそういった関係だったはずのタスクが180度も態度を変えてブライアンを殺そうとしてくるのかがきちんと描かれていない。そのため、ブライアンが抱えているはずの苦悩も、タスクの葛藤も、何も伝わってこないのである。

 頭をこらして考えるに、この二人の間にはもう一人、ルーシア・フランモアという幼馴染の女性がいる。そもそもこのルーシアがタスクへの想いを彼が出征するときにちゃんと言わなかったこと、そしてその結果、タスクがルーシアの想い人はブライアンであると勘違いしたため、あそこまで性格が歪んでしまったのではないかと思われる。デザイナーはこのルーシアというキャラを結構気に入っているようだが、プレイヤーにとっては、ロイス・ヘッグマイヤーやドーラ・システィールのように戦闘に参加するわけでもなく、しかも優柔不断なばかりにブライアンとタスクの軋轢の原因となった女性などに感情移入出来るはずがないのである。おかげで私はサターン版のフェダーインEDを観終えた後にコントローラを叩きつけるはめになってしまった(実話)。私が見たかったのはSFC版のフェダーインEDで語られたような「ブライアン達のその後」であり、ルーシアの勘違いしたモノローグなんかではなかったのである。どうしてそれが開発サイドでは分からなかったのだろうか?

 次に『2』について述べる。この『2』だが……『1』同様……というよりも、更にお勧めすることが出来ない。一体どこに問題があるかといえば、戦闘面でのバランスの悪さが真っ先に挙げられる。味方キャラが敵を攻撃しても「ライトヒット」と判定されて、小ダメージしか与えられない場面が多すぎるのである。各キャラが必殺技や魔法を使えることは前作と同じだが、これらの必殺技も通常攻撃同様、「ライトヒット」と判定されてしまえばそれまでである。酷い時には「クリティカルディフェンス」として判定されてしまい、全くダメージを与えられない場合も少なくない。とどめのつもりで必殺技を使ったのにクリティカルディフェンスされた日にはコントローラを叩きつけたくなる(実際、私は何度投げつけようかと思った。サターンのリメイク版EDでは本当に叩き付けたのだが)。そのくせ、敵の攻撃を味方が防御してライトヒットに抑えることやクリティカルディフェンスに成功する確率は低い。圧倒的に敵に有利に戦闘難易度が設定されているのだ。こういったライトヒットやクリティカルディフェンスが高く発生する確率のせいで、戦術を組むこともままならない。プロデューサーは攻略本に載ったインタビュー記事で、戦闘難易度を高くすることで戦争のシビアさを表現してみた、などといったことを述べているが、そのおかげで戦闘が楽しめないのでは何の意味もない。そのことにスタッフは誰も気付かなかったのだろうか?

 ストーリーについては、『1』では主人公達の部隊がスクーデリアという辺境とはいえひとつの大きな大陸全土を巻き込んだ戦乱に終止符を打つほどスケールが大きかったが、『2』では、あくまで「軍という大きな組織内の一個小隊の戦闘記録」として物語が語られていく。仲間となるキャラクターも前作で多すぎた反省点を生かしてか、半分以下である。これらのことについては何も問題はない。しかし、いくら軍の末端にいる兵士達の物語だとは言っても、あんな尻切れトンボの終わり方はないだろうと思う。「あんな」内容でも一応はEDなので詳しくは触れないが、結局このストーリーは何を語りたかったのか、とまで思えてしまうのである。

 ここまでは何もいいとこなしに書いてきた。しかし、それでもなお、私はこのゲームのファンである。『1』は新品特価になっていたものを買ったが、『リメイク』と『2』はどちらも発売日にきっちり買ったぐらいである。いったいこのゲームのどこを好きになってしまったのか……考えた末に出た結論だが、それはキャラクター達の魅力のせいではなかろうか。各キャラクターにはそれぞれ種族から始まって細かな設定が用意されているし、キャラデザイナーである玉木美孝氏の設定画やイメージイラストを見ても、ディティールが非常に細かく設定されていて、魅力的なのである。それなのに、ストーリーやその他のシステムが上手く回らないせいで、もっと輝くべきキャラクター達の魅力が分かり辛いものになってしまっている部分が多くなってしまった。それが残念でならない。材料は一流のものを揃えたのに、出来あがった料理はイマイチ美味しくなかった。喩えて言えば『1』も『リメイク』も『2』も、そんな作品になってしまっているのである。つくづく、材料が勿体無い限りである。なお、可能性ははっきり言ってゼロに近いと思うが、もし『3』が出た暁には、発売日にダッシュで買いに行くつもりである……これだけ難癖をつけておいてなんだが、やっぱり、私はこのゲームが好きなのである。いったいどうしてそこまでなのか……いくらキャラクターが気に入っているとはいえ……自分でも謎である。



世界観・ストーリー

アルカディア解放軍独立第3遊撃部隊

ビルガンテス公国軍特務陸戦軍団第七別動大隊99混成部隊「ホワイト=サージ」

関連書籍・CD情報

(2010.6.4)

FAN FICTION
(2005.8.30)

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