No.107…"だるめしスポーツ店"(2013.8.8/3DS DLソフト/開発・販売:任天堂)

 ニンテンドーダイレクトで発表されたときから「ゲーム内でリアルマネーで買える追加ゲームの値段を店長と交渉することで本当に値切ることが出来る」というポイントが話題になったゲームであり、実際にプレイはしたことはない人でも「値切れるゲーム」と言えばピンと来る人も多いのではないかと思われる。

 プレイヤーは今にも潰れそうな「だるめしスポーツ店」の客となり、店長の樽飯イヌジと交渉して店で売られているゲームの値段を値切って購入することになる。この値切り交渉のシーンが非常に面白く、イヌジというどうにもダメ感が漂うが愛すべき親父の魅力が全開している。なお、イヌジの店で売られているゲームを買うお金はゲーム内での架空のお金ではなく、前述したがプレイヤーが支払うリアルマネーなので、必然と交渉はプレイヤーにとっては真剣なものとなる。

 買ったゲームをある程度まで進めると次の新ゲームが入荷されるので新しく買いに行くことが出来るようになり、イヌジとの人間味あふれる交渉を展開することになる。また、ゲームを1本買うごとにイヌジの家族のストーリーが進行するので、イヌジの店で売られているゲームを楽しむ以外にも、イヌジの家庭の事情を知ることで、イヌジというキャラにますます愛着が沸く仕掛けになっている。

 イヌジの店で買えるゲームは野球を題材としたものばかりだが、バッターになって球を打つようなオーソドックスなものから、審判になってストライクかそうでないかを判定するものまで、その内容は多彩である。中にはバット職人になって木の棒からバットを削り出すというまるで週刊少年ジャンプ黎明期の名作マンガ『父の魂』を連想するような変わり種もあり、どのゲームもテンポの良さもあいまって少し時間が空いた時にでもプレイするのもオススメである。

 「ゲーム内で使うリアルマネーを値切れる」という画期的ともいえるシステムは、残念ながらこの『だるめしスポーツ店』のみで採用されただけで他のゲームに転用されることはなかったが、またこんな楽しい作品を出してほしいものである。



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