No.20…"BAROQUE"(1998.5.21/SS/開発・販売:スティング)
No.20…"BAROQUE 歪んだ妄想"(1999.10.28(廉価版:2001.3.8)/PS/開発・販売:スティング)
No.20…"バロック"(2007.6.28/PS2/開発・販売:スティング)
No.20…"BAROQUE 歪んだ妄想"(2007.12.26/PS ゲームアーカイブス/販売:スティング)
No.20…"バロック for Wii"(2008.3.13/Wii/開発・販売:スティング)
No.20…"バロック INTERNATIONAL"(2008.10.23/PS2/開発・販売:スティング)

 今回紹介する『バロック』。ゲームシステムとしては「神経塔」と呼ばれる自動生成型ダンジョンに何度も潜りこみ、何度も死にながらも挑むゲームである。『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』シリーズに似ていると言ってもいいかもしれない。

 しかし、この『バロック』で最も特筆すべきは、その特殊な世界観である。「大熱波」と呼ばれる災厄が世界を覆いつくし、人々は異形の存在となり、廃墟と化した風景が広がる世界。この世界の中で、プレイヤーの分身たる主人公は自分の名前以外の全ての記憶を失って目覚める。ただひとつ、「罪の意識」だけを残して……。主人公は「上級天使」と呼ばれる、偽の翼を身につけた存在から「天使銃」という武器を渡され、単身、自身の記憶を取り戻すため、そして世界の真実を知るために、全ての謎が隠された建造物「神経塔」へと単身向かうことになる。

 前述したが、主人公は何度も何度も死んで、そのたびに地上に戻され、再び「神経塔」に潜っていく(「神経塔」は塔であるにも関わらず、地下へと潜っていく建物なのである)。何度も死んで繰り返し塔に潜るたびに、様々な謎が明らかになっていく。なぜ主人公は何度死んでも蘇生出来るのかという謎もである。主人公の「綺麗な水」を欲しがる少女イライザ、主人公をなじりながらも心の奥底で主人公への想いを捨てきれない少女アリス、かつては上級天使の部下であったが、今は異形に身を変えた女性「天導天使」。そして最下層に待つ「創造維持」と呼ばれる存在。これらのキャラクター達の持つ謎は、シナリオを進めるごとに、少しづつだが判明していく。このシナリオの完成度の高さこそ、『バロック』の魅力のひとつであろう。特に真エンディングの演出は見事の一言に限る。主人公とある女性が選んだ究極の愛が映し出される美しいエンディングである。

 ゲームシステムに話を戻すと、視点はFPS視点(ただしカメラワークがぶれ気味なため、3D酔いに弱い私などは最初の頃に非常に苦労し、プレイ時間は30分が限界であった)で、ポリゴンで作成されたダンジョン内を探索し、一歩一歩最下層まで進んでいくシステムになっている。出てくるアイテムも独特で、食物には「心臓」や「肉」といった生々しいものが出てくる。その一方で、使って壁に接触すると、猫の鳴き声が聞こえるだけというバカバカしいアイテムもあったりする。また、体内に寄生虫を宿すことや焼き印でバッドステータスを回避出来たりも出来る。これらのアイテムには、『バロック』というゲームのユニークさが顕著に現れているのかもしれない。

 オリジナルはサターン版だが、その後、プレイステーションにも移植されている。プレイステーション版は廉価版も発売されており(発売日は2001年3月8日)、追加キャラがいたり、イベントシーンを自由に見られたりとオマケが色々ついているが、私的にはサターン版にこだわりたい気持ちが強い。第一、プレイステーション版の「歪んだ妄想」なんていうサブタイトルなんて、格好悪いではないか。このゲームにはシンプルに『バロック』というタイトルが似合っている。このタイトルをつけたスタッフのセンスには脱帽するばかりである。

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